4月の制度変更でシニアは何を見ればいい? 通帳より通知書、働く人は65万円ライン
4月の制度変更で、シニア世代やその家族が最初に見るべきなのは制度名より手元のものだ。
年金を受け取っている人なら、6月の通知書。
働きながら老齢厚生年金を受け取っている人なら、それに加えて「年金が止まるライン」。
「年金が増えるって聞いたのに、通帳だとよく分からない」
「働いてる親は、何が変わるの?」
今回は、その2つの入口から整理していく。
「年金が増える」って聞いたのに、通帳だとピンとこない
モモ「うちのおじいちゃんが『年金増えるってニュースで見たのに、通帳そんなに増えてない』って言ってました」
レイ「その反応、今年はかなり多いと思うわ。こういう話はまず、通帳だけで判断しないところからね」
モモ「いきなり厳しい」
レイ「厳しいというより実務的。年金は『年金そのものがどう変わったか』と『手元にいくら入ったか』がズレることがあるの」
モモ「え、それ別なんですか」
レイ「別。しかもシニア世代って、一つにまとめると危ないのよ」
モモ「また分岐ですか」
レイ「分岐。まず年金中心で受け取っている人。もう一つは、働きながら老齢厚生年金を受け取っている人。この二つで見る場所が変わる」
モモ「最初にそこ分けた方が早いですね」
レイ「そう。年金中心の人は6月の通知書。働いている人は、そこに『65万円ライン』も足す。今日はその順番でいくわ」

ニュースでは「年金額改定」や「在職老齢年金」という制度名が先に出てくる。
でも実際の読者に必要なのは、「自分は何を見れば分かるか」だ。
シニアの話は、そこを先に固定した方が迷いにくい。
まず見るのは、通帳より6月の通知書
モモ「じゃあ最初に見るの、どれなんですか」
レイ「日本年金機構から届く `年金額改定通知書` と `年金振込通知書`。2026年4月分の改定は、6月15日の支払いから反映されて、通知書も6月4日から順次送られる」
モモ「4月の話なのに、体感は6月なんですね」
レイ「そういうこと。で、その通知書には `年金支払額` と `控除後振込額` が出る」
モモ「漢字がもう強いです」
レイ「でもここが大事。`年金支払額` は控除前、`控除後振込額` は介護保険料や住民税なんかを引いた後」
モモ「じゃあ通帳で見えるの、後ろの方なんだ」
レイ「そう。『年金自体はいくらになったか』を知りたいなら、先に見るのは `控除後振込額` じゃなくて `年金支払額`」
モモ「なるほど。通帳だけ見て『増えてない』って言うと、ズレることあるんだ」
レイ「それと、通知書の `年金支払額` は1回の支払い分。月額の増え幅と見比べるなら、2カ月分で見るのよ」
モモ「そこ、地味に大事ですね」
レイ「でしょ。しかも介護保険料や後期高齢者医療保険料、住民税の天引き額は別に動くからね。そこは市区町村側の決定も入る」
モモ「年金のニュース見てるつもりが、途中で市役所の話も混ざるのか」
レイ「だからややこしいのよ。年金そのものの改定を見たいなら、まず通知書。紙が手元にないなら、 `ねんきんネット` でも通知書は確認できるわ」

