季節の薄氷「蛍」白梅軒五郎丸屋 富山小矢部 和菓子なスクチャイ030 2025.07.06
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季節の薄氷「蛍」白梅軒五郎丸屋 富山小矢部









1.五郎丸屋の歴史
五郎丸屋は江戸中期創業で、薄氷を創製したのは5代目八左衛門で形の発想は水溜まりの割れた氷で加賀藩前田家への献上菓子でもあったらしい。
元は土色、と言うか和三盆色であるが、写真のような季節の薄氷(うすごおり)「蛍」として本体が空をイメージしているのか青緑色で黒ゴマと黄色で蛍のアクセントを付けた商品を売り出している。
今年は6月頃から8月中旬頃までの販売だ。(五郎丸屋女将さん談)
ちなみに春の桜ヴァージョンもあるらしい。
また、夏の期間だけかもしれないが、炭酸飲料のラムネ瓶を模した形の青い薄氷もあるようだ。これは家庭画報で見た。
2.富山駅「とやマルシェ・富山銘菓」

あきらかに色が異なる
2025/07/06筆者撮影
2.1.とやマルシェの季節の薄氷「蛍」
五郎丸屋の本店はあいの風とやま鉄道の石動(いするぎ)駅から徒歩圏だ。ひっそりとした田舎にある江戸時代から続く老舗に歩いて行くのも趣があっていいかもしれないが、吾輩は富山駅ビルの「とやマルシェ」の富山銘菓売り場で購入した。
とやマルシェでの販売価格は、季節の薄氷「蛍」10枚入り税込1,404円。従来品の薄氷は10枚入りで税込1,188円だ。
2.2.現地で「蛍」を買うのをやめた
購入場所は富山駅「とやマルシェ」という富山銘菓の店舗だがそこの五郎丸屋の商品を置く一郭での「蛍」の見本はもともとの薄氷と同じベージュだった。そこに蛍とその光をイメージする黒ゴマと黄色い半球状が盛り上がっていた。(写真参照)
雑誌などで見ていた「蛍」の空の青色と違うので店員さんに確認したが、箱に入ってるものはあくまで見本のものなのでこの色(ベージュ)ですねぇ、と言った。
しかしその見本の左隣には、青色に蛍が付いている写真が掲げてあり、お菓子の説明もあった。空色の本体にホタルが載る写真は吾輩のイメージそのものだった。
2種類のパターンがあるのかと店員さんに伺ったが、あくまで箱の中身は見本と同じものは入ってると言うので欲しかった空色に蛍ではなくベージュに蛍だ。欲していたイメージと違うので残念ながら結局買うのをやめた。
2.3.五郎丸屋に電話で確認
帰宅してから念のために製造元に電話で確認してみた。
同じ製造元の「T5」は買って来たのでそこで電話番号にかけたのだ。
五郎丸屋の担当者はまずは「とやマルシェ」の見本を確認するということで一旦電話を切り、翌日電話をもらった。
五郎丸屋の女将さんの話では、「とやマルシェ」の店員さんに売り場の写真を送ってもらうなどして確認したところ、「とやマルシェ」に置いてある見本は「蛍」の商品とは違い、箱の中に入っているものは見本の左隣に置いてある写真と同じく青緑色に蛍が付いているものだ、とのことだった。
それならば吾輩のイメージ通りということで買って来ても問題なかったのだ。
2.4.見本の色が違う理由
そもそも店員が商品見本がベージュで箱の中身がそれと同じと言ったので買うのをやめたのだ。
で、中身と違う色のものを展示しているのはなぜ?
と問うと一か月少しの展示で色が褪せたとのこと。
販売は5月の終わりから6月初旬頃だが7月初旬までの一か月少しで空色からベージュに色が変わる?
しかも見本品は食品サンプルではなく本物とのこと。
こんなにも急激に色が変わるものか?と疑問に思った。
一般的な色素は主に紫外線で劣化するが店内は蛍光灯かLEDだけだ。
たとえ紫外線を含む太陽光であっても青系統からベージュに一か月少しで色褪せて変色するなどは聞いたことがない。ましてや蛍光灯やLEDで変色するわけがない。
話相手は社長の奥さんつまり女将さんで嘘や適当な説明をするとは思えないのでこの電話では言うことを信じるしかなかった。
2.5.無償で「蛍」を送ってくれる
それで当日は店員さんの説明で買うのをやめたのだったが県外から出向いて買おうとしていた吾輩にとって今年の「蛍」はもう手に入れられないと諦めていたのだが、女将さんの提案で「蛍」を吾輩の自宅に無償で送ってくれることになった。
対応は素早く、ヤマト運輸で翌日届いた。
欲しかった商品が手に入ったので原因の追求はもう止すが、あの見本は色褪せなどではなく単に本来の「薄氷」に蛍を載せただけではなかったのだろうかと今でも思っている。
もしそうだとすればそう説明してくれればまだしも理解しやすい。
しかし空色からベージュに一か月少しで色が変わったと言うのは無理がありすぎる。
言い訳にしては陳腐だと思うのだ。
2.6.実際の理由は?
吾輩の想像だが、その「見本」は本来の見本ではなく試作品のようなもので、それが紛れ込んで販売点に送付し、そこの店員さんも本物を知らないのでそのまま「見本」として展示した。実際は、おそらくそんなところではないか?
それなら最初からそう言ってくれれば誰でもうっかり間違うことがあるので気にすることもなく話を終えられた。
2.7.その後「見本」を入れ替え
五郎丸屋も担当者が直に目で確認しに行かず商品や見本を販売店に送っただけで任せていたのだ。
吾輩の電話後に直ちに店舗に赴いて「見本」が違うことを目で確認してすぐに入れ替えたとのことだ。
今後は買う人に誤解を催すような展示をしないように定期的に販売点に見に行くようすると言っていたが、そう言うということは、つまりこれまでは実際に売り場を見に行っていなかったということだ。
吾輩以外にも店舗で見本を見て買うのをやめた人も多いだろう。
五郎丸屋から見れば売れないのが問題になるのだろうが、本当の問題はせっかく買おうと富山に出向いた客がイメージ違いで買わずに何人かは残念な気持ちで帰ってしまっただろうということだ。
このことで製造元に電話する客はいないのかもしれない。
指摘されたのがこの吾輩が初めてだと女将さんは言っていた。
誰かに言われないとそのままになっていたはずとのことで感謝されたがこちらは感謝されるために言ったのではない。
ともかく人騒がせな一件だった。
3.送ってもらった季節の薄氷「蛍」


