『Love in THE BIG CITY』:恋人以上"最強の二人"の青春映画
<はじめに>
韓国の若手女優の中で名実ともにトップ・ランナーであるキム・ゴウンさん。彼女を知ったのは『ウンギョ 青い蜜』(2012)。しなやかな肢体に宿る10代の少女の純真さと、分別ある大人をも翻弄するような奔放さを兼ね備えたウンギョ役を見事に体現した演技で、それ以来ずっと魅了され続けています。
昨年韓国で大ヒットした『破墓』(2024)にも彼女がメインキャストとして出演していたので映画館で鑑賞しましたが、オカルト系はそもそも苦手であるし、シビアな表情のゴウンさんしか堪能できなかったので不満が残っていました。そんな訳で!!この『Love in THE BIG CITY』(2024)を喜び勇んで観に行った次第で(公開からかなり出遅れはしましたが)その結果、大満足でした~!
韓国映画はシリアスな社会派から極悪非道な暗黒もの、エンターテイメント、内省的な演劇系、アート系等々、内容も幅が広くて本当に飽きないのですが、この映画は、主人公二人の20代から30代にかけての青春映画(私からみれば、30代も青春真っ只中なので)。台詞や音楽もすごく良かったですし、主人公達のファッションや同居部屋、クラブでの大騒ぎや泥酔明けの萎れっぷりも面白可笑しく愛おしく、とにかく主役の二人がそれぞれ素敵でした!主役が魅力的にみえるというのは、結局のところ、映画全体のつくりがしっかりしている証だと思うのです。
<あらすじ>
キム・ゴウン演じる奔放で感情をストレートに露わにするジェヒと、ノ・サンヒョン演じる内向的で秘密主義のフンス。二人は同じ大学の仏文科の同級生で、それぞれ同性の学生達からは「浮いた」存在。ある出来事をきっかけに二人は同居し始め、互いに影響しあい認め合いながら、かけがえのない相棒になっていくーという物語。
フンスは高校生の時にゲイであると自覚し、以来何人かの男性と密かに恋愛経験を重ねているものの、心情的には相手と一線を画してきている。父親を早くに亡くし、こよなく自分を愛してくれる母親にも(そんな母ゆえにか)カミングアウトできない。ジェヒも中学生の頃から自分は周りとは異質だと感じており、娘にあまり関心がなく仕事に没頭しがちな両親から早く自立しようと、単身パリに短期留学もした。その反面、寂しがり屋で惚れっぽく、恋愛ではフッたりフラれたりを繰り返している。
そんな二人が互いを認め合い、支え合いながらソウルという都会で過ごし、紆余曲折しながら成長していく物語。
<感想>
いわゆる「多様性」がテーマと言える映画ですが、あくまで「ジェヒとフンス・二人の物語」だと感じました。他者との向き合い方も対照的な二人ですが、どちらも内に疎外感を抱えています。そんな二人にとって相手の性別は全く関係なく、互いの孤独を認め合いながら、ぶつかり合うこともためらわず親友として寄り添っていきます。「これも愛かもしれない」と薄々気づきながら。
二人はそれぞれ失敗もしますが、それもひっくるめて自身を受け容れて「なりたい自分」になるべく動き始めます。そうなれたのも、「絶対的な味方」が見つかったから。ラストシーンは、ジェヒの結婚式です。なんともキュートな演出、衣裳、そして二人の表情。多様性という薄っぺらなワードは空へ吹き飛ばして、「二人に幸あれ」と祈らずにはいられないようなエンディングでした。
毎日重だるい暑さで萎れがちなメンタルも、涼しい映画館で回復❤️🩹。もし気が向いたら是非ご鑑賞ください♪
