もうひとつの笹巻き(白)東だんご本舗 山形東根 和菓子なスクチャイ029 2025.07.16
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もうひとつの笹巻き(白)東だんご本舗 山形東根
1.「笹巻き」の簡単なまとめ
以前山形庄内の灰汁による笹巻きを紹介したが、今回は村山地域の笹巻きで中身は灰汁を使わない「白」だ。
庄内にも「白」があって、「黄」の灰汁で煮て作った笹巻きと両方存在するが、「黄」は以前書いたように山形庄内では生産者が極端に少なく後継者もおらず近い将来絶滅する危機に瀕している。
灰汁で餅米を「黄」にしたお菓子は、笹に巻いてはいないが鹿児島県や宮崎県を含む九州南部地域一帯にもあり、孟宗竹の皮で包む「あくまき」の名で今も地元で愛されている。かつては家庭で作るのが一般的だったが、今はお菓子屋で買う方が主流ということでそれぞれの地域に製造販売するお菓子屋さんがある。このため九州南部地域に広く存在する「あくまき」は山形庄内の灰汁で作る笹巻きと違って今のところ絶滅の心配はなさそうなのだ。
今回紹介する中身が「白」の笹巻きを見た場合、全国広範囲に存在してむしろ珍しくない存在だ。
例えば中身が餅米の笹巻きは山形県以外には吾輩の知る限り島根県、秋田県、新潟県にあり、包むための笹が手に入る積雪地域に限定されるような気がする。
もっと他の地域にもあるだろうし、中身が餅米だけでなく笹で巻いたお菓子以外の食べ物も含めると笹巻きと称する食べ物は数多く、それらをまとめるだけで一冊の本が書けそうだ。
2.山形東根の笹巻き



今回買った笹巻きは、イオン系列のスーパーマーケットマックスバリュの和菓子コーナーに平置きしていた何の変哲もない売り方だったが、山形の場合その和菓子コーナーは端倪すべからざる高レベルなのだ。今回紹介する東根の東だんご本舗の他にも2、3地元のお菓子屋さんの餅やだんごが置いてあってそのどれもが庶民価格だ。しかも夜には20-50%の値引きシールが貼られていたりする。
今回買ったのは写真の5個入り笹巻きで、もとより灰汁の「黄」の笹巻きがない地域なので中身は餅米だけの「白」だ。
しかし山形の場合この「白」もレベルが高く、笹を剥くとき、ちょっと糸を引く粘りがあって餅米がいい具合に弾力がありとても柔らかく煮られているのだ。
先に書いたが庄内地域の笹巻きもこの「白」タイプがあって灰汁の「黄」と並んで売られている場合がある。売り場に「白」と「黄」があれば吾輩は「黄」の方がより大好きなので「黄」を買う。
しかし山形の「白」は他の県では見られないほど柔らかく美味しいので「白」しかない場合も喜んで買う。
今回買ったのは山形駅の西側にあるマックスバリュだったが、そこはしばしば宿泊するホテルの近くで24時間営業なので、夜遅くにお腹が空いたときにコソコソと何か美味しいものないかな?と見に行くのに便利なのだ。
今回はその和菓子コーナーにこれまで見たことがなかった笹巻きが売っていたので真っ先に買い物籠に入れたのだ。今まで見たことがなかったのはこれまでは人気商品で吾輩が夜に来るまでに売れてしまっていた可能性がある。今この瞬間も誰かが先に籠に入れてしまったらおしまいだ。競争なにでうかうかしていられない・・・ということで見つけた瞬間に吾輩は購入を決定していたのだ。(≧∇≦)


その日吾輩はその笹巻きと、すぐに食べる用の20%引きのあんこ餅を買った。(写真)
笹巻きは数日の日持ちがするので急いで食べなくていいのがまた幸いなのだ。