3.1.蛍の光が立体的ではない
上の写真のように、送ってもらった季節の薄氷「蛍」の光の部分は、平坦に黄色が円形に塗られているだけだった。
以前他の人が同じ「蛍」を買ったのを見せてもらったら、光の円形部分に盛り上がりがあった。
雑誌などの写真を見ても、盛り上がりがあり、そもそも販売点の見本も黄色の蛍の光の部分がこんもり盛り上がっていた。
しかるに、吾輩に届いた「蛍」は黄色の着色のみで平面であり、立体的ではなかった。
3.1.再度五郎丸屋に問い合わせる
不可解な点が以下のように2点あるので、再度五郎丸屋に問い合わせた。
今度は職人さんの代表である社長と話をした。
3.1.1.本当に1~2か月で青系統からベージュに色褪せる?

左の写真の色と違いすぎる。
見本品の色がベージュで「蛍」の本物の青系統の色からかけ離れていた件は、吾輩の想像では色褪せではなくもともとの薄氷の製品に試作品か何かで蛍を着けただけで、たまたまそれをうっかり見本として出してしまったのではないか? という質問をした。
職人の作業が絡むので最初に電話に出た女将さんでは答えられないとのことで、社長に代わった。
社長は、吾輩の想像は違っていて、あくまで色褪せが原因であると言い切った。店舗照明のLEDにより本来の青~緑色が、当日吾輩が見たベージュに見本を置いてから1~2か月の間に変わったとのこと。
(科学的には紫外線を含む外光が射すならともかく、室内のLEDが紫外線を出すなどという論理になるので信用しがたい)
もう一つの可能性として最初から色合いがベージュに近かったかもしれないとのこと。色合いは職人が調合するので製品によっては色が多少変化するとのこと。
(それならば最初の見本が間違ってなかったということになり、見本を交換する必要はなかったではないか?交換したということは色が違うと認めたからではないか?)
人間業として色の調合の不均一はわかる。
そして、製品により色の誤差が発生するのも常識的にはわかる。
しかし、写真に撮っているように、見本の左隣の「蛍」の土台のさわやかな青~緑色が、右側の「見本」の土台のような色になった時点で、誰が見ても本来の製品の色と違うわけだから、その時点で見本として出さなければいいのではないか? あるいは販売店の店員さんも製造元に違ってるよとの連絡ぐらいしてもいいのではないか?
そのままだったから吾輩のような購入者が誤解し混乱したのだ。
さらに、吾輩の指摘の翌日に販売店に行って見本を引き下げて今現在は青緑色の土台に蛍の薄氷「蛍」を入れ替えて見本として展示している。
(現在の見本の状態は販売店の店員さんに電話で訊いて確認している)
そもそも社長がもともとの見本が色の誤差であって通常の商品の色の範囲内と言い切るのであれば交換の必要はなかったのではないか?
交換したのはなぜ?となる。
依然として疑問が残るのであった。
「色褪せ」の説明については、社長がともかくウソ偽りなく真実を述べていると言い切ったので、それを信じるしかなかった。
3.1.2.蛍の光の盛り上がりについて
社長の説明では職人の作業で盛り上がりがあったりなかったりすることがあるとのことだ。
見本品は、蛍の光に盛り上がりがある。
