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この小説はただの「早朝の散歩」でも「恋愛のすれ違い」でもありません。

さらに詳しく知りたい方向けに、もう少し深く読んでみます。

テーマはたぶん、

「自分という人間は、自分ひとりでは見えない」

という話です。





① 最初の瑞樹は「行動している」のに主体がない

冒頭。

眠れなかった、眠りたくなかった、もう眠るような時刻でもなかった──そのいずれもが正解で、不正解だった。

普通に読むと難しい。

意味をほどくと、

瑞樹自身も、 なぜ外に出たのか説明できない。

  • 眠れないから?

  • 寝たくないから?

  • 朝だから?

全部少し正しくて、全部違う。

つまりここで作者は、

人間はいつも理由を持って行動しているわけじゃない

と言っています。

さらに、

気づけばただアスファルトの凹凸を踏んでいた

目的地がない。

これは「散歩」じゃない。

漂流です。

心だけ先に迷子になって、 身体があとからついていっている。


② 「寒い」は気温じゃない

作中で何度も寒さが出てきます。

寒くて寒くてたまらなかった

ここ、実は二重の意味があります。

もちろん外は寒い。

でも同時に、

瑞樹は孤独です。

昨日の夜、 桐生と別れた。

何か大事な時間だったのに、 自分は踏み込まなかった。

その判断が正しかったかもわからない。

結果、

心の中に空白だけ残った。

だから寒い。

人間って不安な時、 実際に身体も寒く感じたりします。


③ 木島君は「現実側の人間」

ここ面白い。

瑞樹はずっと内側を見ています。

一方、木島君は外側を見ています。

瑞樹: 「僕はどうだった?」

木島君: 「いや、お前何してんの?」

瑞樹: 「意味は?」

木島君: 「いや靴紐解けてるぞ。」

噛み合ってない。

でも、この噛み合わなさが救いなんです。

考え込みすぎる人って、 全部を意味で考えます。

でも木島君は違う。

犬。 煙草。 彼女。 試験。 靴紐。

具体的。

つまり、

今ここに戻してくれる。


④ 犬の勘違いシーンはただのギャグじゃない

ここ好きな場面です。

瑞樹:

「名前は?」

読者: 彼女の話かな?

実際: 犬だった。

笑える。

でも意味があります。

瑞樹は人との距離を測るのが苦手なんです。

だから恋人の話より先に犬を見ていた。

木島君は、 一瞬「彼女を詮索された」と思ってむくれる。

ここでやっと、

二人が別々の見方で世界を見ている

とわかる。

瑞樹は人を恋愛や所有で見ない。

観察する。

距離を取る。

だから桐生とも部屋に入らなかった。

これは優しさでもあり、 踏み込めない弱さでもある。


⑤ 「瑞樹らしい」は評価じゃない

この小説で一番重要なのはここ。

まあ……瑞樹らしいわな

普通なら、

「優しいね」 「臆病だね」

って評価したくなる。

でも木島君はしない。

なぜか。

人間は一言で説明できないから。

木島君は、

「良いとも悪いとも言わない。でもそれがお前だろ」

と受け取る。

これが大きい。

瑞樹も気づきます。

僕らしさを強いなかったこと、それがうれしかった

これ深い。

「自分らしくしろ」 って自由そうで苦しい時があります。

でも、

「今のお前を見てる」

は楽なんです。


⑥ 靴紐=人生ではなく、「選択の責任」

最後。

木島君。

結び直してやらないからな

優しくない?

違う。

ここで結んだら、 瑞樹はまた誰かに答えを任せる。

だからやらない。

瑞樹が結ぶ。

しかも、

五回結び直して

一発じゃない。

迷う。 ほどける。 結び直す。

その繰り返し。

でも最後は進めた。


タイトル『広過ぎる公園』の本当の意味

公園って普通、 安心して歩ける場所です。

でも広すぎると、

出口が見えない。

どっちへ行っても同じに見える。

つまりこの公園は、

18歳という年齢そのもの。

恋愛、 進路、 将来、 自分らしさ。

自由だけど、自由すぎて迷う。

でも最後、 朝が来る。

答えが出たわけじゃない。

ただ、

「今日は帰れる」

それだけで十分な朝だった。

そんな話です。

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