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空間装飾は、誰に相談すればいいのか

装飾ができる人ではなく、必要かどうかから考えられる人へ


空間装飾を取り入れたいと思ったとき、誰に相談すればいいのか。


これは、意外と難しい問いである。


なぜなら空間装飾は、花やグリーンを飾るだけの仕事ではないからだ。


空間の印象、ブランドの見え方、お客様の体験、そして実際に形にする施工や構造まで関わってくる。


だから、相談すべき相手は「装飾ができる人」だけでは足りない。


その空間に今、本当に装飾が必要なのか。


必要だとすれば、何のために取り入れるべきなのか。


そこから一緒に考えられる人に相談するべきだと思う。


今回は、空間装飾は誰に相談すればいいのかについて考えてみたい。




1. 空間装飾の相談は、装飾物の話から始まらない


空間装飾というと、つい「何を飾るか」から考えたくなる。


花を入れるのか、グリーンを使うのか、壁面を飾るのか、造形物をつくるのか。


もちろん、最終的にはそうした具体的な表現に落とし込んでいく。


けれど、本来の相談はもっと手前から始まる。


その空間は、事業の中でどんな役割を持っているのか。


お客様に何を感じてもらう場所なのか。


今の空間に、何が足りていないのか。


そこを見ないまま装飾だけを考えると、見た目は整っても、事業にとって意味のある空間にはなりにくい。


美容室、クリニック、店舗、フォトスタジオ、ホテル。


どの空間にも、それぞれの目的がある。


安心感が必要な場所もあれば、高揚感が必要な場所もある。


親しみやすさを出したい空間もあれば、上質さや非日常感を伝えたい空間もある。


装飾は、その目的に対して必要な表情をつくるための手段である。


だから、空間装飾の相談は、何を置くかではなく、何のために空間を装うのかから始めるべきだと思う。





2. 空間装飾が必要ないタイミングもある


空間装飾は、いつでも必要なものではない。


ここは、提供する側がきちんと理解しておくべきことだと思う。


お店をもっと魅力的に見せたい。


空間を良くしたい。


お客様に喜んでもらいたい。


その気持ちはとても自然である。


ただ、事業には段階がある。


まだ新規のお客様を増やすことが最優先なのであれば、空間装飾よりも先に整えるべきものがあるかもしれない。


広告、販促、ポスティング、SNS、検索導線、地域での認知。


近隣のお客様に来てもらう必要がある事業なら、まずはその入口をつくる方が効果的な場合もある。


その段階で空間装飾だけを取り入れても、期待していた成果とずれてしまうことがある。


空間装飾をしたのに、新規集客につながらなかった。


そう感じてしまうのは、装飾の質だけの問題ではない。


最初に設定した目的が、そもそも空間装飾と合っていなかった可能性がある。


だからこそ、空間装飾を提案する側は、仕事を受ける前に考える必要がある。


今、このお客様に本当に空間装飾が必要なのか。


場合によっては、今はまだ別の施策を優先した方がいいと伝えることも必要だと思う。


それは仕事を断るというより、お施主さんの事業に対して誠実であるということだ。




3. 空間装飾は、新規集客の即効薬ではない


空間装飾は、新規集客の即効薬ではない。


私はそう考えている。


お客様は、空間装飾を見るためだけにその店へ行くわけではない。


美容室なら髪を整えるために行く。


クリニックなら診療や施術を受けるために行く。


飲食店なら食事や時間を楽しむために行く。


まず、その事業が提供している価値がある。


空間装飾は、その先にある体験に作用する。


一度その場所に来てもらわなければ、空間の良さは伝わらない。


だから、装飾を入れたからすぐに新規のお客様が増える、というほど単純なものではない。


もちろん、印象的な空間がSNSで広がったり、口コミにつながったりすることはある。


けれど、それは空間装飾だけで起こるものではない。


事業の魅力、サービスの質、発信、導線、接客、空間体験。


それらが重なった結果として、初めて人に伝わっていく。


空間装飾は、集客の入口を一気に増やす魔法ではない。


むしろ、来てくれた人の体験を深めるものだと思う。


その場所に来てよかったと感じてもらう。


また来たいと思ってもらう。


誰かに話したくなる記憶を残す。


空間装飾は、そうした感覚に静かに作用する。





4. 空間装飾が力を発揮する段階


空間装飾が力を発揮するのは、事業が次の段階に進もうとしているときだと思う。


すでにお客様が来ている。


商品やサービスにも一定の評価がある。


その上で、もっとお客様に喜んでもらいたい。


この場所を、もっと好きになってもらいたい。


ブランドの印象を、空間でも伝えたい。


そういう段階にある事業者にとって、空間装飾は有効な選択肢になる。


私自身、制作と営業を自分で行いながら、お客様が何のために空間装飾を求めているのかを考えてきた。


