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くぢら餅 明友 山形尾花沢 和菓子なスクチャイ025 2025.07.09

和菓子なスクチャイ025 山形 > 尾花沢


くぢら餅 明友 山形尾花沢

くぢら餅 明友
くぢら餅 明友
くぢら餅 明友

1.最上地域の特産くぢら餅

以前笹巻きの話で書いた幼少時に山形からの「おいしい荷物」で嬉しかったのは笹巻きだけではなく今回紹介する「くぢら餅」もあった。

笹巻きは庄内地域(一部は最上の庄内寄りの地域も含む)の郷土菓子だが、くぢら餅は最上地域の郷土菓子で、尾花沢や新庄などに今も何件かの生産者がいる。

今回紹介するのは尾花沢の、年中くぢら餅を生産するメジャーな「明友」という生産者のもので、山形市内などの現地マックスバリュなどのスーパーマーケットや道の駅などの土産物店で比較的容易に手に入る商品だ。
ちなみに言うと、マックスバリュでは写真のものが一個で税込518円だが、天童タワーだと税込470円などと同じものでも場所に値段の違いがあるので要注意だ。
いずれにしても年中手に入る商品となっている。

しかし本来くぢら餅も笹巻きと同じように端午の節句に作られるお菓子で、笹巻きと同様に3月頃から5月頃までの限定商品だった。
しかも、くぢら餅は店で買うのではなく自宅で作るお菓子でもあった。
販売店の詳しい人によると、今でも家庭でくぢら餅を作って食べている家もあるとのことだ。

2.一般に3~4種類ある

くぢら餅 明友

くぢら餅にはどこの製造元も一般に3~4種類あって、明友のくぢら餅も、砂糖の種類や味噌や小豆を使うもので種類が分かれ、白、赤(褐色)、黒、茶(味噌)の4種類がある。このうち白は春先から季節限定で販売されるとのことだ。(明友の主人に吾輩が電話で確認)

今回紹介するのは、写真のように明るい茶色と黒めの茶色の2種だ。
ところが原材料を見てみると、両者まったく同じ事が書かれてあった。
明らかに色が違うが、いったい何が違うのだろうか?
製造元に電話で訊いてみると砂糖の種類とのことだった。
一般の砂糖を使う場合と黒糖を使う場合との違いとのことだ。
どちら表記上「砂糖」となってしまっているので紛らわしいわけだ。

ちなみに明友の商品の場合、たとえ「白」であっても「醤油」を4種類すべての商品に使うので、これまたラベルの原材料名の中にはすべて「醤油」の文字が入る。
どうもくぢら餅の場合、「醤油」がミソというのが興味深いところだ。味的に「醤油」がくぢら餅特有の甘塩っぱい風味を出すのに一役買っているのかもしれない。

3.くぢら餅の伝承

「くぢら餅」は子供の頃は「クジラ(鯨)餅」と聞こえるのでてっきりクジラの肉でも入ってるのかと思っていた。
ひらがなで「くじら餅」と書く場合があるからなおさらだ。

しかし「くぢら」は、上の写真にもあるように商品の包み紙に漢字で「久持良餅」と表現されることもあるらしい。そのまま意味的に「久しく、もつ、良い餅」だ。つまりお菓子というより日持ちする食糧の位置づけで、起源は新庄藩の兵糧食であったとの記録があるらしい。
ちなみに「鯨餅」は江戸時代の菓子製法書にも出てくるようだが、山形最上の「くぢら餅」とはまったく別物とのことだ。「鯨餅」の方は餅がかなり大きかったので「鯨」と表現されたのではないかという説があるらしい。

4.製法

もち米の粉+うるち米の粉+砂糖+醤油が基本だ。
上にも書いたように、醤油が基本となるのだ。
次いで、味噌を入れたりクルミを入れたり小豆を入れたり、各家様々に工夫を凝らして家庭の味を出していたのだそうだ。

当時贅沢品だった砂糖や醤油を使うこともあって「節日(せちにち)」のお菓子であり、新庄では各家庭の味を食べ比べて競い合っていたらしい。
「新庄のざんぞ(陰口)くじら餅」と言われ、美味いのまずいのと評価し合う習慣があったようだ。

今でも家庭で作っているところもあるようだが、吾輩にはツテがなく、見たくとも食べたくとも叶わないところだ。
そういう吾輩のような人のために、スーパーや土産物屋で年中買えるのはありがたいと言えばありがたい。

5.製造者と販売店

吾輩が調べたところ、今回紹介した「明友」のくぢら餅がともかく一番手に入りやすい。山形県内では主要な土産物店やスーパーマーケット、例えば先にも書いたが、まずはちょっと高い値段にはなるが県内にどこにでもありそうなイオン系列のマックスバリュで手に入る。
次に、道の駅(天童)やドライブイン(天童タワー)など。
その他、以前「笹巻き」の記事で書いた庄内鶴岡の「庄内観光物産館」にも「明友」のくぢら餅が売ってるのを見ている。

