誰方にあげましょ (栗本尊子・津村謙)。
栗本尊子と津村謙の歌う「誰方にあげましょ」。サトウ・ハチロー作詞、古関裕而作曲で、戦後発売の古関作品では2曲目に当たります。戦中は「露営の歌」や「暁に祈る」など、幾多の戦時歌謡を書いた古関ですが、根底には常に“音楽家としての良心”がありました。例え戦争の時代であっても、そして平和な時代であっても、人々が難なく歌える曲作りに邁進しており、実際彼の書いた作品は学校や職場の昼休みでも堂々と歌える曲が多かった事に、その創作姿勢が現れています。さて終戦前後、国土の荒廃に加えて食糧品に事かく状態は相変わらずであり、地方への買い出し列車は常に満員の鈴なり状態。農村には現金や高級な嗜好品を持って、食糧と交換を望む人々が絶えない状況で、此の歌はその食糧難最中に書かれた農村賛歌であります🌾。
「誰方にあげましょ」は、クイックテンポのトロットで、フォークダンスのBGMにも使えそうな歌。歌詞は農作物を作る農民の思いを歌っており、青豆やキャベツ、いちじく人参、牛蒡にお芋…と、それらは全て食糧難の時代に於いて贅沢品に見えた事でしょう。伴奏はアコーディオン、ピアノ、シロホン、鉄琴など。各歌詞の二行目、一番で云う所の🎵小さい青豆…の箇所の裏で、伴奏がパアッと明るくなるのは、美味しいご馳走を思わせる効果音の様でした。歌う二人は、戦後すぐに行われた新人歌手コンテストで合格しましたが、共演はこれ一曲のみ。栗本尊子はメゾ・ソプラノ歌手で、他に「ひとりの君」を歌いましたが、流行歌に見切りをつけて声楽畑へ転身。長門美保歌劇団の主要歌手となり、2019年に98年の生涯を終えました🎼。
