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殴り殴られ文鎮タマスダレ


よもぎさんに捧ぐ



騙されたみたいなもんだよ

何大したことじゃない

文字で世界を変えられるなんて
嘘っぱちのデコッパチだったんだ。

いやだから

大したことじゃないくせに

やけにこだわりから逃れ慣れない。

自転車はなんでチャリっていうのか

チャリンチャリンて
あのハンドルについてるベルの音のせいだろか

まあいい

自意識過剰とか勝手に頭のなかでグルグルしちゃってるだけとか

言いたい奴には言わせておくさ

もう考えちまうのは性分なんだよ

気の済むまでやらせてくれや

誰かに迷惑かけたいとか

有名になって大金持ちになりてえとか

そんなんじゃないんだよ。

気の済むまでやりたいだけなんだ。

外ではコバエが小声で横浜銀蝿を歌っている。

確かあれは

男の勲章か…

ツッパることが男のたった一つの勲章だって
この胸に信じて生きてきた〜♪

今じゃなかなか聴かない懐メロソングだ

電信柱の行方不明の猿の絵は、何故かおサルのジョージだ。その愛想を振りまくキャラクターがほんの少し気を楽にする。
あまりのお気楽ぶりにはなかなか相対もできずに絵の視線(モンキーアイズ)からは目を逸らす。

鎖の外れた猿の身軽さはなにげに羨やましくはある。

「達者でな。せいぜい人気者になっちまいやがれ」

馴染みの書店。
用もないのに横目で見れば店の奥、積み上げられた本の上。
小さなミドリ色が乗っかっている。

ただ、惹かれた。
吸い寄せられた。
暗闇、電灯に魅せられる蛾のように。

「あう。ブワッ」

奥へ、奥へと進んでいく。転がりながら。ちょっと背中が痛い(意表をつく連続前回り)。

なれない運動なんて披露するもんじゃない。
しかも練習なしのぶっつけ本番で。
何受けを狙っているんだか。
柄にもないサービス精神がうざったい。
いつもの愛想ふりまく書店員は見当たらない。

木造りの床、ガシッと鳴る。
もう一歩、ガシッガガガシッシッ。
もう二歩進んでグアゴロどどガジと。
踏み込むたびにまるで空腹の腹の虫が鳴るの音に胸をふさいだ。

まだまだだまだまだ前田馬之助だ。
君のいるのは誰も行ったことがない、山の上。

──アスパラガスだ。

そのミドリ色のみずみずしいこと!

その温度に、さわってみたい。
その重みを、感じてみたい。
その香りは、嗅いでみたい?

本の背が、ギロリと僕を睨んだかのような気がする。

──一緒に踊ろう。歌おう。

心の赴くまま、腕が野比のび太だ。

文学とは己の心との対話。

精神のダンスだ。

書店での一人遊びが止まらない。

同じみどりだからオレはアスパラに向けて「おお牧場はみどり」を捧げた

さながらその姿は、
とにかく明るい安村みたいだったかもしれない。

ここだけの話だが。


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