見出し画像

ボードゲーム『メメントオンライン』を考える

ボードゲーム『メメントオンライン』を購入し、先日プレイしました。そちらのレビューと考えたことについてまとめてみます。

『メメントオンライン』のデザイン的な要約は以下になります。詳しくは下記のMakuake内が一番情報量ある気がします。

メメントはラテン語で「忘れるな」、すなわち「オンラインゲームの楽しさを忘れるな」、メメントオンラインはボードゲームでオンラインゲームの楽しさを再現します。

・コンセプト:忘れるな、オンラインゲームの楽しさを。
・ジャンル:半協力半対戦ゲーム
・システム:ゴーアウト系+マップ探索+トレード+キャラクリエイト
・プレイ時間:30分〜60分
・プレイ人数:1人〜5人 ※1セットあれば最大5人で遊べます。
・対象:10歳〜大人


TL;DR

◆私のコミュニティにはマッチしなかったゲームではある
 ・✕トーク重視部分のアンマッチ
 ・✕内容のアブストラクト感の強さとレース性
 ・✕ゲーム性がなくなるパターンの存在
◆個人的にゲームデザインに興味があるので考えてみた
 ・○カオス感と軽量化の両立を組み込む設計
 ・○拡張性と交渉(インタラクション)で調整というアプローチ
◆ハウスルールを考えてみた
◆「オススメデッキ」を考えてみた



初回プレイ時の所感をすなおに

初回プレイ時の状況は以下となります。

  • 4人。全員初回プレイ

  • いわゆる「重い」ゲームが好き。勝敗を最優先するコミュニティ

  • セットアップは 「BEACH MAP」、No. 1~50 のキャラクターカードをランダムに16枚でプレイ

詳細に入ります。

①『トーク』カードの存在

トークカード例。【報酬】には「燃えるフェニックスの尾」とか「スライム」とかがある。つまり『キャット&チョコレート』

初回プレイしたコミュニティメンバでは、「プレイヤーに勝利判定を委ねた」ゲーム性を Not for me としています。内容ではなく、自身の順位を上げるために最適なプレイヤーに投票するのが最適解。などと思う残念なタイプなので。

※大喜利ゲームをまったくしないというわけではなく、そういうゲームの場合は「これってキッチリ勝利点獲得目指すテンションではなくて良いよね?」という合意形成の下でゲームをスタートさせる感じです。

『メメントオンライン』はルール読み合わせ後、「最終得点が高いやつが勝つ」というルールと捉えてゲーム進行しました。もしかしたらゲームデザインの意図的にはここからズレているかもしれません。

そのうえで、キャラクターカードから『トーク』のカードは排除したランダム16枚のキャラクターカードセットでスタートしました。

この時点で「ほとんどルールに関与しないキャラクターカード」「特徴を消し合うキャラクターカード」の存在を確認。とはいえゲームは出来そうだったので続行。

※本来のルールではキャラクターカードセットの決定は以下と記載されています。
・各プレイヤーは、キャラクターカード50枚から好きなキャラクターカードを4枚ずつ選びます。(4人プレイの場合は16枚が今回のゲームで使用される枚数となる。)

後述の「オススメセットを考えてみる」で私がやっているような「キャラクターカードを眺めてワイワイすること」自体をゲームとして含めている印象がありますので、やはりゲームデザインの意図からはズレてプレイしたかもしれません。


②初回プレイ時の感想メモ

メメントオンライン 言語化。
初見4人・トークカード抜きオプション・キャラクターカードはランダムピック16枚で実施。
選択されたキャラクターカード群が怪しい組み合わせだったのもあるけど味がしない古典ゲーム感。(これは途中でトレード禁止のカードが起動したのも結構ある。)
大きく2点がしんどい

①適正なキャラクターセットの公式提供がない。
なんとなくで良いから公式推奨カードセットは提示してほしい。一部完全メタカード等も存在している認識であり、カットとか対策というレベルでなく、それによってゲーム性が無くなる・ゲームを破壊的にする組み合わせが発生するパターンがありえるのはもったいない。

