奨学金、所得控除したら悪用されるってよ
奨学金の元担当者として言うが、この制度導入により申込者は増えると思うが、悪用前提での申込はごく僅かだろう。
理由を説明する前に、そもそも「悪用とは何か?」から確認しておきたい。
いろいろ報道とか見ると、「借りる必要が無いのに借りること」が「悪用」と見受けられるため、そういう意味合いで確認する。
これを踏まえて、悪用事例は僅かだろうという理由を説明するが、シンプルに「所得制限など、借り入れに条件があるから」である。
まずは奨学金の申込にあたって所得制限がある。
審査基準は団体により異なるが、基本的には、生活に余裕のある世帯は借りられない水準におかれている。
その水準をクリアできた時点で、もうその人は、借りる必要が無い人ではなく、「借りる必要がある人」なのである。
基本的には、これで高市首相のバカな答弁へのアンサーは終了なのであるが、関連していくつか書いておきたい。
①なぜあんな答弁を作ったか?
→おそらく、そもそも制度を導入する気が無い中で、導入した場合の懸念事項の1つとしてモラルハザード云々を書いただけで、あれはメインの理由では無いだろう(多分メインは所得控除の恩恵少ないといったあたり)。もしあれがメインだとしたら、答弁として軽すぎる。まぁメインでなくても首相答弁としては軽率すぎる発言。
②世帯収入をごまかすような申請が出てくるのでは?
→多くは所得課税証明書などの公的書類を確認するので、審査側がバカでは無い限りは、通常はごまかしようが無い。
加えて、学校経由での奨学金申込とする団体もあるので、言語化はしにくいが、そういうチェックも働く。
ただ、完璧に防げないのは、公的書類に反映されにくい収入を得ている世帯である。税金の捕捉と同じであるが、自営業の世帯は難しい。
とはいえ、それは奨学金制度の問題ではなく、税制側の問題(収入の過少申告など、本当にそれが悪いことなのであれば、それをキャッチできない税制度が悪い)なのであり、どうしようもないのだ。
そこも見抜く必要があると言うのであれば、税務署に訴え出てもらいたい。
③奨学金借りて、運用して儲けて、返済でも所得控除で儲けて、羨ましい!だから導入には反対!
→現場を分かってない意見と思うのが、こういうのである。2つの視点からみてみる。
借りる人は運用に回せるほどの金は無い
先ほどから言っているように、奨学金を借りる世帯は、基本的に生活に余裕が無い、あるいは余裕なフリして生活しているのである。
奨学金を借りるような世帯は、運用に奨学金をまわすような余裕は無い。
もちろん、なんとか借りなくてもやってけるが、この先の人生何があるか分からないので「念のため借りておく」というパターンもある。そういう人たちは運用にまわそうとするかもしれないが、そもそも余裕が無いので、悪用とはいえないだろう。
所得控除の対象者は限られる
本当に制度導入されるのであれば、対象となる奨学金などの条件が出てくるだろう。
何でもOKとなるわけが無いのである。
●最後に…
SNSを見ると誰かが得をすることを許さないコメントが溢れているが、そんなことに気を張るのであれば、他にもっと見直すべきものがあるだろうと思う。
おそらく、高市賛成派と立憲否定派が相まって、こんなバカな意見が蔓延ってるのだと思う。国民が政局に巻き込まれてどーすんのって思うけど。
とはいえ、個人的には、現行でも構わないが、導入されれば、悪用件数よりもはるかに多い人々が救われるのは確かである。
どんな制度も悪用されうる中で、どんな支援が必要か見極めていくのが政治家であり、国民は政局などに巻き込まれず、きちんと政策本位で政治家を評価していかなければならないのだけどなと思う。
