味わい深いアザーン・ライブ
現代のアザーンとは、モスクにいる聖職者やアザーン係が、イスラム教の礼拝を呼びかける文言を即興の旋律にのせて歌い、それが拡声器やスピーカーで町内に拡散される、一種のライブパフォーマンスである。
日本でも、和歌などは「歌」というのだから、昔は旋律にのせて歌っていたのではないか。今はほぼ棒読みだけど。
トルコはイスタンブル、観光客がたくさんいるスルタンアフメット地区のブルーモスクのアザーンは、いつ聞いてもクオリティが高くて感動する。

エジプトの西方砂漠では、冬の日没時に焚火から離れたところで元神学生がお祈りをはじめたことがあった。静寂の中から響いてくるその声と旋律が、赤く染まった砂漠の景色と相まって異常なほど美しく聞こえたことがある。

アザーンは基本的に美しいと思う。
だがしかし、中には完全なるオンチも存在する。
たいがい地方の小さな町に存在するのだが、オンチとかヘボだとか、そういう定義を超えたところにあったのが、イエメンの首都サナア旧市街のアザーンだ。

問題は、モスクの数が多すぎることにある。
隣のモスク、いや、近隣のモスクが近すぎて声が被るものだから、もうシャウトなのだ。それぞれのモスクが「俺の叫びを聞け!」と言わんばかりに叫んでいる。何言っているのかもう聞きとれない。
近所のモスクでアザーン輪番制にすればいいのに。
内戦で旧市街も相当なダメージを受けたようだが、今でもあの叫びを聞くことができるのだろうか…。


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