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⑧『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第9章〜

前回の振り返り


無詠唱の魔女ソフィア、双剣剣士カインが仲間に加わり、アスラのパーティーは大きく力を増した。
人に嘲笑され、妬まれながらも《追加ボーナス》の力で少しずつ信頼を積み重ねている。
次なる依頼は、森で暴れる魔獣の討伐。
そこでアスラたちは、言葉で戦場を操る不思議な存在と出会う──。


第9章 言葉の支配者


夜の森は湿った霧に覆われていた。
アスラは黒銀の短剣を握り、仲間たちと慎重に進む。

リュカが前を警戒し、フィルが小さな炎で灯りをともす。
ソフィアはフードを深くかぶり、カインは双剣を肩に担いでにやりと笑っていた。

「気配がするな……」
ミリアが囁く。
その声と同時に、茂みから獣じみた唸り声が響いた。
現れたのは黒毛に覆われた巨大な魔獣。
鋭い牙と爪をむき出しに、獰猛な眼でこちらを睨んでいる。

「行くぞ!」
アスラの声と共に仲間が動いた。

リュカが先制の一撃を放つが、魔獣の爪が弾き飛ばす。
カインが斬りかかるも、その硬い毛皮に刃は通りにくい。
ソフィアの光弾も致命傷にはならない。

「くっ……硬い!」
「俺たちじゃ押し切れねえぞ!」

その時だった。
森の奥から静かな声が響いた。

「――退け、前衛は右に回り込め。後衛は矢を撃つように間を空けろ」

見たことのない青年が木陰に立っていた。
黒い外套をまとい、手には巻物と羽ペン。
彼は冷静な目で戦場を見渡し、短く言葉を紡ぐ。

「“防御を破れ”」

その瞬間、アスラの短剣が淡く光り、魔獣の毛皮を切り裂いた。
リュカが再び飛びかかり、今度は牙が深く食い込む。

「……これは……!」

青年は表情を変えず、さらに言葉を重ねた。
「“矢は風を裂け”」

その言葉と同時に、カインの双剣が風のように加速し、魔獣の肩を斬り裂く。
ソフィアの光弾も軌道を変え、魔獣の背を正確に撃ち抜いた。

やがて魔獣は絶叫し、崩れ落ちる。
戦闘が終わると、森は再び静けさを取り戻した。



「……お前、今の……」
アスラが問うと、青年は淡々と答えた。

「俺はレオン。言葉を使役する者だ。言葉は力であり、戦術そのものになる。
 どうやら、お前たちの力を引き出す契約が俺に課されたらしい」

その言葉と共に、《追加ボーナス》のカードが現れた。
そこには「巻物と羽ペン」の紋章が描かれている。

アスラが文字を読み上げると、光がレオンを包み込んだ。
「……俺は、お前たちの戦場に立つ」


ミリアが柔らかく告げる。
「主君……またひとり、仲間が増えました」

アスラは頷き、仲間を見渡す。
剣士、魔女、精霊、子狼、そして戦術家。
バラバラに見えた彼らが、確かに“ひとつのパーティー”として形を成し始めていた。


あとがき(第9章)


第9章では、新たな仲間 戦術家レオン が登場しました。
彼の「言葉」は戦場全体に影響を与える不思議な力で、仲間の能力を引き出す参謀役です。
そして彼の加入は、アスラのパーティーが“ただの寄せ集め”から“組織”へと変わるきっかけになります。

次回、第10章「影を裂く刃」。
隠密行動を得意とするアサシンが登場し、パーティーのバランスがさらに整っていきます。
どうぞお楽しみに!

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