和菓子の原点か?「カルメ焼き」駄菓子屋リュウ君の店 船橋市 和菓子なスクチャイ167 2025.12.08
和菓子なスクチャイ167 千葉県 > 船橋市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
和菓子の原点か?「カルメ焼き」駄菓子屋リュウ君の店 船橋市


1.カルメ焼きを森田健作(検索)
ふとカルメ焼きが食べたくなり、しかもできるなら目の前で作っているところで買って食べたいと思った。
実は以前に台湾旅行中に、台南の夜市であったか、カルメ焼きを作るおじさんがいた。
その時は生まれて初めてカルメ焼きを作るのを目の当たりにしたのだが、おじさんは魔法使いを装っているのか一部始終を客に見せるのではなくもったいぶって作業の一部を隠して膨らむところしか見せてくれなかった。
しかも動画はもちろん写真撮影も絶対禁止だった。
そんなことで台湾ではニアミスをしたのだったが、実際のところカルメ焼き作りは見てないのと同じことだった。
日本国内でどこか見れるところがないかと吾輩はGoogleで森田健作(検索)してみた。
すると、千葉の船橋駅から徒歩圏内ある「駄菓子屋リュウ君の店」というのが見つかった。さすが森田健作だけに千葉県内でヒットだ。
さっそくお店に行ってみることにした。
2.JR船橋駅下車
初めて降りたJR船橋駅はいきなり東武百貨店があったりして想像以上の大都会さに驚いた。
こんな大都会の近隣にカルメ焼きを作っているような昔ながらの駄菓子屋があるのだろうか?
GoogleMapの指示通りに細い路地を歩くとすぐに普通の住宅地になり、華やかさで驚いた船橋駅から2、3分歩いただけで華やかな駅からいきなり庶民の住宅地になったことにもまた驚いた。
しかし今度は住宅地すぎて、お店があるとも思えない雰囲気になったのだった。
しかもGoogleMapの道案内ではその先が行き止まりのようになっている住宅地の間の路地に誘導するのだった。
普通にこんなところをよそ者が歩いていると不審者扱いされかねないな、と思っているうちに、右側にやたらと看板やら標識のようなものがある普通の民家があった。

看板には「駄菓子を使って作るおやつの店リュウ君」と書いてあるのでここが吾輩の目的地の「カルメ焼きを作ってくれる駄菓子屋」に間違いはなさそうだった。
さっそく引き戸を開けて・・・と手を掛けたが動かない。
鍵が閉まっているようだった。
すぐに中の人がガラスの向こうから近づいて来てくれて「あと10分待ってください」と言った。
吾輩は15時開店と思っていたが15:30の開店時間だったのだ。
15:30までの約10分間吾輩は表にいて、住宅兼用店舗の外観や入り口脇に置いてあるゲーム機などをシゲシゲと眺めさせてもらった。



