「タッチ」が41年後に届いた理由
1985年に発売された曲が、
2026年のWBCで鳴っている。
岩崎良美の「タッチ」。
あだち充のアニメ主題歌だった。
今回、B'zの稲葉浩志が
この曲をカバーして、
NetflixのWBC応援ソングになった。
MVは公開10日で
500万回再生を超えた。
41年前の曲が、
なぜ今これほど届くのか。
「曲が強いから」では説明がつかない
「タッチ」はいい曲だ。
メロディが明るくて、
歌詞がまっすぐで、
誰でも口ずさめる。
ただ、いい曲なら他にもある。
同じ時代の名曲は山ほどあるのに、
2026年に「応援ソング」として
選ばれたのはこの曲だった。
「曲が強いから残った」
だけでは説明がつかない。
「場所」がセットになっている
少し似た構造がある。
B'zの「ultra soul」は
2001年の世界水泳福岡大会で
テーマソングに使われた。
以来、世界水泳のたびに
この曲が流れるようになった。
途中、SMAPに変わった時期もある。
だが2011年、中継10周年を機に
「ultra soul」が復活した。
2023年の福岡大会でも
再びテーマソングに選ばれている。
何度も戻ってくる。
「ultra soul」が名曲だから、
というだけでは説明しきれない。
この曲には
「世界水泳」という場所が
くっついている。
プールの飛沫と、
実況の声と、
「ウルトラソウル!」の叫び。
曲を聴くと場面が浮かぶ。
場面を見ると曲が鳴る。
曲と場所が、
もう離れられなくなっている。
「タッチ」に積もった時間
「タッチ」にも同じことが
起きているのだと思う。
この曲が結びついている場所は、
高校野球だ。
甲子園のスタンドで、
吹奏楽部が何十年も
この曲を演奏してきた。
応援歌としての「タッチ」は、
アニメを知らない世代にも届いている。
つまり「タッチ」は、
1985年にリリースされてから
41年間、ずっと野球の横にいた。
だからWBCの応援ソングに
選ばれたとき、
違和感がなかった。
稲葉浩志の声で聴いても、
「タッチ」は「タッチ」のままだった。
曲と場所が離れられなくなるとき
「ultra soul」と「タッチ」には
共通する構造がある。
どちらも、
曲そのものの力だけで
生き残ったわけではない。
「場所」と結びつき、
その場所で繰り返し流れ、
聴いた人の記憶に
場面ごと染み込んでいった。
名曲が名曲であり続けるのは、
曲が強いからではなく、
聴いた人の時間が
積もっているからではないか。
稲葉浩志の「タッチ」を聴くと、
不思議な気持ちになる。
声が違うのに、
聴こえてくる景色は同じだ。
夏の甲子園のスタンド。
金属バットの音。
砂埃。
あの曲に積もった時間が、
声を超えて届いている。
41年分の記憶が、
新しい声の中に入っている。
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#タッチ #稲葉浩志 #WBC2026 #名曲 #構造を見る
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