丁寧な初回メッセージを送る男は、また同じ無反応で消える
平日23時、丸の内のオフィスから帰る東京メトロ千代田線の中で、私はPairsを開いてため息をついた。その日マッチした男から、判で押したような「はじめまして、マッチングありがとうございます。よろしくお願いします。お仕事は何をされているんですか?」が3通並んでいた。
正直に言うけど、私はその3通とも返信せずにアプリを閉じた。文面に失礼はない。むしろ丁寧。でも、女からすると、礼儀はあるのに何も残らないメッセージって本当にあるんだよね。
去年の春、外資金融に勤めるA子(30歳)と恵比寿の韓国料理屋で飲んだとき、彼女がスマホの画面を見せながら言った言葉が今でも忘れられない。「ねえゆず、このタイプの男ってさ、丁寧すぎて逆にこっちの温度が下がるの、わかる?」画面には3通並んだ「よろしくお願いします」型のメッセージ。A子は全部既読スルーしていた。
あんたら、誤解してるよ。初回メッセージで女が見てるのは、長い自己紹介でも面白いネタでもない。この人はちゃんとしてるか、プロフィールを少し読んでいるか、返したときに会話が続きそうか。本当にそれだけ。
私がスルーした「丁寧なテンプレ」3通の共通点
A子と話しながら、私も自分のPairsを開いて直近1ヶ月の未返信メッセージを数えてみた。47通中、テンプレ型は31通。返信したのは、残りの16通中の4通だけ。要するに、丁寧なテンプレを送ってる男の返信率は実質ゼロなんだよね。
私がスルーした31通の共通点は、結論から言うとこの三つ。
- 相手のプロフィールを読んでいないように見える
- 質問が広すぎる(「休日は何してるんですか?」「お仕事は?」)
- 自分の温度がゼロ(自分が何を感じたか1行もない)
たとえば「休日は何してるんですか?」は、無難だけど広すぎる。私のプロフィールには「神保町の喫茶店巡りが好き」って書いてあるのに、それに触れない時点で「あ、この人プロフ読んでないな」って即バレする。
これが「喫茶店好きって書いてあって気になりました。最近行ってよかったお店ありますか?」だったら、私は3秒で「ラドリオ行きました!」って返してた。違うのはたった1行、相手の固有情報に触れたかどうかだけ。
女子会で全員一致した「返したくなる1通」の構造
先月、広告代理店勤務のB子(28歳)と弁護士のC子(32歳)と六本木で飲んだとき、3人で持参したスマホの「返信した1通目」を見せ合った。
驚いたんだけど、3人の「返信した1通目」には共通構造があった。
ひとつ目は、相手のプロフィールから具体ポイントを1つ引いている。B子に来てた1通は「プロフィールに『朝活でランニング』って書いてあって、自分も最近皇居ラン始めたばかりなので気になりました」。C子は「『コーヒーは浅煎り派』って書いてあって、私も同じです。最近のお気に入りはどこですか?」。私のは前述のラドリオの人。
ふたつ目は、質問が具体で答えやすい。「最近行ったお店」「最近のお気に入り」レベルの粒度で、考え込まずに返せる。
みっつ目は、送り手の温度が1行入っている。「自分も最近始めた」「私も同じ派」みたいな、書いた人の人格が薄っすら見える1行。これがあるだけで「やり取りしてもいいかな」って思える。
逆に、3人とも全員一致で「絶対返さない」と決めてるパターンが、冒頭の「はじめまして、マッチングありがとうございます。よろしくお願いします。お仕事は何ですか?」型。テンプレートの完全コピー、相手プロフィールゼロ参照、自分の温度ゼロ。
ここで頑張りすぎなくていいこと
ただ、ここで男側が暴走しがちなポイントが3つある。これは逆効果だから先に潰しておく。
ひとつ、面白いことを言おうとすること。1通目で笑わせにくる男は、たいてい滑る。女は「会話相手として安全か」を見てるだけで、お笑い芸人を探してない。
ふたつ、キャラを作ること。「俺ってこういう人間で〜」みたいな自分語りを1通目に盛り込む男、ほぼ全員スルーされる。
みっつ、いきなり褒めすぎること。「写真めっちゃ可愛いですね!」「すごく素敵な笑顔ですね!」は、もはやテンプレと同じ匂いがする。1通目の褒めは、女側からすると「マッチした全員に送ってるんだろうな」と即変換される。
私の友人のC子(弁護士32)が一度、1通目で「お写真の感じから、お話ししやすそうな方だと思いました」と書いてきた男に返信したことがある。理由を聞いたら「写真の何を見て、何を感じたかが具体だったから」だって。「お写真の感じ」が「猫と一緒に写ってる笑顔」みたいに具体化されてたから、ちゃんと見てくれてる感じがしたらしい。
要するに、頑張る方向を間違えなければいい。初回メッセージで必要なのは、強さより返しやすさなんだよね。
📖 本文中で使った本
私自身、20代半ばで「初回メッセージで7割切られる」期間が1年あった。当時は「丁寧に書けばいい」と思って、まさに冒頭の3通型を送り続けてた。転機になったのが、プロフィールから引く具体質問と自分の温度1行をパターン化した次の本だった。
この本に書いてあった「相手のプロフィール3点を必ず読む→1つだけ引いて質問→自分の感想1行を足す」というシンプルな型に切り替えてから、Pairsの初回返信率は体感で3割→7割に上がった。テンプレ卒業の最短ルートは、たぶんここからスタートするのがいい。
今日やるなら、たった1通から
明日からじゃなく、今日。アプリでまだメッセージを送っていない相手のプロフィールを1人だけ開く。写真か自己紹介文から具体ポイントを1つ見つけてメモする。次に「具体の質問 + 自分の温度1行」の組み合わせで1通だけ書く。
送る前に、自分で読み返して「これ、自分が女側だったら返したくなるか?」だけ確認する。違和感があれば1行だけ直す。それで送る。
完璧な言葉より、ちゃんとプロフィール読んでる感じ。礼儀に少しだけ温度を足す。そのくらいが、いちばん自然なんだよね。
さて、あんたは今夜、その1通を送れる側?それとも明日もまた「よろしくお願いします」を送って消える側?
— 椎名ゆず
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本文で「相手のプロフィールを読んでいないように見える。質問が広すぎる。自分の温度がゼロ」と書いた。この三つは、結局のところ「相手の心理を読む力」がそのままメッセージに出ているだけ。メンタリズムの視点で「好意を伝えるタイミングと表現の選び方」を引き出しとして持っておくと、初回以降のLINEや会話設計まで応用が効く。私自身、初対面の温度設計に迷ったとき、この本の「印象は最初の1分でほぼ確定する」というくだりを何度も読み返した。
