すあま 御菓子司山善 盛岡市 和菓子なスクチャイ184 2025.12.03
和菓子なスクチャイ184 岩手県 > 盛岡市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
すあま 御菓子司山善 盛岡市

1.「すあま」発見
盛岡駅で御菓子司山善の直営店を訪れて先の記事の「豆銀糖」と「からめ餅」を買ったのはちょうど朝食後だったのだ。
ちょうど何か甘いのが食べたいと吾輩は欲していた。
「豆銀糖」と「からめ餅」は中身を切ったりして撮影したかったので直後には食べられないのがわかっていたので、他にすぐに写真を撮って食べられるものが欲しかった。
そこで見つけたのが「すあま」(素甘)だった。
朝に作った出来たてのほやほやとのことだった。
すぐに売れてしまうようで、開店直後の10時過ぎでも、もう1パックしかなかった。人気商品らしいのだ。
それで実は吾輩は今回の目的の「豆銀糖」と「からめ餅」よりも先にこの「すあま」をキープしていたのだ。
たとえ「豆銀糖」と「からめ餅」を後で本店に行く楽しみにしてその場で買わないとしても、「すあま」だけはその場で買うことに決定していたのだ。
2.食べる場所を見つける
買ってすぐに座って食べられるところを探した。
館内にも飲み食いできそうなベンチはあったが、どうも冬季の建物内というのはどこもムワ〜と暑くて苦手なのだ。
それで外に出ると少し肌寒いながらも爽やかだった。
駅前にはベンチがあって、今まで雨が降っていたようでもあり、人は誰もいなかった。
吾輩は濡れていないベンチを見つけて、さっき買った「すあま」の写真を撮ってからそこで食べることにした。
3.「すあま」を眺める

「すあま」はピンク色が美味しそうだった。
食後に食べるにふさわしい上品な甘さだ。
それが見ただけで想像できた。
言うなれば、素手でつかみやすい「ういろう」だ。
吾輩は「ういろう」が好きなのだ。
ガツンと甘い塊の羊羹もいいが、「ういろう」のようなはんなりした優しい甘さでお腹も適度に膨らんで食べた気がする和菓子が好きなのだ。
そもそも「ういろう」はいっぺんにいくつ食べても飽きがこない。
「すあま」を食べるのは久しぶりだったが、この「すあま」もそうに違いない。
1パック3個入りで税込み400円だった。
問題なく全部いっぺんに食べるつもりで買ったのだ。
4.「すあま」を食べた


想像通り「すあま」は手に持ちやすい「ういろう」だった。
味も「ういろう」に近く、歯型がつくくらいに固まっている点が違うところかもしれない。
「ういろう」より食べやすく、朝食後にちょっと物足りなくて少し甘いものが食べたいな、という時にちょうどいいおやつになるのだった。
しかも今回は3ついっぺんに食べたのだ。
もとよりこのような生菓子を食べ残してこの後持ち歩くつもりはなかった。
朝食の足りない分を適度に補いお腹が膨れ、吾輩にはますます活力が漲ってきた。
これで今日一日は安泰だ、という気になった。
ともかく、とても美味しい「すあま」だった。
それは盛岡駅前で食べたという現場の雰囲気にもよるかもしれないが、それ以上に「すあま」自体が他の「すあま」とは違ってたぞ、ということに気づいていた。
このように「すあま」は吾輩の朝食後の甘味になってくれたのだったが、どうも只者ではなさそうな山善の「すあま」について以下のように調べてみた。
5.御菓子司山善の「すあま」
盛岡材木町「山善」の「すあま」は、優しくどこか懐かしい美味しさで盛岡の日常に溶け込んだ「本物の味」とのことだ。
関東などでは「お祝い事の脇役」というイメージも強い「すあま」だが、山善を含む盛岡の和菓子屋さんの「すあま」が美味しいのには理由がある。
第一に上質な「米」の文化の「すあま」だからだ。
言わずと知れた岩手は良質な米の産地で、山善の「すあま」は厳選された上質な上新粉(うるち米の粉)を使い、丁寧に蒸し上げてから職人が丹念に「搗き(つき)」と「練り」を繰り返して作る。
そこには絶妙な「コシ」と「引き」があるのだ。
山善の「すあま」は単に柔らかいだけでなく、赤ちゃんの頬のような吸い付くような弾力がある。
これは温度管理と練りの技術が成せる業なのだ。
6.「ピンク色」に込められた意味
山善の「すあま」のあの鮮やかながらも上品なピンク色には、盛岡の風景が重なる。
「寿」と「幸」を表すピンク
和菓子においてピンク(紅)と白は「紅白」でおめでたい象徴だ。
盛岡では特別な日でなくても「日常の小さな幸せ」としてこのピンク色のすあまを買う文化が根付いているという。
盛岡には有名な「石割桜」があるが、地元の人はあのピンク色の「すあま」に厳しい冬を越えて咲く桜のイメージを重ねることもあるそうなのだ。
7.「山善」ならではのこだわり
「朝作り」の鮮度
山善はその日に販売する分を朝早くから仕込むことを大切にしている。
「美味しい」と感じた最大の理由は、保存料は添加せず着色料などの添加物も極力抑えた作りたての餅菓子の瑞々しさを味わえたからかもしれない。
賢治の街材木町のゆったりとした空気の中で作られるお菓子には、職人の穏やかな人柄が反映されているとも言われているらしい。
8.もっと美味しくなる「すあま」の「ツウ」な食べ方
今回は駅前でパクついたので以下は叶わないことだったが、以下のような「ツウ」な食べ方があるらしい。
もし少し時間が経って表面が締まってきたら、フライパンで軽く表面を焼くのだ。
外はカリッと香ばしく、中はトロリと溶けるような食感になり、甘みがより引き立つそうなのだ。
すあまは「米」のお菓子なので冷蔵庫に入れるとすぐに硬くなってしまう。
もし保存する場合はラップでぴっちり包んで常温か、あるいは食べる直前に少しだけ温めると、あの「ぷにぷに感」が復活する。
9.盛岡、山善の深みにはまるか?
山善は「豆銀糖」のようなカッチリした伝統菓子も素晴らしいが、「すあま」のような「朝生菓子(あさなまがし)」にこそお店の誠実な仕事ぶりが現れているのだ。
次に山善に行く際は「お茶餅(おちゃもち)」や、土曜の「よ市」限定の「焼きたて団子」も経験してみたい気分なのだ。
そうすると吾輩はさらに盛岡の和菓子文化の深みにはまるかもしれない。
(おわり)
