見出し画像

築古住宅の売却——更地か現況か——豊田市

はじめに

「この家、もう誰も住んでいないけど、壊すのはもったいない気がする」
相続した実家や、長年住んだ築古の住宅を売却しようとしたとき、多くの方がこの問いにぶつかります。不動産会社に相談すると「更地にしたほうが売れやすいですよ」と言われることもあれば、「そのままでも買い手はつきます」と言われることもある。どちらが本当なのか、判断がつかないまま時間だけが過ぎていく。そんな状況に心当たりのある方は、少なくないはずです。
この記事では、築古住宅を売る際に「更地にすべきか、現況のまま売るべきか」を判断するための考え方を、費用・税制・地域事情の三つの軸から整理してお伝えします。

「築古住宅」とは何年くらいの家を指すのか

法律上「築古」という明確な定義はありません。ただし不動産の実務では、木造住宅の法定耐用年数である22年前後あたりから「築古」と呼ばれることが一般的です。築30年を超えると、建物の資産価値はほぼゼロと査定されるケースが大半です。
ここで大事なのは、「建物の価値がゼロ=壊したほうがいい」とは限らないということです。建物が残っていることにはメリットもあり、更地にすることにはコストとリスクがあります。順番に見ていきましょう。

更地にする場合の費用と現実

解体費用は構造と延べ床面積によって大きく変わります。
愛知県豊田市・岡崎市周辺での目安は以下の通りです。
木造住宅(30坪程度)の場合、解体費用はおよそ140万円から180万円。鉄骨造であれば150万円から250万円。これに加え、浄化槽の撤去や庭木の伐採、ブロック塀の解体などが必要になれば、追加で数十万円が加算されます。
さらに見落とされがちなのが、アスベスト調査の義務化です。2022年4月以降、一定規模以上の解体工事では事前調査と報告が義務づけられています。築古住宅ではアスベスト含有建材が使われている可能性があり、調査費用として3万円から10万円程度、除去が必要になれば数十万円の上乗せとなることもあります。
つまり、更地にするだけで最低でも150万円前後、場合によっては300万円を超える出費が発生するのです。この費用を売却価格で回収できるかどうかが、最初の判断ポイントになります。

固定資産税の落とし穴

もう一つ、更地にする前に必ず知っておくべきことがあります。それが固定資産税の「住宅用地の特例」です。
住宅が建っている土地には、固定資産税が最大6分の1に軽減される特例が適用されています。つまり、建物を解体して更地にした瞬間、翌年の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があるのです。
たとえば、現在の固定資産税が年間5万円の土地であれば、更地にした翌年から最大30万円になる計算です。売却までに時間がかかれば、解体費用に加えて税負担が重くのしかかります。
豊田市や岡崎市のように、駅から離れたエリアでは売却に半年から1年以上かかることも珍しくありません。更地にするタイミングを間違えると、税金だけで数十万円の損失が出るのです。

現況のまま売るメリット

建物を残したまま売る場合、以下のようなメリットがあります。
まず、解体費用がかかりません。先述のとおり150万円から300万円の出費を避けられます。
次に、固定資産税の特例が維持されます。売却完了まで税負担を抑えたまま進められます。
さらに、買主側の選択肢が広がるという点も見逃せません。買主がリフォームして住む、あるいは自分の好みに合わせて解体する。
どちらも選べる状態で引き渡せるため、間口が広くなります。特に豊田市・岡崎市エリアでは、築古でも立地が良ければリフォーム前提で購入を検討する子育て世代が一定数います。
加えて、居住用財産の3,000万円特別控除を使う場合は、建物が残っていることが適用要件に関わるケースがあります。取り壊してから売ると、解体日から1年以内に売買契約を結ぶなどの期限要件が加わるため、注意が必要です。

更地にしたほうがよいケース

一方で、更地にしたほうが売りやすくなるケースもあります。
建物の老朽化が著しく、倒壊の危険がある場合。屋根が落ちている、壁が崩れているといった状態では、買主の内覧すら難しくなります。
建物の構造が特殊で、リフォームの費用対効果が見合わない場合。たとえば極端に間取りが古い、増改築を繰り返して構造が不安定になっているようなケースです。
また、土地の形状や広さに価値があり、建物がむしろ邪魔になっている場合。豊田市の中心部や岡崎市の駅周辺など、土地需要が高いエリアでは更地のほうが早く売れることがあります。

判断の軸は「費用の回収」と「時間」

結局のところ、判断の軸は二つです。
一つ目は、解体費用を売却価格の差額で回収できるかどうか。更地にすることで売却価格が200万円上がるなら、解体費用150万円をかけても回収の見込みがあります。しかし差額が50万円程度なら、現況のまま売ったほうが手残りは多くなります。
二つ目は、売却までにどれくらいの時間を見込むか。半年以上かかりそうなら、更地にした場合の固定資産税の増額分も計算に入れる必要があります。
この二つの軸を自分の状況に当てはめてみることで、「更地にすべきか、現況のままか」の答えは自ずと見えてきます。

「正解がわからない」ときにやるべきこと

それでも判断がつかないときは、まず現況のまま査定を受けてみることをおすすめします。査定を受けたからといって、すぐに売却を決める必要はありません。現況での想定売却価格と、更地にした場合の想定売却価格の両方を聞いたうえで、解体費用と固定資産税の増額分を差し引いて比較する。その数字を前に、初めて冷静な判断ができるようになります。
築古住宅の売却は、感情と数字のあいだで揺れるものです。
「親が建てた家を壊す」という心理的なハードルは、決して小さくありません。だからこそ、まずは数字で整理する。数字が見えれば、感情の整理もついてくる。そういう順番で進めていくのが、後悔の少ない選択につながるはずです。

更地か現況かを判断したあとの全体的な売却の流れは、豊田市で相続した不動産を売却する全手順岡崎市で相続した不動産を売却する全手順の全手順ガイドに整理しています。


いいなと思ったら応援しよう!