シニア世代でいちばん起きやすい勘違いは、「振り込まれた手取り」と「年金本体の改定」を同じものとして見ることだ。
今年の4月変更は、まずそこを分けた方が分かりやすい。
自動で変わるもの。年金額の改定はここを見る
モモ「じゃあ年金そのものは、どのくらい上がったんですか」
レイ「パーセントで言うと、国民年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%。でも読者は月額に直した方が早いわね」
モモ「お願いします」
レイ「老齢基礎年金の満額は、前年度より月1,300円増。標準的な夫婦2人分の年金額の例では、月4,495円増」
モモ「やっと景色が見えました」
レイ「ただし厚生年金は人によって額がかなり違う。働いてきた年数や収入で差が出るから、『うちは何円』は平均ニュースより通知書の方が速い」
モモ「平均の数字を見て、親の年金も同じように増えると思い込まない方がいいんですね」
レイ「そう。あと、低所得の人向けの年金生活者支援給付金を受けている人は、基準額が月5,450円から5,620円に上がる」
モモ「そこも自動で変わる側なんですか」
レイ「通知書で確認する側ね。今回の年金額改定そのものは、まず『何か申請する』より『届いた通知と支払額を見る』話だと思えばいい」
モモ「今回は、制度名よりハガキの方が主役ですね」
レイ「かなりそう」
働いている人は別に見る。65万円ラインの話
モモ「で、もう一個の分岐が働いてる人でしたっけ」
レイ「そう。60歳以上で、老齢厚生年金を受けながら厚生年金に入って働いている人は、在職老齢年金の基準が変わった」
モモ「シニアで働いてる人全員、じゃないんですね」
レイ「全員じゃない。そこを雑に広げないこと。今回の基準見直しは、賃金と老齢厚生年金の合計が月51万円から65万円に引き上げられた、という話」
モモ「14万円も上がるんだ」
レイ「大きいわよ。65万円以下なら、在職老齢年金による支給停止はかからない」
モモ「じゃあ、前まで一部止まってた人が、止まらなくなることもあるんだ」
レイ「ある。日本年金機構の例だと、老齢厚生年金が月10万円、賃金が月46万円の人は、前は2万5千円止まっていたけど、今は全額支給になる」
モモ「けっこう違う」
レイ「しかもここで見るべきは、通知書の `厚生年金保険` の欄。そこに `支給停止額` が出る」
モモ「働いてる人は、その数字が減ったか消えたかを見るんですね」
レイ「そう。ただし、65万円ラインは月給だけで見ない。直近1年の賞与を12で割った分も入る」
モモ「うわ、ボーナスも月割りで来るのか」
レイ「来る。あと大事なのは、老齢基礎年金はこの支給停止の対象じゃないこと」
モモ「じゃあ『働いてるから年金全部止まる』みたいな雑な理解はだいぶ危ないですね」
レイ「かなり危ないわね」

今回の見直しで変わるのは、「働きながら受け取る老齢厚生年金の止まり方」だ。
ただし対象者は限られる。
ここを広げすぎると、関係ない人まで不安にさせてしまう。
結局、シニア世代はどこを見ればいいのか
モモ「ここまで聞いたら、最後にそれだけ知りたいです。シニア世代はどこを見ればいいんですか」
レイ「3つか4つで十分よ」
レイ「1つ目、6月に届く `年金額改定通知書` と `年金振込通知書`。紙がなければ `ねんきんネット` でもいい」
レイ「2つ目、見るのは通帳の入金額だけじゃなく、通知書の `年金支払額`。年金そのものの改定はここで見る」
レイ「3つ目、働きながら老齢厚生年金を受けている人は、 `厚生年金保険` の `支給停止額` と 65万円ライン」
レイ「4つ目、年金生活者支援給付金を受けている人は、その欄も一緒に確認」
モモ「ほんとに、『通帳だけ見て終わり』だと足りないんですね」
レイ「そう。今回の4月変更は、『年金が上がった』で終わる人と、『働いてるから別の確認がいる』人が混ざってる」
モモ「親の話を聞くときも、『通知書きた?』から入った方が早そう」
レイ「かなり早いわね。家族で確認するなら、まずその一言で十分」
モモ「今日の合言葉、決まりましたね」
レイ「何?」
モモ「通帳より通知書」
レイ「悪くないわ」

💬 知ってると一目置かれる一言
レイ「覚えるならこれね。 `控除後振込額より年金支払額` 」
モモ「標語っぽい」
レイ「でも実用的よ。通帳に入った金額だけ見ていると、介護保険料や住民税の変化まで混ざるから」
モモ「『年金そのものの話をしたいなら、まず控除前を見る』ってことですね」
レイ「そういうこと」
モモ「読んでくれてありがとうございます! うちならどこを見ればいいか分かった、と思ったらスキ❤️ してもらえると嬉しいです。フォローしてもらえると、家計と制度の変化をこれからも追いやすいので、よければぜひ!」