しかし、正直に言うと、吾輩の子供の時にさんざん食べた思い出のくじら餅とは「明友」のくじら餅とはちょっと違うのだった。
家庭毎に味が異なるくらいだから、製造所毎に味が異なるのも当然だろう。
きっと、吾輩は幼少時に食べていた製造元とは基本的に異なるのだろう。
そもそも「明友」は尾花沢だ。
新庄の親戚からの荷物に尾花沢産の製品が入るのは考えにくい。
そもそも新庄こそがくじら餅の本場なのだ。
そこで吾輩は少し調べてみた。

まず、新庄には今も年中くじら餅を製造する「深田」がある。
深田のくじら餅は、直接店舗に電話をかけて訊いてみたところ、道の駅天童温泉と山形市の道の駅蔵王に付随する「ぐっと山形」で常時販売しているとのことだ。
いいことを聞いた。そのうちそこで「深田」のくじら餅を仕入れて食べ比べてみるつもりだ。

そしてもう一つの情報を得た。
吾輩は東京銀座にある山形県アンテナショップの会員だが、そこにも電話で訊いてみた。すると・・・2種のくじら餅があるとのことだ!

一種は先に書いた、この記事に取り上げたもはやメジャーでめずらしくない可能性のある「明友」のくぢら餅。
そして気になるもう一つの銘柄は・・・その商品のラベルを電話の相手の店員さんに見てもらった。

すると、なんと「戸沢村の個人名」製造と書いてあるくじら餅なのだった。
戸沢村は母の実家があった場所で、ますます昔食べたくじら餅に近い可能性がありそうな気がする。
しかも、会社名や菓子工場ではなく、「個人名」というのがいいではないか!

面白いのが、そんな村のおじいちゃん(たぶん)が個人でひっそりと作っているくじら餅が、銀座の店で買えるということだ。
しかも、山形の観光案内所などに電話しても、戸沢村のくじら餅などは一切出て来ず、出てきたのは有名どころの「明友」や「深田」なのだった。

「深田」は当然として、なにはともあれ「戸沢村の個人名おじいちゃん」作のくじら餅をぜひ食べてみたい!
銀座で手に入れて食べたときにはこちらでまた報告しよう。

6.「明友」のくぢら餅の味

くぢら餅 明友(切った状態)
くぢら餅 明友(ガスコンロ用に並べた状態)
くぢら餅 明友(ガスコンロで焼いた状態)
くぢら餅 明友(伸ばしてみた図)
くぢら餅 明友(焼かずに囓った断面)

写真のように切って、ガスコンロで焼いてみた。
ナイフで切るときにわかったが、まだ言うほど固くはなく、このまま囓っても良さそうな固さだった。
参考まで、最後の写真がそのまま囓って断面を写した写真だが、見た感じもそうだと思うが囓った感触もガサガサしてあまり口当たりのいいものではなかった。このガサガサを無くすためにコンロで炙った方がいいのか、と思った。

そもそもこの点が、吾輩の幼少時のくじら餅と違う点なのだ。
幼少時に食べていたくじら餅は普通の餅と同じようにすぐにかちかちに固くなった。ナイフで容易に切れるものでも囓れるものでもなかった。

しかるに「明友」のくぢら餅は、当然賞味期限内ではあるものの、天童タワーで購入してから未開封ながら2か月ほど放置していたのだ。
吾輩は固くなっているのを覚悟して今日封を切ったのだ。
しかるに、まだ囓れるほどの固さで、ナイフで容易に切断できたのだ。

思うに、もち米粉とうるち米粉との比率などがいろいろ違うのだろうと想像している。たぶんもち米成分が多いともっと固くなるはずだ。
そう思うのには理由もあって、実は最近青森浅虫温泉の「久慈良餅(くじらもち)」を買って食べたのだ。作りたてならともかく、数日たっても一向に固くならないどころかういろうのようにやわらかく、とてもおいしいものであった。しかしくじら餅と言われると、これはくじら餅の食感ではないな、と思った。あくまで吾輩の記憶にあるくじら餅としての話だ。くじら餅というよりういろうなのだった。それもそのはず、原材料をみるともち米は一切使われておらず、うるち米だけだった。そこが山形のくじら餅と完全に違う点なのだった。
浅虫温泉の「久慈良餅(くじらもち)」については別記事に後日書く予定だ。

ともあれ、今回の「明友」のくぢら餅については、たぶんうるち米の比率が高いせいで固くならないが、その代わりにガサガサの食感になっていた。
ガスコンロで表面が少し焦げ始めるくらいに炙ると、とろ~りと溶ける感じになり、やわらかい餅のような食感になった。

吾輩が幼少時食べていたくじら餅は完璧と言っていいほど固くなり、ストーブの上やガスコンロなどで焼くと、餅のように少しばかり膨らんだものだ。
そして、伸びて弾力もあり、食感は餅に近かった。

家庭毎に異なるくじら餅なので、それぞれの個性があっていいのだ。
浅虫温泉のくじら餅も含めて、それぞれがおいしい。

しかし、幼少時に食べた懐かしいあの感触をもう一度、という意味では、ちょっと追求してみたいのだ。
たぶん「深田」か「戸沢村」が近くなるような気がしている。
それぞれを食べる機会が得られれば、またここで記事にするつもりなのでお楽しみに。

(おわり)

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