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運動会の日のおにぎり


子どもの頃、体育の授業が大嫌いだった。かけっこはいつもビリだし、ドッジボールはすぐにアウト。逆上がりは出来る気配もない。運動音痴を絵に描いたような子どもだったのだ。


そんな私だが、運動会は大好きだった。

障害物競走なら徒競走よりは勝負になったし、綱引きや玉入れは“自分のせいで負けた”を感じずに済む。

それに、お遊戯や応援合戦は非日常感があってワクワクした。お遊戯は家でも自主練に励むほど熱心だったし、応援団には毎年必ず参加した。
運動が出来なくても自分の輝ける場所があることが嬉しかったのだと思うが、単純にクラスのみんなで一緒に何かするのが楽しかっただけのような気もする。あの雰囲気が好きだったなぁという思い出が残っていることだけは確かだ。


運動会でもう一つ特別だったこと、それはお弁当だ。
父とお弁当を持って出かけるような機会はなかったので、家族でお弁当を食べる唯一の機会が、運動会の日だった。

グラウンドを取り囲むように各家庭がレジャーシートを広げる中、我が家も例に漏れずその一画を確保していた。レジャーシートに腰を下ろす父は、いつ見ても慣れない。

家族が合流したところで母が取り出すのは、アルミホイルに包まれたおにぎり。疲れた時にはクエン酸が良いからと、絶対に梅干しのおにぎりを食べさせられた。
母よ、私は鮭のおにぎりも食べたい。そう思いながら、おとなしく梅干しのおにぎりと唐揚げを頬張る。

ふと父の方を見やる。やっぱり、父とお弁当を食べるのは何度経験しても慣れない。


普段父と食事をしていなかったわけではない。確かに、平日は私が起きる頃に父は既にいなかったし、父が帰ってくる頃にはもう私は寝てしまっていたけれど、土日は必ず一緒に食卓を囲んでいた。

それでも、いつも食べている母の料理が、屋外で食べるだけでなんだか別物のように思えて。そんな特別な料理を家族で囲んでいることに、心の奥の方がほんのり、ほくほくした。なんだか少し、むずがゆかった。

母が作るいつもの薄味のおにぎり。でも、運動会の日は一味違う特別な味がする。父も、心なしかいつもよりちゃんと味わって食べていた。気のせいかもしれないが。

(888文字)



<プロフィール>
書いたり描いたりするOL。カワイイお洋服と甘いお菓子と辛いラーメンが好き。ビールは苦手。



マスクド★noteを引きずって、おにぎり話を書いてしまいました(笑)
こちらは覆面作品ではなく、三條凛花さんの企画への参加作品です。

凛花さ~ん!間に合いました!ご査収ください。



おまけ

グラウンドに佇む筆者
撮影・たぶん父


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彩野リィ 最後までお読みいただきありがとうございました!「面白ぇ女」と思っていただけたらスキ❤️やコメント、シェアのほど、よろしくお願いします。チップは私の執筆のおとも・マウントレーニア カフェラッテにさせていただきます!🙇‍♀️