早い段階で感じたのは、多くの場合、それは単なる飾りつけではないということだった。


すでにある事業の価値を、もっと伝わる形にしたい。


既存のお客様やリピーターに、もう一度喜んでもらいたい。


来店や滞在の体験を、記憶に残るものにしたい。


そのための選択肢として、空間装飾がある。


だから私は、空間装飾をブランディングの一つの手段として捉えている。


ただ華やかにするためではない。


事業の価値やブランドの印象を、空間の中でどう体験してもらうか。


そこまで考えたとき、装飾は単なる飾りではなくなる。


空間装飾を深く理解するには、花材やグリーン、造形の知識だけでは足りない。


経営、マーケティング、ブランディング、カスタマーエクスペリエンス。


そうした視点を持って、お施主さんの事業を理解する必要がある。


それがなければ、空間装飾はただの施工になる。


あるいは、見た目だけの飾りになってしまう。




5. 相談先は、最初の会話に表れる


空間装飾の相談先を見極めるとき、過去実績は大切である。


どんな空間を作ってきたのか。


どれくらいの規模に対応してきたのか。


立体感や素材の質、施工の完成度はあるか。


写真から見えることは多い。


ただ、写真だけでは見えないものもある。


その会社が、最初に何を聞いてくるかである。


もし打ち合わせの場があるなら、こう聞いてみてもよいと思う。


「まだ空間装飾をやるかどうかは決まっていません。この空間を見て、何が必要だと思いますか」


この問いに対して、すぐに装飾物の話から入る相談先には、少し慎重になった方がいい。


ここにグリーンを入れる。


この壁を飾る。


花を置いて華やかにする。


そうした提案が悪いわけではない。


ただ、最初から手段に入ってしまうと、その空間に本当に必要なことを見落とす場合がある。


大切なのは、装飾の前に、その事業を見ることだと思う。


お客様に選ばれている理由。


これから育てていきたいブランドの印象。


今、事業として優先すべき課題。


そうした前提によって、必要な空間装飾は変わる。


目的地を確認しないまま地図を描いても、正しい場所にはたどり着けない。


空間装飾も同じである。


相談先を見るときは、作品の美しさだけではなく、最初に何を聞いてくれるかを見た方がいい。




6. 最後は、形にできる実装力が必要になる


事業やブランドを理解できるだけでは、空間装飾は完成しない。


最後は、それを現実の空間に落とし込む力が必要になる。


どれだけ良いコンセプトがあっても、現場で成立しなければ意味がない。


素材を選ぶ力。


造形をつくる力。


下地や構造を考える力。


安全に施工する力。


予算の中で、どこに価値を集中させるかを判断する力。


こうした実装の知識がなければ、空間装飾は絵に描いたイメージで終わってしまう。


たとえば、同じ壁面グリーンでも、ただパネルを貼るだけのものと、空間の印象から逆算して立体的に設計するものでは、完成度がまったく違う。


見せ場をつくる位置。


見る角度。


密度を持たせる範囲。


簡略化しても空間価値を損なわない部分。


その判断によって、同じ予算でも仕上がりは変わる。


空間装飾の相談先には、事業やブランドを理解する力と、現場で形にする力の両方が必要である。


どちらか一方だけでは足りない。



7. 空間の表情を、ともに考える相談先へ


空間装飾は、最後に足される飾りではない。


その空間に必要な表情や体験を立ち上げるための表現である。


だからこそ、誰に相談するかはとても大切になる。


装飾ができるだけでは足りない。


今その空間に本当に装飾が必要なのかを考えられること。


お施主さんの事業やブランド、そこに来るお客様の体験まで見た上で提案できること。


必要であれば、今はまだ空間装飾ではないと言えること。


そういう相談先が、これからの空間装飾には必要だと思う。


RETHECITYは、空間装飾を単なる施工や飾りつけとしてではなく、空間の印象や体験をつくる設計要素として考えている。


花、グリーン、造形、造木、壁面、天井、季節装飾。


それらを、空間の目的やブランドの方向性に合わせて組み立てていく。


最後に呼ばれる装飾業者ではなく、空間の表情をともに考えるパートナーでありたい。


空間装飾は、何を飾るかだけの話ではない。


何のために装うのか。


その空間に、今どんな価値が必要なのか。


そこから一緒に考えられる相手に相談することが、空間装飾を成功させるための第一歩だと思う。



次回予告

次回は、空間装飾という領域は、なぜまだ整理されていないのかについて考えていきます。


RETHECITY JOURNAL

RETHECITY JOURNALは、空間装飾・空間ディスプレイ・空間デコレーションの領域から、空間価値について考えるジャーナルです。

リザシティジャパン株式会社では、花・植物・造形・アーティフィシャルフラワー・フェイクグリーンなどを用いた空間装飾を手がけています。


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