「そのAI、行政に売れますよ」——現役・経産省キャリアに自作サービスをぶつけたら、9割の起業家が知らない"161兆円マーケット"の扉が開いた話
正直に言う。
僕はAIで電話応答を自動化するサービスを作った。問い合わせが来たら自動で答え、レストランなら予約まで取ってくれる。技術的にはそこそこ自信があった。
でも、ずっと一つの問いが頭から離れなかった。
「これ、結局どこに売るんだ?」
飲食店? 中小企業? もちろんアリだ。でも単価も低いし、営業の母数を考えると気が遠くなる。そんなとき、大学院の講義に現役の経済産業省キャリア官僚がゲストで来た。テーマは「官民連携」。
正直、最初は他人事だと思っていた。「行政? 役所に住民票取りに行くアレでしょ。自分のビジネスには関係ない」と。
——その認識が、90分で完全にひっくり返された。
そして勇気を出して、自分のサービスをそのままぶつけてみた。「このAI電話応答システム、行政にどうやって売るんですか?」と。
返ってきた答えが、想像の斜め上だった。この記事は、その日の僕の"気づき"を全部書き出したものだ。起業している人、これからする人、そして僕みたいに「良いプロダクトはあるのに売り先で詰まっている人」には、たぶん刺さる。
気づき①:日本市場の「4分の1」を、9割の人が最初から捨てている
まず冒頭で出てきた数字に殴られた。
日本のGDPは約662兆円。これは「日本国内で誰かが消費した金額」の合計だ。で、その内訳をざっくり割ると——
民間部門(家計+企業):約75%
公的部門(国+自治体):約25%=161兆円
161兆円。とんでもない金額だ。
僕たちが「モノを売ろう」と考えるとき、頭に浮かぶのは個人か企業だ。でもそれは市場全体の4分の3でしかない。残りの4分の1、つまり「行政」という巨大な買い手を、多くの起業家は検討すらせずに捨てている。
しかもこの161兆円、内訳を見ると国(29兆円)より地方自治体(69兆円)のほうがはるかに多い。なんとなく「国がドカンと使ってそう」というイメージがあるが、実際に金を動かしているのは地方なのだ。
大阪府庁は予算規模3.2兆円・職員1.1万人。これは日本生命や日本航空クラスの"超大企業"に等しい。堺市(人口80万人)はオリエンタルランド、東大阪市はカプコンやマネーフォワード規模——そう聞くと、急に「売り先」としてリアルに見えてこないだろうか。
行政は、普通にモノを買う。鉛筆も、飲み物も、ウェブ制作も、テレアポ外注も。これを専門用語で 「公共調達」 と呼ぶ。
国なら「調達ポータル」、自治体なら「入札情報公開システム」。ここに"行政が今ほしいもの"が全部載っている。僕はその日の夜、さっそく自分の地域のポータルを開いて検索した。これだけで、見えている世界の解像度が変わる。
気づき②:「実績」は「新規性」に勝つ。行政は"最初の客"になりたがらない
ここが僕にとって一番の衝撃だった。
民間相手なら、「これ、どこにもない新しいサービスなんです!」は強力な殺し文句だ。新規性、独自性、革新性——僕らはそれを磨くことに必死になる。
ところが行政相手だと、これがむしろ逆効果になることがある。
なぜか。官僚は、構造的に失敗を許容されない立場にいるからだ。財源は税金。一社のために税金を使って、もしコケたら「税金を無駄にしたのか」と袋叩きに遭う。だから彼らが本能的に求めるのは、新規性ではなく 「安定性」 だ。
「初めてです、革新的です」より、
「隣の大阪市が、もう導入してます」
——こっちのほうが、行政には圧倒的に響く。
これは僕のAIサービスにそのまま跳ね返ってくる話だった。「最先端のAIです」とアピールするより、「すでに○○市で稼働しています」という"たった一件の実績"のほうが、次の100件を呼ぶ。
だからこそ、講師はこう言った。**「行政にたとえ10万円でも売れたら、それは10万円以上の価値がある」**と。実際、スタートアップが自社サイトに「堺市と取引実績あり」と書きたがるのは、その"信頼の借用"が次の商談を有利にするからだ。
ここまでが、無料で書ける範囲。
ここから先は、僕が自分のAI電話応答サービスを官僚に直接ぶつけて引き出した、**「行政に売るための具体的すぎる戦術」**を書く。正直、これは有料にしないと損だと思ったので、ここで線を引く。
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