カロニア群島神話(パックルルルカス神話)2章2節「走るパックルル」
私の父のお祖父さんのそのお祖父さんのお祖父さんがこんな話を聞いたんだ…
……
ムーターの下から大きな宝物籠を両手で抱えたパックルルはクスクス笑いながら走っていた。
そしたら何だかもっと楽しくなって大笑いになった。
大笑いしながらパックルルは空を走り、森を飛び越え、海の上を飛び跳ねて、
浜辺の近くで大きなチヂキ貝に足を引っかけた。
「おとっと!あぶない、あぶない。」
転びそうになりながら籠の中身をばらまいた。
多くの種や原料が山へ海へと散らばったが、大事な人間の種と芋と舟は残っていた。
因みに、この時色んな種や材料がばら撒かれたから私たちの島は多くの植物や生き物がいるのだ。
そんな事もつゆとも思わぬパックルルはそのまま大地を大股で走りぬけ、遂にニージョクニー平原までたどり着いた。
そこでは、やさしい太陽の光と心地よい風、風に乗ってくる海の匂いを感じ
「うん、ここでいいか?ここにしよう」とニーショグニーの、真ん中に人間の種を蒔くのだった。
2章2節了
カロニア群島神話録:解説
チヂキ貝とはカロニア群島近海に生息している大きな巻貝の一種。比較的細長い形をしている。
一応食用ではあるようだから、あまり美味ではなく島民も鳥たちもあまり好んで食べようとはしないようだが、装飾品などには用いられている。
ウルルパル族の逸話で海の女神グゥワルーが足の爪を切ったときに生まれ出た話がある。
今回の文章の重要資料の一つにジニ・ニの洞窟の壁画があるがジニ・ニの洞窟はこのニーショグニー平原に隣接する地域にある。
ニーショグニーの、ニーは現地の言葉で「住む」「住まう者」などの意味をもち
ショグは「大地」「地面」の意。ショグルーのショグと同じである。
ニーショグニーを意訳すると「住む(べき)大地に住む(者)」と言った意味になり、カロニア群島において人が産まれ住まうべき土地といった意味が見出す事ができる。
根津曽大学
プセポリネシア研究室
教授 畑里増郁
