新世界の休日❺ おばあはん
おばあはんの家の玄関
ぜーはーぜーはー
おばあはん「チエどないしはったんや?えらい息切らして」
チエ「うっうち、プロポーズされたんや」
寝転んでた おじいはん 起き上がる
おばあはん「ホルモン屋の前行ったり来たりしてた、落ち着きのない学生風の青年か?」
チエ「しっとったん!」
おばあはん「わたいの目は、節穴やおまへん
男ちゅうのは、好きな女の前では、落ち着きがなくなるもんです。なぁ、おじいはん」
おじいはん「わしは、そんな事なかったけどなぁ」
そばに置いてた老眼鏡をかけて新聞広げる
おばあはん「チエ、あんたは報告に来ましたんか?」
チエ、靴脱いで居間にあがる
チエ「それもあるけど…ちょっと…」
チエ言いにくそうにしながら下向く
おばあはん「チエ、あんたは、どうしたいんや?」
チエ「う〜ん。どないしたらええやろか?それを
おばあはんに聞こう思って来たんや」
おばあはん「チエ、あんたの人生や、あんたが決めなはれ」
チエ「でもな、東京来てほしい言われたんよ」
おじいはん ちらっとチエ見る
おばあはん「あの青年、東京の子かいな?」
頷くチエ
ちらっとチエの顔を見て すぐ前を向いて
おばあはん「ほんなら行ったらよろしい」
案外、あっさり言われたので おどろくチエ
チエ「でもなウチ…あの…その…」
おばあはん「テツか?テツの事、心配してるんか?」
チエ なんとも言えない顔する
おばあはん「ほっときなはれ!あれは、あれでどないかする!チエは、自分の人生を生きなはれ!」
チエ「おかあはんも、また出て行ったし…テツ1人で大丈夫かなぁ」
おばあはん「ヨシエはんには、私が話しときまっさかい。チエは、なんも心配いりまへん」
チエ ハッと目が覚めた顔する
チエ「おばあはん!おおきに!」
おばあはん「この間まで下駄履いた小学生やったのになぁ。すっかり、べっぴんなって、ヨシエはんの若い頃にそっくりや。いつのまに、こんな…
ウっぐぐぐ…」
そう言って泣く おばあはん
おじいはんも新聞で顔かくしながら泣く
そしてチエもつられて泣く
つづく
