見出し画像

カメラが「嘘じゃない」と言い始めた

2023年、
ソニー主催の写真コンテストで
AI生成画像が受賞した。

作者はドイツの写真家、
ボリス・エルダグセン。

受賞を辞退した。

「AIは写真ではない。
だから賞は受け取らない」。


主催者はすぐに
作品をウェブサイトから削除し、
展覧会からも撤去した。

エルダグセンが
投げかけた問いは、こうだ。

「何が写真で、
何が写真ではないのか」。

カメラが証明書を出す時代

その問いに対して、
カメラメーカーが出した答えが
C2PAという技術です。

シャッターを切った瞬間に、
カメラが電子署名を埋め込む。

「この画像は、
このカメラで、
この日時に撮影されました」。

ライカが世界で初めて
この機能を内蔵したカメラを
2023年に発売。

ソニーはα1やα7 IVに対応。


ニコンもZ6 IIIに搭載。


2025年には
GoogleがPixel 10で
C2PAをネイティブ対応させた。

カメラだけでなく、
スマホにも広がり始めている。


つまり今、カメラは
「嘘じゃないですよ」と
自分で言い始めている。

でも、写真って「本物」ですか

ここで少し
立ち止まりたいのですが、

そもそも写真は
「ありのまま」を
記録するものだったでしょうか。

構図を選んでいる。
シャッターを切るタイミングを
選んでいる。

何を画面の外に
追い出すかを選んでいる。

現像でも色を変える。
コントラストを上げる。
トリミングする。

報道写真でさえ、
「どの瞬間を切り取るか」は
撮影者の主観です。

つまり写真は最初から、
「本物」ではなく
「選ばれた一瞬」だった。

「本物」の定義が揺れている

C2PAが証明するのは、
「このカメラで撮影された」
という事実です。

「この写真がありのままだ」
とは言っていない。

撮影後にPhotoshopで
空の色を変えても、
C2PAの署名は残る。

Adobe自身が
C2PAの推進団体に入っていて、
編集履歴も記録できるように設計されている。


つまりこの技術は、
「本物かどうか」ではなく
「出どころが追える」ことを証明している。

でも、多くの人は
「C2PA対応カメラで撮った写真=
本物の写真」と受け取るでしょう。

「本物」の意味が、
静かにすり替わっている。

証明すればするほど

エルダグセンの問いに
戻ります。

「何が写真で、
何が写真ではないのか」。

C2PAは、
「AIが作ったものではない」
ことを証明できる。

でも「写真とは何か」には
答えていない。

むしろ逆かもしれない。

カメラが
「嘘じゃない」と言えば言うほど、
今まで「本物」だと思い込んでいた写真が
本当にそうだったのかと、

少しだけ不安になる。

証明書が必要になったのは、
写真が信じてもらえなくなった
からです。

でも、写真が
信じてもらえていた時代にも、
写真は「選ばれた一瞬」
でしかなかったんですわ。

タグ

#C2PA #写真 #AI #カメラ #本物とは

いいなと思ったら応援しよう!

Romancecar|見方を変えるって、勇気がいるけど面白い 読んでいただき、ありがとうございます。 チップは任意ですが、いただけた場合は、静かにガッツポーズしています。