お値段は税込831円。笹巻き5個に砂糖入りきな粉付きだ。スーパーのデザートにしては高い部類かもしれないが、手作りで高品質な笹巻きが地元民向けに売っている庶民価格なのだ。吾輩はこれからも売ってるのを見つけたら喜んで買う!(≧∇≦)
3.「白」の笹巻きの作り手・談話
山形西川町(にしかわまち)の食堂にお馴染みの料理長さんがいてそのおばあちゃん・・・や、おばちゃんというのも失礼で、持ち前の活発さと元気さで日ごろから何にでも挑戦していて、日々の食堂の仕事ではいきなり注文が入る多数の料理にも瞬時に対応しているという若々しくも「すごいおねえさん」がいるのだ。
彼女は中学一年生の時に母親から「笹巻き」の作り方を学んだ。将来お嫁に行ったら嫁ぎ先でいい笹巻きを作れるようにね!という母の願いがあったのだそうな。
それ以来一人で笹巻きが作れるようになったというのだから笹巻き作りたぶん50年以上のヴェテランということになる。
彼女の笹巻きは2年前のイベントで西川町にお邪魔した時に昼ご飯でご馳走になった山菜御膳に入っていて、他の素晴らしい山菜料理と共に笹巻きもいただいて涙がチョチョ切れつつ感激したのだった。
山形のおばあちゃん、いやおかあちゃん、いやおねえさんだ、勝手に師匠または身内にしたいほどの人物だったのだ!(≧∇≦)
ちなみに彼女の母は西川町出身だか寒河江に嫁に行って彼女は生まれた。そして彼女は西川町の人と縁があってお嫁に行ったのが何と母の実家の裏手だったとのこと。母も実家の裏の家に嫁ぐので何かと安心だったのではないだろうかねぇと想像する。
それで彼女は母の生まれ故郷西川町の住民となり今に至る。金土日だけ小学校の廃校跡で地域の人たちが集まって営業する食堂運営チームの会長として長年調理の腕を奮っているのだ。
雪深い西川町で冬は雪と戦いつつ、春になると山菜採取そして料理を行う。秋にはキノコだ。冬場の貴重な食糧となる山菜を保存するための仕込みも行い、まさに年間通じて山の生活を長年続けている山菜エキスパートなのだ。
只者ではないおねえさんなのだ!
吾輩は弟子入り志願しているほどなのだ!
本当に1年間かそれ以上まるまるおねえさんといつも一緒にいて仕事の手伝いをするだけで得られる知識と経験は筆舌に尽くしがたいはずだ。
ともあれ話を「笹巻き」に戻すと・・・
10名超えの食堂チームを率いている会長兼料理長の彼女だが、多数の笹巻きの注文が入った場合、チームで笹巻きを作るのだ。しかし実質笹巻きを作ることができるのは会長の彼女だけという・・・。
まあ彼女の指示で手分けして笹巻きの作業をしてるようだが、どうしても慣れないと難しいのが笹を丸めてうるかした餅米を入れてイグサで縛る作業だ。
(ちなみにイグサは町にある畳屋さんからもらうとのこと。お礼に笹巻きをいくつか届けるとのこと)
この作業が未だに彼女しかできないのだと言う。すると万が一彼女が一線を退いたらどうなる?ここでは笹巻きが作れなくなるのよ・・・_| ̄|○
何が難しいと言って、まずは笹の丸め方と縛り方。下手くそがやると煮ている間に解けて米が鍋に出てしまう。次に餅米を入れる量。多くても少なくてもダメだ。茹でているうちに中の餅米は膨らむのだ。少なければ形が悪くなり、多いと破裂してしまう。塩梅のいい量というのがあって、その見極めが案外難しいのよ、とのことだ。
煮る時間は30分程度。
そんな笹巻きを多い時にはいっぺんに8升も作るという。1升で50個ほどの笹巻きが作れるので8升だと400個だ。
大きな鍋があってそれで茹でるのだそうだ。
吾輩にとって灰汁の笹巻きにも興味があって話題に出すと、灰汁の笹巻きは灰汁で2-3時間茹でるそうな。
