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「今決めれば500万円値引きします」と言われても気に入った物件を買えなかった理由

60㎡で3人暮らし。
子どもの成長とともに少しずつ手狭に感じるようになり、4月末から住み替えに向けて中古マンション探しを始めた。
気づけばもう2か月。
これまで検討した物件をリストにしてみたら、40件を超えていた。

「そんなに見たのに、まだ決まらないの?」

自分でもそう思う。
でも、物件がないわけではない。
SUUMOを同じ条件で検索するのが毎日の日課になっていて、1日に1〜2件は条件に合う新着物件が出てくる。
ただ、「内見に行きたい」と思える物件はその半分くらい。
さらに不動産会社に懸念事項を確認してもらうと、そのまた半分くらいまで絞られる。
中古マンション探しは、想像以上に”見えない条件”との戦いだった。

思っていた以上に多かった「耐震」の壁
特に多かったのが、旧耐震マンション。
耐震診断を実施していなかったり、診断結果の数値が低いにもかかわらず耐震補強工事が行われていなかったりするケースが少なくない。
住むこと自体がすぐ危険という話ではない。
ただ、住宅ローンが付きにくくなったり、将来売却するときに買い手が限られたりする可能性がある。
我が家は6〜10年後に住み替えることも視野に入れている。
だから、「売りたいときに売れない」「大きく値下げしないと売れない」というリスクは避けたい。
結果として、条件が良くても候補から外さざるを得ない物件が何件もあった。

「ほぼ理想」の物件でも決められなかった
実は一件だけ、本気で購入を考えた物件があった。
申込書まで書いたくらいだから、ほぼ心は決まっていた。
立地も広さも価格も、我が家が求める条件はほぼ揃っていた。
ところが、内見を終えてリビングで夫がぽつりと言った。

「……なんか狭く感じる。」

広さは今より約10㎡広い。
それでも1階で植栽がしっかり入っていたため、窓からの景色に圧迫感があり、実際の面積以上に閉塞感を感じたようだった。
「一部屋増えても、今より閉塞感があるなら住み替える意味がないんじゃない?」
その一言に、私も納得した。
条件だけ見れば十分魅力的だった。
でも、「何か違う」という感覚は、毎日暮らす家だからこそ無視できない。
結局、その物件とはご縁がなかった。

「今決めれば500万円値引きします」
その物件を検討していた数日間は、本当に苦しかった。
仕事中も家にいても頭から離れず、目の下がピクピク痙攣するほど悩んだ。
そんな中、不動産会社からこんな提案があった。
「週明けまでに決断していただければ、500万円値引きできます。」
「それ以降は、この条件はなくなります。」
500万円。
一億円を超える買い物とはいえ、簡単に動く金額ではない。
もちろん心は揺れた。
それでも、一生に何度もない大きな買い物だからこそ、「少しでも引っかかる点があるならやめよう」と考え、お断りすることにした。
そして翌日。
何気なくSUUMOを見ると、その物件はしれっと500万円値下げされた価格で掲載されていた。
もちろん、私たちに知らせる義務はない。
でも、「今だけ」という言葉を、そのまま受け取らないことも大切なんだなと学んだ出来事だった。
不動産会社とは「信頼しきる相手」というより、「うまく付き合う相手」と考えた方がいいのかもしれない。

家探しは振り出しに戻った。でも無駄ではなかった。
そんなわけで、我が家の家探しは振り出しに戻った。
とはいえ、60㎡で3人暮らしができないわけではない。
焦って妥協する必要もない。
この2か月で毎日のように物件を見続けたおかげで、自分たちなりの判断基準ができてきた。
以前は広さや立地ばかり見ていたけれど、今では耐震診断書や管理状況、重要事項説明書まで確認するようになった。
「見る目」は確実に育っていると思う。
そんなこともあって最近は、不動産屋さんに丸め込まれたくないという、ちょっとした対抗心も芽生えてきた。
宅建士とインテリアコーディネーターの参考書も買ってしまった。
資格を受けるかどうかはまだ決めていない。
でも、趣味として勉強してみるのも面白そうだ。
家探しは、まだ終わらない。
いつか「この家にしてよかった」と思える一件に出会えるまで、焦らず、妥協せず、でも楽しみながら探していこうと思う。

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