見出し画像

幸せを思い出す日


2年前の今日、私は友人・あーちゃん(仮名)の家にいた。結婚式場の予約を取るためだ。
もちろん私ではなく、あーちゃんの。



どういうことかというと、あーちゃんが式を挙げたかったのは、あの、ホテルミラコスタだったのだ。

ミラコスタでの挙式は、1年前の月初から予約をとることができる
もうお察しかもしれないが、この挙式の予約がとにかく難しい。毎月1日は予約の電話が殺到するため、電話が繋がるまでに1時間以上かかることもあるそうだ(そして繋がったところで希望日が埋まっている可能性も十分にあり得る)。

そういうわけなので、私ともう2人の友人がミラコスタへの電話がけ要員として招集された。数打ちゃ当たる戦法(多くの人が使う手段らしい)である。
人生における一大イベント。みんな必死なのだ。
私たちは前日の夜からあーちゃんの家に泊まり込み、翌朝10時からの電話受付に備えた。


実はこの電話がけの前に、私はあーちゃんとマニュアル作りをしていた。
当日までの事前準備(挙式受付の電話番号をスマホに登録しておくとか)から、電話が繋がったあとに伝えることのメモまで、全3ページ分のマニュアルができあがった。

私が凝り性を発揮して写真やイラストを入れ込んでしまったので、もっと簡素な資料なら2ページで済んだ気もしている。


日時とプランを伝えるだけなのにマニュアル?と思われるかもしれない。
だがしかし、ミラコスタでの挙式はそのプラン名などがイタリア語ベースになっているために、英語以上に耳慣れない単語が多いのだ。
カタカナが苦手な私は、覚えられないどころか見たところでスムーズに発音できる自信もない。でも、何もないよりははるかにマシだ。


そんなこんなで、当日の朝。
のんびり9時に起床し、朝ごはんを食べながら受付開始の10時を待つ私たち。この時間が、一番緊張していたかもしれない。

ものは試しとフライングでかけたりもしてみたが、自動音声が流れるだけだったので、大人しく時間になるのを待つことにする。


みんなのスマホの時計が一斉に10時を示した瞬間、私たちは早速電話をかけ始めた。
当然のように電話会社の自動音声で「ただいま大変混み合っています」と言われるが、ここで諦めるわけにはいかない。

何度かチャレンジし続けていると、一人の友人が「何か違う音が流れ始めた…!」と興奮気味に呟いた。
それまでコール音すら鳴らなかったのが、確かにトゥルルルル…と聞こえてくる。

これはもしかして…?と、全員が固唾を吞んで見守る中、友人はマニュアルに書かれた呪文(希望内容)を唱え始めた。



***



奇跡的に、私たちはあーちゃん第一希望の予約をとることに成功した。この日来れなかった友人たちにもすぐさま報告した。

ついでに、式の前日に私たちが宿泊するホテルの手配もしてもらった。宿泊先はもちろんミラコスタ

ミラコスタに参列者割引なるものが存在することをここで初めて知る友人一同。

詳しい人がいないとディズニーは攻略不可能


このミラコスタの部屋の名前も私にはよく分からなかったのだけれど、パーク内が見えるかどうかとか違いがあるらしい。ディズニー素人としてはミラコスタに泊まるという事実だけで大興奮である。


そして、昨年の4月某日。あーちゃんは無事に結婚式を挙げた。

いつも元気いっぱいの彼女らしい、終始明るくて楽しい式だった。幸せいっぱいのあーちゃんを見ているだけで、胸がいっぱいになった。


チャペルに入ってきたあーちゃんが頭につけているヴェールは、前日にみんなで協力してアイロンがけしたものだ。

長い長いヴェールを、ホテルの部屋から式の控え室までエッホエッホと運んだ時のことを、私はずっと覚えていると思う。
ちょっと(だいぶ)間抜けで、でも、いつもドタバタな私たちらしくて、なんとも言えない幸せな時間だった。

道行く人に「何あれ?」という目で見られたような気もするけど、少なくともホテルのキャストさんたちは微笑ましい目で見てくれていたと思う。
私は、大事な友人・あーちゃんの結婚式をほんの少しだけどお手伝いできたことが、誇らしかった。



4月1日はエイプリルフール。

嘘みたいな幸せを思い出す日。



#春になると思い出すこと



▼あーちゃんの結婚式の後に書いた話

▼Dオタに連れられどこまでも


いいなと思ったら応援しよう!

彩野リィ 最後までお読みいただきありがとうございました!「面白ぇ女」と思っていただけたらスキ❤️やコメント、シェアのほど、よろしくお願いします。チップは私の執筆のおとも・マウントレーニア カフェラッテにさせていただきます!🙇‍♀️

この記事が参加している募集