店舗は閉まっているがなぜかゲーム機だけは電源が入っていて、クレーンゲームのような小さめの機械からは妙な音楽が流れていた。
ひと昔前のコンピューター音源のようで、そのチープな音で何やら歌謡曲のような旋律を奏でているのだった。
もちろん昭和の歌謡曲のようだが、もとより歌謡曲に疎い吾輩には誰の何の歌かもわからないのだが、子供の時にうっすらと聞いたことのある曲のような気がした。
そもそもそのゲーム機は10円で動くのだ!
10円のゲーム機などを見るのは自分が小学生の時以来だ。
このように入店する前から吾輩はすでに懐古的な雰囲気に包まれているのだった。
3.15:30開店
駄菓子屋と言えばちょっと怖そうで頑固そうな年配のおじいさんかおばあさんかまたは眉間に皺を寄せた険しい表情のおばさんがやっていると相場が決まっていると思っていたが、ここリュウ君の店は爽やかな好青年が店主のようだった。
実際吾輩が小学生のときの近所の駄菓子屋の店主は眉間に皺を寄せた顔も怖ければよく怒って実際に怖いおばちゃん店主だった。
子供心に何があるのかな〜と商品のひとつひとつを眺め回していると「あんた!いったい何すんや!?ハヨ買うもん決めや!」と怒ってくるのだった。
今にして思い出しても、そもそも子供じゃなくても細かいのを色々売ってる店では何があるのかな〜と誰でも隅から隅まで眺め回したいものだろう。
それを制してハヨ決めて何か買ってハヨ店を出らなあかんというのは実に酷というものだった。
触っているわけでもなく見ているだけなのに、とよく思ったものだ。
しかしその後中学生になって制服制帽で物差しなどの文具を買いに行くと、小学生の時はガミガミ怒られたけど、眉間おばさんは吾輩を妙に大人として扱ってくれて嬉しかった思い出もある。
今回船橋の駄菓子屋に触れて、あんなこんなの自分自身の駄菓子屋経験がいろいろ思い出されるのであった。
普段は決して思い出したりしないことで、これも駄菓子屋効果かな?と不思議な気持ちにもなるのだった。
そんなわけで駄菓子屋の存在はこれからも絶対必要だ!と言いたくなるのだった。
4.カルメ焼き(動画)
さて、目的のカルメ焼きだ。
見た目は優しそうだが実は怖いかもしれない一見爽やかな好青年店主に、吾輩はさっそく恐る恐る「あの〜、カルメ焼きがあると聞いたのですが、作ってもらうことができるのでしょうか?」と訊いてみた。
ここに来た目的がカルメ焼きの作るところから見たいということだったから早めに確認したかったのだ。
好青年店主は二つ返事で快活に「もちろんできますよ〜!そこにぶら下がっているメニューから色などの種類を選んでくださいね!」と言った。
へ〜、カルメ焼きにも種類があるのだ。

メニューを見ると色(と味?)の違いのようだった。
吾輩は最も基本のカルメ焼きの実演を見て食べたかったので、プレインらしい「茶」の色を注文した。
他に客がいないこともあり、好青年店主はすぐにカルメ焼きの台に就いてくれた。
ここからは1分動画を参照して欲しい。
このようにしてアッチッチの出来たてカルメ焼きを食べることができて感激したのだった。
200円の至福の時間と味だった。
感慨無量!来た甲斐があった!
5.カルメ焼きの思い出
そもそもカルメ焼きは吾輩が子供の頃はなかった
唯一父親がたまに子供の頃にカルメ焼きを作ったり買って食べたことを話すだけだった。
その話を聞いて吾輩はひたすら想像を膨らませて羨ましがったものだった。
東京周辺ではどうか知らないが、吾輩が育った大阪では知る限りカルメ焼きはなかったのである。
父親が子供の時に膨らむのが面白かったとかサクサクして美味しかったとか言われても写真もなければ当然動画もないので吾輩はその謎のお菓子を想像するしかなかったのだった。
それをついに今、数十年の時を経てから吾輩はカルメ焼きを目の当たりにすることが出来たのだ。
これを感慨無量と言わずに何と言う!?
6.カルメ焼きを食べた






