📖6 「見て見ぬふり」をしたことがあるあなたへ──善きサマリア人と『こころ』とジョーカーの話
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結論
聖書の「善きサマリア人」の物語は、
誰を "隣人" として見るかという問いを
投げかけます。

この問いは、
コルトベンデの絵画、
漱石『こころ』、
映画『ジョーカー』と重ねることで、
現代にも通じるテーマになります。
それは「人が人を見捨てたとき、
どんな孤独と悲しみが生まれるか」
ということ。
そしてその反対に、
誰かを "隣人" として見る想像力が、
どれほど社会をあたたかくできるかという
希望です。
はじめに:近くにいるのに、なぜ助けられないのか?
困っていそうな同僚に
声をかけられなかったこと、
ありませんか?
SNSでつらそうな投稿を見ても、
「いいね」ひとつで終わってしまうことは?
私たちは毎日のように
「誰かを助けられるかもしれない瞬間」に
出会っています。
けれど実際に
手を差し伸べることは少ない。
それは私たちが、その人を“隣人”だと
思っていないからかもしれません。
この「隣人とは誰か?」という問いを、
古典とアートと文学と映画を通して、
もう一度考えてみましょう。
聖書:善きサマリア人
(ルカによる福音書10章25–37)
ある日、ひとりの旅人が強盗に襲われ、
道端に倒れていました。
そこを通りかかったのは祭司とレビ人。
どちらも“まじめな人たち”です。
けれど彼らは見て見ぬふりをして
通り過ぎてしまいます。
そのあとにやってきたのがサマリア人。
ユダヤ人と敵対していた民族で、
軽く見られていた存在です。
でも彼は旅人を助け、介抱し、
宿に連れて行き、お金まで支払いました。
イエスは言います。
「この人こそが、隣人になったのです」と。
つまり本当の隣人は、血のつながりや立場ではなく、
“助けようとする心”で決まるのです。
コルトベンデ《善きサマリア人》
1647年、フランドルの画家
バルタザール・ファン・コルトベンデが描いた絵です。
画面中央ではサマリア人が馬から降り、
傷ついた旅人を手当てしています。
奥には立ち去るレビ人と、
読書に没頭する祭司の姿。
同じ場に居ながら助ける人と
無視する人が対比され、
まるで「自分ならどちらを選ぶか」と
観る者に問いかけてきます。
夏目漱石『こころ』:近さのなかの裏切り
聖書やコルトベンデの話では、
「遠い他人」が助ける側でした。
一方、漱石『こころ』では
「とても近い人」を助けられなかった悲しみが
描かれています。
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主人公の「先生」は、かつて親友を裏切り、
その結果、親友は命を絶ちました。
彼はずっと罪の意識に苦しみ続けます。
『こころ』が教えるのは、
物理的にどんなに近くても、
心が遠ければ隣人とは言えないということです。
映画『ジョーカー』:隣人を持てない社会
映画『ジョーカー』(2019)は、
笑いながら壊れていく男アーサーの物語です。
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彼は心の病を抱えつつも
社会で生きようとしました。
でも周囲は彼を助けず、
むしろ笑いものにします。
やがて彼は「誰からも隣人として扱われない存在」
になり、最後には暴力を選びます。
もし誰かがほんの少しでも
彼を“隣人”と見ていたら──。
この映画は「誰を隣人と見なすか」が
社会全体に与える影響を描いています。
まとめ:隣人として見るということ
聖書、コルトベンデ、漱石、ジョーカー。
ジャンルも時代も違う作品は共通して問いかけます。
あなたは、誰を隣人と見ますか?
それはSNSの向こうの誰かかもしれない。
すぐそばにいるのに声をかけられなかった友人かも。
隣人として見るとは、
「あなたはひとりじゃない」と伝えること。
その想像力が、世界を少しだけ優しくします。
FAQ
Q.「隣人」って誰のこと?
A. 家族や友人に限らず、通勤電車で体調を崩す人、
SNSで助けを求める人など、
目の前にいて手を差し伸べられる存在です。
Q. 善きサマリア人とは?
A. 敵対していた民族のサマリア人が
倒れた旅人を助けた聖書の物語。
「助ける心」で隣人が決まることを示します。
Q. 『こころ』のあらすじは?
A. 主人公「先生」が、親友を裏切った罪に苦しむ物語。
近しい人ほど隣人を見失う逆説を描きます。
Q. ジョーカーは悪者では?
A. 映画では彼が「隣人を持てない社会」で孤立し、
笑いものにされ続けた末に暴力へ変わります。
悪ではなく、無関心の産物とも読めます。
Q. 善きサマリア人の絵画は?
A. バッサーノやコルトベンデなど、
ヨーロッパの画家が繰り返し描きました。
Q. なぜ今このテーマ?
A. SNSや職場でも「見て見ぬふり」が広がるから。
AI時代には「誰を助けるか」が
アルゴリズムに委ねられる危険もあるためです。
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