【簡単あらすじ】真夜中に彼女たちは・社労士のヒナコ(微ネタバレ)【水生大海/文春文庫】
『 だからやっぱり、対話して欲しいんですよ 』
勤務社労士・朝倉雛子の所には
定年問題|ストーカー対策|退職代行|従業員の育成
など、クライアントから様々な案件が持ち込まれます。
サラリーマンなら、大なり小なり共感出来る一作。
是非ご一読ください。
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『はじめに』
日に日に夏日・真夏日となる日が多くなっています。そして梅雨の時期特有の気候である、突然の雨と涼激しい気温差によって体調を崩している方も多いと思います。そうすると、部屋で過ごすことが多くなり、現在は読書が捗る時期とも言えます。
このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
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オール讀物に掲載された三編と書き下ろし一遍の短編集です。
1.真夜中に彼女たちは
「定年の引き上げですか」
街のラーメン屋が窃盗の被害に遭った。
表のシャッターをこじ開けられ、売上金を取られたという。
その店には防犯カメラが無いため、
周辺では多くの警察官が聞き込みを行っているという。
ヒナコは、ラーメン店の隣の店の専務から、
辞めさせたい従業員がいる、という相談を受ける。
2.封じこめた思い
「私は経営者として育ってなかった」
クライアントである、アクセサリーや雑貨のセレクトショップ。
最近、取扱い商品を俳優が身につけていたこともあり、突然売り上げが激増したという。
しかし、同僚が給与計算をしたところ、アルバイト従業員が最低賃金を割っていることが判明する。
社長と面談をし、給与アップ等を行うことで問題は解決した。
その三か月後、店にトラックが突っ込んできたという連絡を受けるまでは。
3.ジンジャーの憂鬱
「注目されるのもやっかいだね」
クライアントである山本弥三郎商店が放映しているJリーグ選手や社長、会社の従業員が出演するジンジャー飲料の新CMが好評だ。
しかし、その後、出演した選手が事故を起こしたり、
女性従業員がストーカー被害を受けたりといった問題が次々と発生してしまう。
どちらも会社運営に大きく影響する問題であるため、どのような対策を取るか、ヒナコは会社と話し合う。
4.声をあげて
「だからやっぱり、対話してほしいんですよ」
顧問先・老舗靴メーカーの総務部から、ある従業員が退職代行を利用し、突然退職の連絡を受けたという話しを受ける。
ヒナコがその原因を聞くと、おそらく上司のパワハラが原因の一つとなっているのではないかということ。
退職の手続きとともに、会社内に窓口を作ったり・ハラスメント対策研修を行うなど、風通しの良い雰囲気を作る必要がある、とアドバイスをした。
その数か月後、今度は、新プロジェクトの発起人である従業員が退職代行を利用した退職を行ったという連絡だった。
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本作品は社労士・朝倉雛子が顧問先の問題に対応するという、お仕事小説です。
以前から記事にしていますように、水生大海さんは好きな作家さんであり、今までも多くの作品レビューをしています。
そして、本作は水生大海さんの代表的シリーズ「社労士のヒナコ」であり、存在は知っていたのですが、あまり読もうとは思っていなかったシリーズでもあります。
それは、私自身が社労士を本業にしていることもあり、失礼な話しですが、
「どうせ、社労士(人事労務業務)の薄っぺらいところだけを取り扱い、それに対し主人公が快刀乱麻を断つ、といった話でしょ?冷笑」
と思っていたからなのですが、読了すると、思っていた以上に社労士の現状を踏まえて掲載されていたので面白かったですし、(良い意味で)スッキリしない話だったところも良かったです。
個人的には「ジンジャーの憂鬱」がとても刺さりました。
というか、似たような案件を対応していたことを思い出しました。
従業員数十人の中小企業が舞台。
突然発生する、会社を揺るがす大きな出来事(良い意味でも悪い意味でも)によって、様々な形で現れる、社長と従業員/従業員同士の関係性。
さらに、従業員本人だけでなく、そこに家族や周囲の思惑も絡んでくる。
この話を読むだけでも、人事労務問題の解決の難しさ・解決のために必要な時間や労力の大きさが分かると思います。
また、封じこめた思いの
「私は経営者として育ってなかった」
というセリフも良かったです。
もちろん、会社のトップは社長であり、社長がブレない思いを持ち・行動するということは重要ですが、ある一面においては、柔軟性を持ち・時代や環境に合わせて変わっていくことはとても重要です。
ハッキリ言って、読んですっきりする・良い読了感を得るための読書として最適な作品ではありません。
しかし、社労士の実際の風景・人事や総務の仕事の雰囲気を味わいたいという方には最適なお仕事作品。
是非ご一読ください。
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