現在の見本も同様だということを吾輩は店舗に確認している。
他に、雑誌等の写真で紹介されている薄氷「蛍」も黄色に蛍の光の部分は丸く盛り上がりがある。
しかし、吾輩に送ってきたのは盛り上がりがなく、平坦に丸く黄色を塗っただけのものであった。
社長の説明によると、吾輩に届いたもののように、蛍の光が平坦な黄色だけというのもあるとのことだ。
どちらになるかは開けて見ないとわからないの?と訊いてみたら、そうだと答えた。
見本や雑誌などの写真にような蛍の光の盛り上がりが気に入って購入して箱を開けて見たら、自分の製品は蛍の光が盛り上がってなかったとなると「ハズレ」を引いたように、残念な気分にならないか?
吾輩は残念だった。
次回以降また購入することがあれば、購入前に中身を見て蛍の光が盛り上がっているのを確認したい。購入する側としてはそうするしかない。
箱を開けてから盛り上がっているかそうでないかがわかるなどという当て物のような商品は買いたくないのが正直なところだ。
和菓子はいろいろな意味で繊細な点が命だ。
特に高価な和菓子は見て楽しむことが食べることと同様に重要なので、見栄えにあまりにも差が出るような商品なら、購入側は購入前にその製品を確認するしかない。
社長は朴訥とした低姿勢の人柄で決して威圧感はなかったが、製品の見栄えについては色褪せという自然現象、蛍の光については職人の作業誤差、という理由以外にはないと言い切り、それが真実だと押し通した。
たとえその説明が科学的でなくても、社長がそれしか言わないのだからその話を信じるしかないね、ということで電話を終えた。
4.老舗と言われる店舗の対応について
江戸時代頃から続く老舗というものは、主人や女将がなんとなく高飛車な態度をとる店があることを経験しているが、五郎丸屋の社長も女将さんも始終低姿勢で最初はいち従業員だと感じたほどのとても感じの良い方であったことを付け加えておく。
女将や主人が居丈高で金輪際何も買わないと思わせる上越の高橋孫左衞門商店のような店もあるが、五郎丸屋は今後も買い続けたいと思わせる店なのだった。
5.季節の薄氷「蛍」を食べる


肝心な食べた感想だ。
口溶けがいい実に美味しいお菓子だった。
富山産の新大正米の薄い煎餅生地に徳島産の阿波和三盆を塗布した口溶けのいい儚くも美味しい干菓子だ。
長方形の紙の箱に薄いのが5枚ずつ2層に箱に入って合計10枚だ。
箱の上下には真綿が敷かれていて、食べないでくださいとの注意書きまでがあった。
子供などは甘い薄氷の延長で綿菓子だと思う子もいるかもしれないが、大人のこの吾輩でも薄氷を食べながら真綿を眺めているとほんとうにおいしそうな綿菓子に見えてくるのだった。
ホタルは明かりが大きいのがオスで少し小さめがメスということになっているらしい。各層5枚ずつに対して2枚がオスという割合であった。
断面の中心には透明感のあるきらきら輝いた層があり、これが富山産の新大正米の薄焼き煎餅部分であると思われる。(写真)
少しカリッとした食感はここから来ているのであろう。そして全体が上品な甘味を残して口中で儚くすっと消えるのであった。
合成着色料を使用している点は残念だが、季節の雰囲気を目で楽しむお菓子としてはありだろう。
(おわり)
