⑲『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第20章〜
前回の振り返り
黒牙狼との死闘が始まった。
アスラの短剣と黒牙狼の牙が激突し、閃光が森を照らした。
仲間たちは奮闘するが、瘴気に覆われた巨狼の力は凄まじく、戦況は拮抗したまま。
そしてその時──森に神秘の光が満ち始める。
〜第20章〜 森の精霊神の弓
闇が支配する森に、一条の光が差し込んだ。
その光は木々の間を伝い、葉のひとつひとつを輝かせ、やがて戦場を包むように降り注ぐ。
「この光……!」
ミリアが目を細め、驚愕の声を上げた。
森の奥から現れたのは──ドルイド。
翠の髪を揺らし、ピクシー精霊たちを従え、荘厳な気配を纏った女神が大地に降り立つ。
黒牙狼でさえ、その姿に一瞬だけ動きを止めた。瘴気が押し返され、森が息を吹き返す。
ドルイドの問い
「セレーネ」
その名を呼ぶ声は、森そのものの響きのように重く、美しかった。
セレーネは弓を握りしめたまま立ち尽くした。
「……なぜ、私に」
「お前はまだ迷っている。人を信じられぬ心と、信じたい心の狭間で揺れている。──だからこそ、問う」
ドルイドの緑の瞳が、セレーネを射抜く。
「この人間たちを、お前は信じるか」
セレーネは息を詰めた。
背後ではアスラが必死に巨狼を押し返している。仲間たちも限界に近い力で戦っている。
人間は脆い。裏切る存在。そう信じてきた。だが──彼らは今も命を懸けて戦っている。
「私は……」
声が震える。だが、その瞳には確かな光が宿り始めていた。
精霊神の弓
ドルイドが両手を広げると、光が集まり、一本の弓が形を成していく。
翠と銀に輝くその弓は、森の命を象徴するように枝と蔦が絡み合い、矢を番えぬままにも神気を放っていた。
「ガーンディーバ……」
セレーネの唇から自然とその名が零れた。
ドルイドは厳かに告げる。
「この弓を託そう。仲間を守り、闇を撃つために。──だが、決めるのはお前だ。お前が彼らを信じぬなら、この弓は決して力を貸さぬ」
セレーネは震える手で弓を受け取った。
その瞬間、胸の奥で何かがはじけた。
迷いはまだ消えない。だが──心の奥底から溢れる感情が、彼女に答えを迫った。

決意
「私は……彼らを信じる!」
声が森に響いた。
次の瞬間、ガーンディーバが強烈な光を放ち、セレーネの体を包み込む。
弓の神気と彼女の魂が共鳴し、瘴気を押し返す。
黒牙狼が咆哮を上げ、怒り狂ったように地を蹴った。
アスラが振り返り、目を見開く。
「セレーネ……!」
その姿は、もはや「監視者」ではなかった。
仲間を守るため、共に闇を撃つ戦士として、彼女はそこに立っていた。

あとがき(第20章)
セレーネに託された森の精霊神の弓《ガーンディーバ》。
迷いを越え、「仲間を信じる」と宣言した彼女は、真にパーティーの一員となった。
次章──黒牙狼との戦いは最終局面へ!
読者の皆さまへ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
セレーネが「信じる」と選んだ瞬間、どう映りましたか?
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