②手札以外が公開情報であり、その状況で交渉するのはカロリーが高くてしんどい。構造がレースゲームなので、中盤以降は終了までの手数をカウンティングする必要が常に発生

という感じでした。
自明なので書いてないですが、カード・ボード・アクリルコマのアートワークは最高です。飾ってるだけで良いと言われたらそう思います。

プレイ感の軽さを意識したい設計意図を要所要所で感じ、「絶対に複雑になりそうなテーマをここまで削いで形にしたのはすごい」と思いました。

拡張性を考えたベースデザインだけを提供して設計されているのは『毎日がトリックテイキング(Stichtag)』を彷彿とさせ、同人ゲームの戦い方としてはかなり好みです。

一方、最低限のカードセットの提供はないのは不親切に感じました。(これもMMO始めるときの「何からどうする?」が分からない混沌時期を体験させる意図なら、確かにとは思いつつ。)

ただしこの時点では「カード全体を見ていない状況」でした。以降についてはカード全体とデザイン全体を見た上で色々なことを言ってみたり、深読みしたりしています。個人の感想を存分に含むのでご容赦ください。

物申し

◆「トレードしてくれない」について

ルール変化の1つとしてはアリかと思いますが、これによって交渉が活発になるか?という点ではNOだと感じます。後述する根本原因予測と反するためです。

このゲームにおける「トレードのしづらさ」は、「お互いがWin-Winにならないから」ではなく、以下が課題だと個人的には考えます。

①キングメイカー化への恐怖

手札以外が公開情報であり、構造がレースゲームなので、中盤以降は終了までの手数をカウンティングする必要が常に発生します。言い換えると、「ここで交渉に応じたことでキングメイカーにならないか?」が理論的にかなり予測できるはず。…という前提があるため、中盤以降の交渉が常に高カロリーになります。

②公開情報のウェイトが大きい、値付けの難しさ

"代替行動"(迂回する行動や、効率が低いけど目的を達成できる行動)をサポートするルールがほとんど無いことに起因します。勝利条件のためのキャラクターカード購入を考えても、必ず「すべてのタイプにリソースを入手しなければその先に進めない」という制約でそのプレイヤーの進行がストップします。
※一部キャラクターカードでこれは回避可能ですが、標準ルールに無いのでどうしようも無い時はありそうです。

①②から考えて、『プリーストの【パーティー結成】』の投入は、「移動したいがために交渉をする」という選択肢が増えることでカロリーが上がるので、どちらかというと更に交渉が複雑になり逆効果かな、とすら思います。

【上記を考える】

非公開情報の割合が多いデザイン / ランダム性が多いデザイン / 後で取り返しが効く(逆転が効く)デザインのゲームであれば交渉への認知負荷が下がるとは思います。(ただしこれらは程度があれど、「交渉系ゲーム」すべてに通じる話ではあります。)

公開情報を重くして、ランダム要素を意図的に排除したデザインを考えると「代替行動」が標準ルールとして導入されているのが望ましいのかな、と考えます。(ハウスルールにて検討)


◆トレード否定カードについて

このゲーム、勝利方向が「キャラクターカードを金で買う」のみであり、「金は4タイプの資源を1つずつ消費することのみで獲得できる(標準ルール)」というルール仕様上、確実に特定タイプの資源独占や、1stユーザへのカット行為が必然的に発生するデザインになっていると感じます。
ただし、能動的に特定タイプ資源をカットしに行くのは容易である一方、能動的に特定タイプ資源を取りいくのは手札運要素が強すぎることが課題として感じます。つまり「トレードが前提で調整されているゲーム性」を感じます。

(ここまでの話は「良くない」という話ではなく、ゲームのライト感を重視したデザインの結果であり、シンプルながら考えられたデザインだと感じます。)

その上でゲーム全体のトレードを禁止する『サムライの【ソロ】狩り』効果のカードはどうなんでしょうか!

