【簡単あらすじ】世界でいちばん透きとおった物語2(微ネタバレ)【杉井光/新潮文庫】
『 ーーすき焼きだったかな、たしか 』
前作からテイストは変わらず、
ありふれた安楽椅子探偵ミステリーでは終わらない本作を
是非ご一読ください。
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『はじめに』
まだまだ雪の日が多いものの、三寒四温という言葉のとおり、少しずつ温かい・春の陽気を感じられる季節になってきました。そして、明るい日の光が部屋に差し込むようになると、気持ちも穏やかになり、読書が捗る季節になってきたとも言えます。
このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
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『 そうなんです。僕には責任があったんです 』
コンビ作家<翠川双輔>のアイデア・プロット担当である菊谷博和が亡くなった。
この作家は、マニアックな本格ミステリ専門誌「月刊アメジスト」で「殺導線の少女」という作品を連載していたが、その作品は未完となる予定だ。
殺導線の少女は、多くの読者から傑作とみなされており、未完になってしまうのはとても惜しまれている。
作品の続きのために、既に発表された内容から、何とか菊谷の意図を探り・完結させることは出来ないかと問われても、
<翠川双輔>の執筆担当である宇津木静夫の対応は「無理なものは無理」とそっけない。
大ヒットデビュー作「世界でいちばん透きとおった物語」の刊行から一年が経ったものの、未だに自作の長編作品を形作ることさえ出来ないでいる藤阪燈真のもとに、作品を惜しむ担当編集から「その先生の意図を推測出来ないか」という依頼が舞い込む。
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前作、世界でいちばん透きとおった物語
は大ヒットしましたし、私も読了しましたが、昨年のベスト本と言ってよいほどの衝撃を受けました。
そうなると、続編である本作について、どうしても前作と比較したり、前作を引きずることになってしまうことになってしまったのですが、本作の読了感は決して引けを取りませんでした。
前作よりも、編集者・深町霧子さんの安楽探偵ぶりは強まったのですが、作家・藤阪燈真さんの役割も強まっており、謎を解いた(解いてしまった)後の世界を整えるためには必須の人物になっており、程よく二人のバランスがとられています。
読了後の衝撃度は前作に届かないかもしれませんが、
作品全体の読了感としては、私は本作のほうがとても好きです。
前作は、藤阪燈真の父親であり作家である遺作を巡る物語、つまり藤阪燈真自身に深く関係している物語でしたが、本作は、ほぼ自身には関係の無いような出来事にも関わらず、関係を持った(持ってしまった)方のために・他人のために行なった物語、というところが世界観を含めとても良かったです。
二人の関係性と作品の世界観が続いていくのであれば、
次作も凄く楽しみです。
大ヒットとなった前作に埋もれてしまいがちな二作目。
けれど、負けず劣らない本作を是非ご一読ください。
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また、本作にも気になった(心に残った)表現があります。
① 19歳女子高生の会話
「ミステリーって難しいから全然読んだことなかったんです。ほら、キャラいっぱい出てきて全部覚えなきゃいけないのかな、とか、推理しながら読まなきゃいけないのかな、とか身構えちゃって。」
という話しがあって、確かに学生にミステリーってあまり評判が良くない、というか、中々読み始める人がいないのはこういうところかもしれない、と感じました。
大人になると、その難しさがクセになるんですが、読書をし始めようとする方にはミステリーは難しいのかもしれませんね。
➁ ミステリの定義など
「孤独を愛するーーなんて作家ぶってみたところで、だれとも触れ合わないままでは人間はやはりゆっくり乾いてひび割れていくものなのだ」
「驚きと納得は本来両立しないものだからです。納得できるということは前提条件から論理の筋道がつながっているということで、とりもなおさず読者が論理をたどって予測できる、つまり驚けない、ということでもあります。驚かせるためには、論理の筋道のどこかに読者の考えつかないような飛躍的な展開を入れなければなりません。都筑道夫はこれを《論理のアクロバット》と呼んでいるのですど、わたしはこの言葉がミステリの精髄だと思います。なるべく高く、なるべく遠く、読者の想像力を超えたはるか彼方に跳躍しながら、着地してみせるのがミステリです。着地できなければそれはただの無謀な身投げで、蛮勇を笑われるだけです。見事に着地するアクロバットだからこそ読者はそこに美しさを見出すんです」
どちらの部分も心に残りました。
私がぼんやりと・何となく感じていることでも、このように分かりやすい文章に変換してもらえると、はっきり理解出来・とても納得です。
こういった文章を読むと、プロの凄みを感じます。
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