耳ダンボ👂テーラー稲津の内緒話①「異星人アリサとシーターヒーリングの黒い掌事件」【ショート】
今日から心機一転して、ほぼ実体験に基づく短編小説を書き始めることにしました。
ちなみに、時々かなり突飛な内容になるかもしれませんが、気軽に楽しんでいただけると嬉しいです。
◇
最近、友人のA子が「人生を変えるセラピーがある」と言って、話題のシーターヒーリングに行きました。
引き寄せブームに乗って、あの角由紀子さんのベストセラー『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』にも登場するあのセラピー。
A子は言いました。
「過去のトラウマを消して、願望を叶えるなんて……行くしかないでしょ?」
セラピー当日。
セラピストさんは、角さんの本のイラスト通りにA子の手をそっと握り、瞑想を始めたそうです。
部屋は静まり返り、空気がふわっと柔らかくなったとき、
「あなたの潜在意識にアクセスしますね……」
というセラピストさんの声。
ところが、瞑想が終わり、A子が手を離した瞬間——
セラピストさんの掌が真っ黒になっていたというのです。
え?墨汁?
違う。炭?
違う。
まるで、宇宙の闇そのものを掴み取ったような漆黒の掌。
セラピストさんは絶句したとか。
「え…えええ……?」
声にならない声が漏れ、A子は言ったそうです。
「ごめんなさい。私、ちょっと……フツーじゃないの」
そう、彼女こそ——異星人アリサ。
どうやら、シーターヒーリングの“潜在意識アクセス”が、彼女の本質に触れてしまったようです。
セラピストさんは、しばらく掌を見つめたまま動けなかったそうですよ。
そして、アリサが地球人ではないことも理解したかもしれません。
その後、セラピーの記録は消去され、アリサの予約履歴も“存在しない”ことになっていました。
でも私は知っています。
あの日、アリサが引き寄せたのは「願望」じゃなくて——宇宙の真実だったって。
流行のシーターヒーリングは、地球人にしか向かないのかもしれませんね。
おしまい
