ひらがなに沼って|第5回「ほ」のことを知るのは私だけ
「ほ」は、全部を見せてはくれない。「は」と似た形をしているけれど、その印象はずいぶん違う。
どちらも笑い声で使われる音だけど、明るく開けている「ははは」に対して、「ほほほ」は内に秘める感じがある。字としては「ほ」の方が画数も多くて目に入るのに。「ほ」自身は、本当は目立ちたくないのかもしれない。
「は」から足された一本線は、どこか気持ちに蓋をしているようにも見える。かえって目立ってしまっているあたりが、ちょっと不器用で愛おしい。
それから相槌を打つ時。「はぁ」や「へぇ」もあるけれど、「ほぅ」が一番温かい。言葉を一度受け止めて、優しく包み込んでくれる感じがする。恩着せがましくはなくて、いつの間にか近くにいて、気付けば支えられている。
つかず離れず、ほどよい距離を大事にしてくれる「ほ」。クラスにいたら、きっとみんなが見ていないところで机を整頓しているに違いない。あまりにもさりげなくて、みんな気付いていないかもしれないけれど、そういう優しさにぐっと来てる人、きっと私だけじゃない。
「ほ」が素敵な子だってこと、もっとみんなに知ってほしいって思うけれど、シャイみたいだし、やめておいてあげよう。私だけが魅力を知っているのも悪くない。
▼「ひらがなに沼って」まとめ
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