ただし彼女自身は地域的に作る機会もなく作り方を知る方法がないので詳しくは知らないし作ったこともないのでなんとも言えないのだ。
ま、灰汁の笹巻きもいいが、吾輩のような素人はその前に白い笹巻きを作れるように修行するのが先決だろう。
で、巻く用の笹の葉は、もしかしてクマさんが出そうな山深い怖いところに行って摘んでる?と心配して聞いてみると「笹の葉はほれすぐそご!」って指を指した方をみると窓の外に見えている駐車場の斜面にわんさと茂っていた。
ま、目の前ならとりあえずクマさんの危険性もなさそうだった。
でも笹の葉は採った後にきちんと洗って拭いたりして冷凍保存しておく処理が必要なのだ。その作業がまた手間がかかるようなのだが、きちんと処理して冷凍保存しておくと餅米さえあれば年中笹巻きが作れるようになる。
ちなみにこの地域で笹と言えば笹巻きに使う笹の葉のことなので、単に笹と呼んでいるようだ。実際には笹は種類は多いが、この地域的に優占している、つまり周辺あらゆるところに生えている笹が笹巻きの笹ということで、いかに昔から地域に密着している植物ということがわかる。
分類上には隈笹(クマザサ)だ。
秋になると葉の淵が枯れた色になって歌舞伎の隈取りのように見えるから隈笹という名になったと聞いたことがある。
吾輩子供の頃はくま笹はクマさんが出るところにある特別な熊笹と思っていて、笹巻きを作るのは命懸けでもあって大変なのだ、と勝手に解釈していた。
それだけ笹巻きは特別な食べ物ということで、子供ながらに敬意を表しているつもりだった。
4.東だんご本舗の「笹巻き」を食べる


小ぶりに結ばれた笹巻きは形が良い。笹の葉の発色も良い。子供の時に食べた笹巻きはもう一回り大きかった気がする。そういえば大きい笹の葉を見つけるのは大変だと山形の親戚のおばちゃんから子供の時に聞いていた。大きな笹巻きを作るには大きくて立派な笹の葉を見つけないといけないのでそれこそ大変だ。それより小ぶりながらも身近で手に入る笹の葉で気が向く時にいつでも作れる方が庶民の食べ物という気楽な面がある。実際それでも作るのは先に書いたように大変なのだがね。いや、小さめの葉っぱだからこそ包むのが難しいということになるかもしれない。しかしそもそも西川町ではその辺で立派な笹の葉を手に入れることができる土地なのだ。
よく茹で上げられた中身の餅米は、粒が完全に結合していて全体的に捏ねて作っただんごのような質感でもある。包まれた中身は程よく圧がかかっていたのだろう。粒が結合しているのがミソだ。
笹を剥くときは餅米の表面の粘りが見てとれる。この粘りがきな粉をうまく纏うのだ。
かじって食べてもいいだろうが、箸でも簡単に切れるほどの柔らかさだ。この柔らかさが新潟の餅米を使った固いおはぎを笹で巻いただけのような笹巻きとは違う点だ。
うまい! しあわせだ!
久しぶりに食べた餅米の白い笹巻きは大満足だった。
中身の餅米自身には何も味はついていないが、笹の甘いような笹の香りが付いているのがとても良い。きな粉をかけて食べると最高だ。黒蜜も合うとは思うが吾輩の場合きな粉だけで食べるのが定番だ。
ちなみにこの5つをひとりで一気に全部食べてしまった。食べやすいし美味しいから食べ始めると止まらないのだった。
これをいつか自分でも作ってみたいと思う。
きっと自分で大量に作り、誰に遠慮することもなく思う存分もっとたくさんをいっぺんに食べてやるぞ!と思っているのだった。
そしていつか灰汁を使う「黄」の笹巻きにも挑戦したいと思っている。
(おわり)
