五城目の駄菓子「かりんとう」伊藤菓子店 秋田県南秋田郡五城目町 和菓子なスクチャイ149 2025.10.04
和菓子なスクチャイ149 秋田県 > 秋田郡五城目町
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
五城目の駄菓子「かりんとう」伊藤菓子店 秋田県南秋田郡五城目町


1.秋田ででかい「かりんとう」発見
かりんとう(かりん糖)というと歪んだ棒状で濃い焦茶色の甘苦い固いお菓子でなぜかおばあちゃんが好んで食べている・・・というような印象があるが、秋田駅から徒歩圏内の秋田県産品プラザで吾輩が見た「かりんとう」は赤ちゃんの顔ほどの大きさで丸くて薄い煎餅状のものであった。
袋に「かりんとう」と書いてあるので確かに「かりんとう」には違いないだろうが、内心「どこがかりんとうやねん?」との猜疑心は隠せなかった。
遠路持って帰るには嵩張るし割れそうなのだが税込432円で購入した。
2.食べる



鞄の中に入れて結構雑に持ち帰ったつもりだが、家に持ち帰った「かりんとう」は欠けることもなく買った時のまま正常の見た目だった。
案外想像以上に固いのだろうと思った。
しかし食べるには固すぎるのは考えもので、買って後悔するようなお菓子の恐れもあった。
開封して袋の中でひと口サイズに割ってみた。
カリッと小気味良い音を立てて割れたが、その感触はやっぱり結構固いのだった。
それを齧ってみた。
うまい!
確かに揚げてある感じなので「かりんとう」の気はするが、固くて甘くて香ばしい小麦煎餅といった感じでもあった。
それに表面の裏表に塗りたくっている羊羹・・・というかあんこかもしれないと最初は思ったが、これは黒蜜なのだ。
しかもムラがあるように塗られている。
その甘味がうまく固い生地に合っていて実に素朴な旨味で美味しいのだった。
パッと見てチョコレートに見えるがチョコレートではなくて黒蜜の塗りものだ。
しかし実際チョコレートでもあんこでも合いそうに思った。
こりゃポリポリパクパクと際限なく食べられるお菓子だ。
食べるブレーキをかけるのが難しいお菓子だ。
えらいお菓子を買ってしまったものだと吾輩は嬉しくなっていた。
3.伊藤菓子店
「かりんとう」のメーカーの伊藤菓子店は、創業60年以上の歴史を持つ老舗の菓子店で、地元で長く愛されている素朴な駄菓子が看板商品のようだ。
秋田県南秋田郡五城目町字石田六ヶ村堰添120-7(JR八郎潟駅から車で約10分ほどの距離)にある実店舗では昔ながらの対面販売を行っており、お好みのお菓子を直接購入できるらしい。
五城目町(ごじょうのめまち)を離れた人が、懐かしんでわざわざ買いに帰ってくることもある地元に根差したお店なのだ。
4.「五城目のかりんとう」の特徴
伊藤菓子店の「かりんとう」は一般的な棒状のかりんとうとは大きく異る秋田県五城目町独自のスタイルを持つ伝統的な駄菓子だ。
せんべいのような平べったい大きな丸い形(または四角い食パンのような形にも見える)といった「かりんとう」にしては珍しい形状をしていて、一見するとソースせんべいのようにも見える非常に珍しい「かりんとう」だ。
これは渦巻き状に練った生地を薄く伸ばして油で揚げるという手間のかかる製法で作られている。
薄く、パリパリ、ポリポリとした軽い食感が特徴で、食べ応えがありながら素朴でどこか懐かしい味わいだ。
先に書いたように表面に塗られているのは黒蜜(黒糖蜜)で、最大の特徴は生地全体に満遍なく蜜を塗らず黒糖蜜をササッと一部にだけ塗るスタイルなのだ。
蜜が塗られていない素揚げの部分の香ばしさと黒糖蜜が塗られた部分の奥深い甘みが混ざり合い、甘さの抑揚が生まれるのだ。
料理の世界でも、わざとムラをだして味に変化を付けることがあり、例えばお好み焼きのソースやトッピングの付け方だ。
「キッチリまんべんなく塗りましょうね~」から「適当でええねん!」に変えただけで食べるときの変化になり楽しさとおいしさに変わるのだ。
それは吾輩自身がお好み焼きなどで実践し体感していることだ。
秋田の「かりんとう」もそのムラのある黒蜜の塗り方のため、通常の黒糖かりんとうよりもさっぱりとしておりいくつでも食べられる素朴さを醸し出しているわけだ。
5.東北の駄菓子文化
このような板状のかりんとうは東北地方の一部に見られる形態であり、北東北特有の駄菓子文化の表れとも言われている。
なお、吾輩はTVドラマは見ないので知らなかったが、かつてNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』に登場したことで全国的な注目を集めたとのことだ。
6.伊藤菓子店の他のお菓子
伊藤菓子店では、このかりんとうのほかに伝統菓子の「げんこつ」や、近年は地元産のキイチゴを使ったブッセやスイートポテトなども精力的に開発販売しているようだ。
7.「また食べたい和菓子シリーズ」に加えた
吾輩はこの「かりんとう」が大いに気に入り、また秋田に行った時には買って帰ろうと思っているので、吾輩のリスト「また食べたい和菓子シリーズ」の一員に加えた。
(おわり)