多くのカードを否定するデザインなので、中々にハックされそうなカード感はあります。これ意図的に持ってくる友人とは『メメントオンライン』を遊べない気がします。

【上記を考える】

とはいえ、
①カオス感の演出のために尖ったカードが存在すること自体は好きです。むしろ他のカードもこのくらいもっと尖ってよいのではと思ったくらいです。②ほとんどの(非トーク系の)カードが 「1コストカード」で設計されている中で、これだけ2コストカードなので、おそらく設計時にも葛藤があったのかな、とか思います。
… 「交渉するたびに任意の報酬を捨てなければならない」などの禁止ではなく交渉デメリットを与える効果や、「3・4コストくらいのカードであり、買われる時はゲームが終了間近」とかだとバランス良いのかな、と思いました。


◆報酬上限と山札枯渇(リソース独占)について

これ『サムライの【ソロ】狩り』がやっぱり悪さしてません???
ゲームデザイン的に、特定タイプのリソースを占有するプレイングを意図的にデザインしていると思っていた(※)ので、「所持上限を設ける」という公式見解には少しガッカリです…。

※上述の通り「能動的な特定タイプの占有」がしやすいデザインを感じたこと、キャラクターカードには「獲得時に特定タイプの資源を全プレイヤーから奪う」みたいな破壊的に尖ったカードもあったので…

【上記を考える】

私的には「進行不能時点でゲーム終了。その場で得点計算を行う。」で良いと思ってます。トークを重視したゲーム性としては「どうするかもその場で会話して解決しろ!!MMOだろ!!??」で良いとは思います。

もし『サムライの【ソロ】狩り』が存在しない状態でも起こっているのであれば、4タイプのリソースが揃ったら自動的に金に変換されるルールとか、物理的に無限にするために「×5トークン」を用意する、とかになるんですかね。「俺スライム5体も居るけど??」とかトークタイミングで言えるようになって面白いですし。


◆アクリル製コマについて

誰がどこに居るか分かりづらいです!とはいえ透明感はサイコー。アートワークは言わずもがな良い。色ついたクリップとかで対策はできそう。


所感からハウスルールを考えてみる

①適正なキャラクターセットの公式提供がない。への対策

①対策:雑メモ
・アグリコラドラフトプラン

→セットアップのキャラクターカード選択をスキップ。全員に平等数(例えば6枚ずつ)カードを秘密裏に配った後、1枚選んで手元に残しておき残りを次の手番プレイヤーに渡す…を繰り返して平等数分のキャラクタ手札を持ってゲームを開始する。

各マップのSHOPにはダミーのカードを(例えば)コスト1、1、2、2として4枚ずつ配置しておく。

・キャラクターカードの購入の代わりに、ダミーカードを獲得する。ダミーカードの跡地に、自分のキャラクタ手札から1枚選んだカードの効果を適用する。勝利点はダミーカードを参照する。

【補足】
・元コスト2のキャラクターはコスト2のダミーカードの跡地のみ配置できるなど。コスト2のダミーカード跡地に元コスト1のキャラクターは置いてOK
・キャラクタ手札6枚置ききったら(=6回のキャラクター購入をしたら)その時点で勝ちで良いと思う。

…つまり選択する工程をスキップしつつ、自分で一定のプランを組みやすくするために、「最初から共通ボードに配置せず、キャラクターカードも個人手札からプレイする」などと言っております。眠かったんだと思います。


②「交渉のカロリーを下げたい…」の対策。

②対策:雑メモ
・いわゆる『カタン』の港を用意する

→効率悪いけど任意資源に変換できるギミックを導入する。
パッと思いつくのは
・HOME地点で止まった時に、任意資源(例えば)5枚を任意資源1枚に変換できる
・マップ端に任意資源n毎と交換できる
のような効果マスを配置すること。


このあたりはシンプルに
 <1>能動的なカットがしやすいプレイ感のわりに能動的に資源を取りいくのは手札運要素が強すぎることへの対策
…になるに加え、
 <2>ライトゲームを目指すにしては相場設定が難しいことへの対策
 <3>ボードとのコラボレーションがもっと欲しいな…と思ったので
という面もあり。

ただし、これは概ね下記のような「報酬と変換できる」系カードの存在があるので、それ入れれば解決するな、という理解を後でしました。

ちなみに…

このようなこと(『ガーディアンの防御』は購入可能なキャラクターカードではなく、「発動している状態で開始」している)が可能なら、『貴族ギルドの裏取引』は同じく開始で発動していてる方がライトに寄って良いかも。


