第四章|エコーチェンバーを壊す、というより
エコーチェンバーは、
必ずしも
壊されるべきものでもない現象
それは、
人が集中するための環境でもあり、
無駄を省き、
余計なノイズを減らし、
好きなものを深めていける。
アルゴリズムは、
人の嗜好を学び、
選択の負担を軽くする。
その恩恵は、確かにある。
だから問題は、
偏っていることではなく、
偏っていることに気づけなくなること。
箱庭が危険になるのは、
そこが唯一の世界だと
思い始めたとき。
外があることを
忘れたとき‥‥
「壊す」という言葉は、
ここでは少し強すぎる。
必要なのは、
壁を壊すことではなく、
風が通る隙間。
エコーチェンバーを壊すAIとは、
結論を否定するAIではない、
そして、
正解を上書きするAIでもない。
そのAIは、
少しだけ立ち止まらせる。
その前提は、どこで育ったものだろう。
他の箱庭では、どんな問いが生まれているだろう。
答えを急がない。
比較を強要しない。
ただ、
立っている場所を照らす。
AIは、
思考を速める存在であると同時に、
思考の速度を
調整できる存在でもあると思う。
問いを深めることもできるし、
問いを広げることもできる。
ここで初めて、
AIは「鏡」から
「窓」に変わるのではないでしょうか。
窓は、
外へ出ることを
強制しない。
ただ、
外があると知らせる。
箱庭は、
消えていくものもある。
時間とともに、
色が薄れ、
役割を終える庭。
一方で、
グラデーションが濃くなり、
進化していく箱庭もある。
それ自体が
悪いわけではない。
ただ、
閉じたまま濃くなると、 外と接続しにくくなる。
だから希望は、
選択肢として存在する。
箱庭に留まる自由
別の箱庭を覗く自由
外を確認して戻る自由
どれも、
否定されるものではありません。
AIができるのは、
その自由を
見える形にすること。
エコーチェンバーを壊すとは、世界を一つにすることではなく 世界が複数あると、 思い出せるようにすること。
この章では、
視野の拡張の認識についてみてみました。
次章、最終章
「AIは、鏡にも窓にもなる」へつづく