動画のようにして完成したカルメ焼きはアッチッチのアヂヂ桃山時代であった。
(註:アヂヂ桃山時代は落語林家一門の伝統ギャグ)
ちょっと冷ましてから齧るとカリカリっと景気の良い音を立ててサクサク口中で砕けた。
原材料は単なるザラメ糖だけのはずだが明らかに風味があった。
ほんのり芳ばしい香りに嫌味のない甘さは、終戦直後などの砂糖が乏しい子供らにはどんなにか素晴らしいご馳走おやつであったことだろうか!
そして今吾輩は現代の船橋でカルメ焼きを食べていて、この美味さに改めて感じ入っていた。
出来る過程もまた良かった。
好青年店主との会話を楽しみながら作ってくれるというのがまた、コミュニケーションが乏しくなった現代社会の中で貴重な楽しみに思えるのだった。
7.カルメ焼きとは
カルメ焼きは、砂糖と水そして重曹という魔法の粉を使って作る日本を代表するノスタルジックな駄菓子だ。
サクッとした軽い食感と口の中でシュワっと溶ける独特の口どけそして焦がし砂糖の香ばしい風味が魅力だ。
7.1.歴史と名前の由来
カルメ焼きのルーツは安土桃山時代にポルトガルから伝わった「南蛮菓子」にあると言われている。
ほらやっぱりアヂヂ桃山時代だ。
ポルトガル語やスペイン語で「甘いもの、砂糖菓子」を意味する「Caramelo(カラメロ)」がなまって「カルメ焼き」になったという説が有力だ。
江戸時代から明治にかけてお祭りや縁日の屋台での実演販売として人気の定番菓子となった。
7.2.「ふくらむ」科学の不思議
カルメ焼きの最大の特徴である「一瞬でムクムクとふくらむ」現象は学校の理科の実験でもよく使われる化学反応によるものだ。
熱した砂糖液に重曹(炭酸水素ナトリウム)を加えると熱によって重曹が分解され、二酸化炭素が発生する。
化学式は以下の通り。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
発生した二酸化炭素ガスが粘り気の強くなった砂糖液の中に閉じ込められ、そのまま冷えて固まることで気泡だらけのサクサクした構造が出来上がる。
7.3.作るのが意外と難しい「職人芸」
カルメ焼きは材料こそシンプルだが、成功させるには絶妙なタイミングとコツが必要だ。
砂糖液を加熱する際、125°Cから130°C**くらいの「ちょうど良い温度」で火を止める必要がある。
温度が低すぎるとふくらまず、高すぎると焦げて苦くなってしまう。
重曹を混ぜた「卵白入りの砂糖(重曹卵)」を入れた後、割り箸で素早く混ぜるが「ふくらみ始める直前」に手を止める必要がある。
熱伝導率の良い「銅製のおたま」を使うのが伝統的なスタイルだ。
7.4.世界の「カルメ焼き」
日本だけでなく世界中には似たような製法のお菓子が存在する。
ダルゴナ(韓国)
数年前に世界的に流行した韓国の「ダルゴナ」はカルメ焼きとほぼ同じ仕組みだ。
ただし韓国のものは平たく押しつぶして型抜きを楽しむスタイルが一般的だ。
ハニカムトフィー(英米)
イギリスやアメリカでは「Honeycomb toffee(ハニカムトフィー)」や「Hokey pokey」と呼ばれ、チョコレートでコーティングされたお菓子としても親しまれている。
7.5.その他
最近では理科の実験キットとして販売されていたり100円ショップの材料で家庭で作る人もいるようだが、いずれにしても独特の香ばしさを楽しむにはやはり目の前で作って出来立てを食べる贅沢を味わうことなのだ。
8.カルメ焼きの作り方
カルメ焼き作りは料理というよりも「精密な科学実験」に近い。
失敗の多くは温度管理やかき混ぜ方のタイミングによるものだが、コツを掴めば目の前でムクムクと膨らむ感動を味わえる。
家庭で成功させるための「最強の装備」と「秘伝のコツ」は以下の通り。
8.1.準備すべき道具
形をきれいに作り温度を正確に測るために以下の道具を揃えると良い。
銅製のおたま
カルメ焼き専用の底が深いものがベスト。熱伝導率が良く熱が均一に伝わる。
(ステンレス製でも代用可だが焦げ付きに注意)
温度計
必須アイテム。目視での判断はプロの技だ。150°C程度まで測れる料理用デジタル温度計を用意すると良い。
割り箸
先端に重曹を付けて混ぜるために使う。
持ち手側ではなく少し細い方を先にして使う。
濡れ布巾
加熱を止めた後、おたまの底を冷やして温度上昇を止めるために使う。
8.2.材料の「黄金比」
材料はシンプルだが、初心者は「卵白」を入れるのが成功への近道だ。
ザラメ(または白砂糖):大さじ3
水:大さじ3
重曹卵(じゅうそうたまご):
* 重曹:小さじ1/2
* 卵白:少々(数滴〜小さじ1/4程度)
* 砂糖:少々
この重曹卵はあらかじめ練り合わせてペースト状にしておく。卵白が気泡を割れにくくする「膜」の役割を果たし、しぼみにくくなる。
8.3.失敗しないための「3つのコツ」
温度は「125°C」が勝負
砂糖水を熱していくと、最初は大きな泡が出て徐々に小さく粘り気が出てくる。
125°Cになった瞬間に火から下ろし、濡れ布巾の上に一瞬置いておたまの底の熱を落ち着かせる。
(注意:130°Cを超えると炭化が始まって苦くなり膨らむ力が弱まる。)
「重曹卵」を付けるタイミング
火から下ろしたらすぐに割り箸の先に付けておいた「重曹卵」を投入する。
ここからが時間との戦いだ。
かき混ぜ方と引き際
割り箸で円を描くように素早く激しくかき混ぜる。
全体が白っぽく濁り「少し重くなった(手応えが変わった)」と感じた瞬間に割り箸をスッと真ん中で引き抜き手を止める。
ここでいつまでも混ぜ続けてしまうとせっかく発生したガスが逃げてしまい膨らまなくなる。
8.4.成功の場合
手を止めて数秒後:おたまの縁から中心に向かってムクムクと盛り上がってきたら大成功だ。
完全に固まるまでじっと待てば良い。
固まった後はおたまの底を少し火に当てて温めるとおたまから「ポロッ」ときれいに外れる。
8.5.安全確認
溶けた砂糖は非常に高温(100°C以上)で肌に付くと大火傷をする。
特に子供と一緒に作る際は軍手を着用するなど十分に注意する必要がある。
9.リュウ君の店での駄菓子を使って作るおやつ
リュウ君の店では以下の写真のように、店内で販売している駄菓子をアレンジした好青年店主特製におやつがあるので紹介しておこう。
小腹を空かせてからリュウ君んち(家)に行ってアレコレ注文して懐古しつつ食べるのも一興だ。




