カロニア群島神話録(パックルルルカス神話)序章
「序」
私の父のお祖父さんのそのお祖父さんのお祖父さんがこんな話を聞いたんだ…
……
その時はまだ世界は真っ暗であって、真っ暗とも言えない、空も海も大地もないスープのようなところだった
ある時スープから光と共に偉大なるムーターが産まれたんだ
ムーターはしばらく佇むと、辺りを見回しこう言った「何もないから世界を作ろう」
少し進んでこう言った
「私の右の足から海を。左の足から大地を。髪の上には空を」
するとムーターの右の足元から海と広大なる海の女神グゥワルーが産まれた
左の足元から大地とたくましき大地の女神ショグルーが産まれた
髪の上には雄大な空の男神テーテルーが産まれた
首を回し辺りを見回しこう言った
「上の左目から太陽を上の右目から月を」
言い終えると左の下の目から力強く輝く太陽の男神ソソルーが左の下の目からは美しく輝く月の女神ルールーが産まれた
こうして世界は空と海と大地、月と太陽が産まれたんだ
……
「序 」了
カロニア群島神話録:解説
神話の始まり
便宜上この章は「序」や「天地の開闢」とされることが多い。
この神話群は「私の父のお祖父さんのそのお祖父さんのお祖父さんがこんな話を聞いたんだ…」のフレーズから毎回始まる口承神話で
一族や家族で火を囲みながら族長や家長が叩く小さな太鼓のリズムにのって語り継がれてきていた
スープの様な何もないところから突如として生まれ出たムーターがカロニア群島で語り継がれる神話での原初の創造神である
ジニ・ニ洞窟をはじめとした、いくつかの壁画からムーターは4〜6つの目を持ち髪は逆立っていてワンピース状の簡素な服、右ないし左手に短めの棒のような物を持っている
また、性別はなく超越した存在。父であり、母であると言われているようだ
南太平洋文化学科
プセポリネシア研究室 畑里増郁
