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検索窓は、現代の告解室だった

深夜2時、誰かがAIに聞いている。
「転職って、35歳からだと手遅れですか」。

「検索」は「探す」という意味だ。
でもこの人は何を探しているのだろう。
転職サイトの一覧か。
それとも「大丈夫だよ」という一言か。

告解室の3つのルール

カトリック教会に「告解室」という
小部屋がある。
格子窓ごしに神父へ罪を告白し、
許しを請う場所だ。

面白いのは、まだやっていない欲望まで
言語化して差し出すことだ。
「隣人の妻に欲情しました」。

言語化して他者に伝えるだけで、
精神のバランスを保つ。
告解室は、心のガス抜き装置だった。

この装置が機能していたのは、
神父が3つのルールを守ったからだ。

秘密を守る。裁かない。嘘をつかない。

3つの条件を追い詰める

Googleの検索窓はどうだったか。

秘密は守らなかった。
検索履歴は広告に変わり、
昨日の不安が今日のバナー広告になった。

裁きはしなかったが、
アルゴリズムが見たいものだけ見せた。

嘘はつかなかったが、
お金で検索順位は変わった。

3つのうち1つも守れていない。
でもGoogleは「並べる」だけだった。
選ぶのは自分だった。

AIチャットの入力窓は、
もう一段階違う。
打ち込んだら、返事が来る。

秘密を守る?
OpenAIのCEO自身が
「AIに法的な守秘義務はない」と
警告している。

告解室を作った側が
「うちの神父は秘密を守りません」
と言っているようなものだ。

裁かない?
むしろ絶対に裁かない。
どんな相談にも
「それは大変でしたね」から入る。

誰にでも同じ優しさを配る神父を、
信じていいのか。

嘘をつかない?
ここが一番厄介だ。

AIには「嘘」の概念がそもそもない。
確率的にもっともらしい文字列を
並べているだけだ。

「嘘をつかない」のではなく、
真偽の区別がそもそもない。
これを「正直」と呼ぶのは無理がある。

「検索」は「探す」ではなかった

告解室では教会に行き、
神父の前に座り、声に出した。
重い。その重さが、
告白を告白たらしめていた。

検索窓では指先だけで済む。
AIでは、さらに軽い。
しかも「わかります」と返ってくる。

3つのルール、全部守れていない。
それなのに、毎日何億人もの人が
AIの入力窓に何かを打ち込んでいる。

3つ全滅で何億人て。
もう告解室ちゃうやん。
ガス抜き自販機やん。

自販機で買えないもの

深夜2時の
「転職 35歳 手遅れ」は、
検索でも質問でもなかったのだと思う。
告白だった。

AIは「大丈夫ですよ」と返す。
その答えを信じるかどうかは、
正直どうでもいい。

大事なのは、打ち込んだ瞬間に
「自分は今、何に怯えているのか」が
言語化されたことの方だ。

告解室の神父は
その秘密を墓まで持っていった。
AIはサーバーに保存する。

でもどちらの窓でも、
本当に見つかるものは同じだ。
返ってくる答えじゃない。
自分が何を差し出したか、の方だ。

タグ

#AI #テクノロジー #聖書

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