発達障害でも大学院は卒業できるか——「できる」と言い切るために必要なもの
by シツカン(リワーク・アベール)
ASDとADHDの診断を受けている。ただし、その診断がついたのは帰国後——イギリスの大学院を修了してから、しばらく経ってからのことだ。
渡航中は何も知らなかった。「なんとなく動けない日がある」「人との距離感がうまく掴めない」「締め切り直前にしか動けない」——それを全部、自分の性格の問題だと思っていた。今から振り返ると、特性として説明がつくことばかりだった。
そういう状態で修士を取った。だから「発達障害があっても大学院を卒業できますか?」と聞かれたとき、「できます」と答える。ただし条件がある。
修士課程でADHDが「不利になる場面」
正直に書く。
締め切り管理: 修士課程はエッセイ・プレゼン・論文の締め切りが複数重なる。これはADHDの「先延ばし」と「時間感覚の曖昧さ」が最も影響しやすい場面だ。
長時間の集中: 修士論文(15,000語以上)を数ヶ月かけて書き続けることは、持続的な集中を必要とする。過集中が乗れば爆発的に書けるが、エンジンがかからない日は一文も書けない。
セミナーでの発言: 週次セミナーでは文献を読んできて即興で発言することが求められる。準備が不十分だと詰まる。
整理整頓・情報管理: 大量の文献・ノート・フィードバックを管理することが苦手な場合、重要な情報が埋もれる。
修士課程でADHDが「有利になる場面」
過集中: 自分のテーマに入り込んだとき、普通の人が5時間かけることを12時間ぶっ続けてやれる。修士論文の核心部分はこの状態で書いた。
非線形な思考: 「この論文とこの論文が実は繋がっている」という直感的な接続が、批判的思考の場面で機能することがある。
強烈な関心: 好きなテーマに対する熱量は本物だ。「面白くない」から逃げる力と「面白い」に突進する力が両方ある。
実際にやった対策
締め切りの外部化: カレンダーに締め切りを入れ、2週間前・1週間前・3日前のリマインダーをセットした。「頭の中で管理する」ことを諦めた。
作業を細分化する: 「論文を書く」という大きなタスクは起動できない。「今日は第2章の最初の3段落だけ書く」に分解する。
場所を変える: 部屋で集中できないときは図書館に行った。環境のスイッチが思考のスイッチになった。
指導教員への開示: 担当教員にはADHDがあることを伝えた。「締め切りを共有して確認し合う」という合意を作ることで、管理の責任を分散させた。
締め切りの少し前を「自分の締め切り」にする: 公式の締め切りの2〜3日前を自分のゴールにして、バッファを作った。
「開示するか」という問い
英国の大学院ではDisability Office(障害支援部門)に登録することで、追加の支援が受けられる場合がある。
試験時間の延長
静かな試験環境
フィードバックの代替形式
開示することによるデメリット(偏見など)より、支援を受けるメリットを取ることを勧める。英国の高等教育機関はEqualiy Act 2010に基づく合理的配慮の義務がある。
日本の大学院でも、障害学生支援室の整備が進んでいる大学では同様の支援を申請できる。
結論:できる
発達障害があっても大学院を卒業できる。
条件は「自分の特性を理解して、それを前提にした仕組みを作れるか」だ。特性がないふりをして「普通の学生と同じやり方」で戦おうとすると、無駄な消耗が起きる。
特性を武器として使いながら、弱点を仕組みで補う——これが自分が実際にやってきたことだ。
おすすめサービス
Awarefy
発達障害や適応障害のメンタルケアをしたいなら、Awarefy はAIが24時間サポートするメンタルケアアプリです。Google Playベストアプリ受賞の信頼性で、まず無料体験から試せます。
Neuro Dive
AIやデータサイエンスを学びながら就職を目指したいなら、Neuro Dive はITスキルと就職支援を組み合わせた就労移行支援事業所です。まずは無料のWEB説明会から。
この記事を読んだ方へ
英語論文の引用形式・プレイジャリズム回避・アカデミックライティングを日本語でまとめた本を出版しています。
📘 『脱・パクリ英語論文』(Kindle版・シツカン著)
👉 Kindleで読む(Amazon)
論文・エッセイの文法チェックには LanguageTool も合わせて使うと効果的です。無料版でも基本的な文法・スペルチェックができます。
この記事を書いた人:シツカン(リワーク・アベール)。ADHDと適応障害の当事者。University of Leicester 博物館学修士(Merit)。
スキ、フォロー、コメントどしどしお待ちしています。
📌 発達障害があっても、キャリアは積み上げられる
就労移行支援Neuro Dive
AI×データサイエンスが学べる就労移行支援
発達障害のある方向けに、AI・データサイエンスの専門スキルを身につけながら就職を目指す就労移行支援。オンラインで無料説明会を実施中。
無料WEB説明会に参加する →
Kimochi オンライン心理カウンセリング
カウンセリングを予約する
Notta AI文字起こし・議事録の自動作成
無料で試してみる
※ 上記リンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。記事の内容は筆者の実体験に基づいています。