他、以下は食べていないが気になったメニュー。






10.リュウ君の店
リュウ君とは好青年店主の名前かと思っていたが訊いてみると以前飼っていたワンちゃんの名前なのだそうだ。
駄菓子屋は30年以上前から父親がやっていて父親がお店を引退する1年半ほど前からカルメ焼きの実演販売を父親が始めたとのことだ。
その頃は息子の好青年は外で別の仕事をしていて駄菓子では働いていなかった。
父親が引退すると息子の好青年が駄菓子屋を引き継ぎ、今は好青年の二代目で3年少しになるという。
今風の駄菓子屋の見た目もあるので脱サラのような形で自宅で新しく始めたかとも吾輩は思っていたが、父親の代から30年以上この場所で駄菓子屋をやっているので実は筋金入りの駄菓子屋稼業と言えるだろう。
30年以上もの駄菓子屋稼業のうち、カルメ焼きの実演販売については父親1年半と息子の好青年3年少しで合計5年ほどが経過する。
その前の25年間ほどはカルメ焼きはなかったので、カルメ焼きに関しては比較的最近取り入れたことになる。
好青年店主も最初は商品として毎回失敗のないカルメ焼きを作るのに3か月間ほど繰り返し繰り返し修業したとのことだ。
好青年店主でさえ最初は温度計を使って練習を重ねたのだ。
先に書いたように温度がカルメ焼きにどれだけ重要かということを物語っている。
慣れてくれば泡の具合や混ぜているときの抵抗や砂糖液の水滴の粘り気などの状態で温度計がなくても温度がわかるようになるらしい。
そしていつ何時お客さんから注文が入っても、いつも通りの大きさでいつも同じ見た目の商品を失敗することなく5分ほどで完成するのである。
好青年店主はまさにカルメ焼きのプロで、客は大変興味深く面白い作業を目の当たりにでき、焼きたての美味しいカルメ焼きを頬張ることが出来るのであった。
(おわり)
