8年間の不妊治療の末に生まれた娘は、1378gでした ─ NICUから始まった母娘の記録 ─
42歳で母になりました。
「まさか自分が」
人生の中で、私は何度この言葉を心の中で繰り返したかわかりません。
42歳での妊娠。
切迫早産。
長期入院。
緊急帝王切開。
NICU。
テレビやネットの向こう側の話だと思っていたことが、ある日突然、自分の現実になりました。
私は8年間、不妊治療をしていました。
最初は、「そのうち自然にできるよね」
くらいに思っていました。
けれど、それは甘い考えでした。
中隔子宮切除手術。
タイミング療法。
人工授精。
転院。
体外受精。
もう一度転院。
顕微授精。
何度もなんども聞いた陰性報告。期待して、落ち込んで、また少し期待して…
周りの妊娠報告を聞くたびに、笑顔で「おめでとう」と言いながら、帰宅してひとりで泣いた日もありました。見通しのつかない未来のために、一体あとどれだけ頑張ればよいのだろう。常に自問自答の日々でした。
不妊治療をしていると、時間がどんどん重くなっていきます。
年齢。
周囲の言葉。
焦り。
お金。
体力。
「もしこのまま授からなかったら」という不安。
気づけば、毎日ずっとそのことを考えていました。不妊治療の薬の影響とうまくいかないもどかしさから疲弊するばかり。イライラするばかり。休みたい。けど休めない。治療費を確保するために働き続けなければならない。
疲れた…もう限界だ。これで、本当に最後だ。養子ということもいよいよ考えるときがきた。いやでもそれは難しい…
最後の診断されるとき、私は震えた。緊張で震えた。
「うん、妊娠してるよ、おめでとう!」
先生から言われた言葉や、身を乗り出して握手してくださった先生の笑顔は、今でも忘れない。私は42歳でやっと妊娠できました。
舞い上がるほど嬉しかった。
けれど同時に、怖かった。
本当に生まれてきてくれるんだろうか。
ちゃんと育ってくれるんだろうか。
検診で「順調ですね」と言われても、私はずっと不安でした。
そして23週の妊婦健診の日。
先生から突然、
「今日このまま入院してください」
と言われました。
頭が真っ白になりました。
そこから始まった長い入院生活。
24時間点滴につながれた毎日。
思うように動けない体。
眠れない夜。
点滴の機械音。
トイレでタバコを吸ったり看護師を殴って暴れていた17歳くらいの妊婦さんのこと。
苦手な看護師達と、話しやすかった看護師達のこと。
なんか嫌だなと感じた同室の人のこと。
赤ちゃんが無事でいてくれることだけを願って過ごした日々。
でも、現実は思っていた以上に厳しく、
私は緊急帝王切開で娘を出産しました。
1378g。
とても小さな、小さな命でした。
NICUで初めて娘を見た日のことを、私は今でも忘れられません。
出産しても、娘はすぐに保育器へ連れて行かれ、私は出産後一ヶ月、我が子を抱っこすることは叶いませんでした。
小さな体。
細い腕。
たくさんの管。
「ちゃんと生きてくれるんだろうか」
そんな不安ばかりが頭の中をぐるぐるしていました。
それでも娘は、少しずつ、本当に少しずつ大きくなってくれました。
それからのことは娘が2歳になった今も鮮明に覚えています。
退院の日のこと。
初めての育児。
眠れない夜。
検索ばかりしていた毎日。
一ヶ月半の絶対安静による身体の後遺症。
ミルク。
体重。
発達。
頭の形のこと。
喉を詰まらせないか。
寝ている時に呼吸は止まらないか。
娘の初めての発熱、10回もの嘔吐で娘の苦しむ姿に私は泣きじゃくりながら夜間救急病院に駆け込み、もっと気持ちを強くしっかりしなきゃと心を改めたこと。
初めての保育園での娘の命に関わるトラブルがあったこと。
転園を決断したときのこと。
転園先で春の忙しい時期、保育士たちの苛立ちが娘に伝わって、娘が慣れたはずの保育園を一時苦手になってしまったこと。
苛立った保育士が娘のマイナス面ばかりを連絡帳に長々と記載して、どんなに忙しくてもどんなに娘に苛立ったとしても、この書き方はあまりにも駄目だと私が保育士を叱りつけたこと。
その後保育園側が反省してくれて今はとても良い関係性を築けたこと。
成長と共に保育園と幼稚園どちらが良いのか悩んだこと。
あげればキリがないほど不安は次から次へとやってきました。
初めての育児。娘が大事なあまり神経質になることも。
でも今、私は少しずつ、あの日々を振り返れるようになりました。
このnoteでは、
・8年間の不妊治療
・中隔子宮の手術
・切迫早産の突然の入院
・長期点滴生活
・緊急帝王切開
・NICUでの日々
・未熟児育児
・初めての保育園
・42歳で母になって感じたこと
そんな日々を、できるだけリアルに、そして静かに綴っていこうと思っています。
綺麗事だけではなく、不安だったことも、
怖かったことも、泣いた夜のことも。
あの頃の私のように、不安の中にいる人。
検索ばかりして眠れない人。
誰にも言えず、ひとりで抱え込んでいる人。
そんな誰かに、「自分だけじゃないんだ」
と思ってもらえたら嬉しいです。
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ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この記録が、誰かの不安を少しでも軽くできたり、「自分だけじゃない」と思えるきっかけになれたら嬉しいです。
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