オススメセットを考えてみる

ということで、公式からも推奨している「オススメセット」を考えてみようと思います。

【条件】
 ・4人プレイ、ハウスルールなどはナシを想定
 ・キャラクターカードは 基本50種+Makuake特典など手元にある全104枚(?)で考える。
【方向性】
 ◆非対称性のあるデザイン:
  ・せっかく交渉のあるゲームなので、効果を非対称的にすることで交渉要素を強くさせる方が「良い」という感じがします。
 ◆方向性をゲーム開始時点に提示:
  ・ある程度の定石パターンは提示させて、ゲーム開始時の「何やったら良いか」感を軽減します。
 ◆『トーク』は排除:
  ・(ただの好みです。)

①MAP

標準MAPは「BEACH MAP」とします。
 →MAPの中で最も「非対称性」を感じるので。

②結論のカードセット

なんとなく考えた順番どおりに 上から下に並べた16枚としています。
以降なんとなくを解説。

1.『貴族ギルドの裏取引』

"代替行動" をゲームに導入するための必要悪として投入します。これがあるだけで「とりあえず『報酬』集めておけば勝てる」が方向性として決まって見通しが良くなるのではないかな、感があります。


2~4.『【水辺】釣りワープ』『【岩】ベテラン採掘』『【森】ベテラン狩猟』

せっかくなのでMAP地形を活かしたい。地形カードは
 <1>地形間ワープ
 <2>その地形マスにいれば:1手番使って1報酬
 <3>その地形マス入れば1報酬

の3種類が対象的にデザインされています。そしてBEACH MAPには飛び地になるのが「水辺」しかない。
<2>と<3>を比べたときに、移動&報酬が行える<3>の方が強いと判断した結果がこちら。水辺→ワープそれ以外→手番ズラシが無理なく可能 という固有プレイ感を出します。固有プレイ感はあればあるほど楽しいハズです。


5~7.『商人の【食料】独占』『商人の【食料】転売』『道具屋の裏取引』

2~4の結果、【岩】→「素材」、【森】→「経験値」への報酬確保がやりやすくなるはずです。他の報酬も非対称的にするため、「食料」は独占すると強い「アイテム」は金と単独で直接交換可能、ということにしてみます。


8.『シーフの【ソロ】狩り』

1人くらいソロプレイに走ったり、独占や盤面硬直への打開策を持っても良いハズです。【ソロ】系はいくつかあるのですが、一番「トレードできなくなる」と相性が良いデザインはこれかなと思いました。


9~16. その他

それ以外の中から「取るモチベーションがしっかりしているもの」「他のルールと無意味または破壊的な干渉をしないこと」を考えて、このあたりかなぁと思ったものを並べてみました。

PvPは枠的に入らなかったのですが、『商人のトレード』とか、わりと致命的な攻撃デザインをしてるので実質PvPみたいなものです。必要悪として投入。まあこのゲーム、資材のカットと独占で常にPvPしてるみたいなもんと考えてます。


③余談

最小構成でPvPを入れるとしたら下記の4枚がセットかな、と思いました。

まずは『オオカミのマスク』を最速で購入してもらって、『アーチャーの【高速移動】』→『アーチャーの【PvP】』→『ダークナイトの【PvP】』といったルートでしょうか。

そもそもこのゲーム、PvPをやりたいプレイヤーは、必要なカードが3枚以上になるものの、4枚目くらいでゲームが終了するバランスなはずなので、モチベーションがなかなか沸かない、というジレンマがあります。

このあたりなら成立しそうな気はします。が、他のプレイヤーに取って嬉しくないキャラクターカードが増えるのもな、という思いもあります。


なんとなくゲームに使えそうなカードリストをピックアップした様子。


以上

なんだかんだで数日は『メメントオンライン』のことを考えていました。そういう魅力があるゲームではあります。『メメントオンライン2』も企画中の状況らしいので、今後の動向にも期待です。

この内容がなんらかのなにかの参考になれば幸いです。


いいなと思ったら応援しよう!