〜第89夜〜「九十九本目の蝋燭」
🕯️ はじめに
百物語ってね……
ただの遊びじゃないんですよ……。
怪談をひとつ語るたびに、
蝋燭を一本消していく。
でね……
最後の一本が消える頃には、
“何か”が来るって言われてるんです。
えぇ……
だから昔はね……
本当に百話までやる人、少なかったんですよ……。
九十九話目で、やめる。
なぜかって……?
“最後のひとつ”は……
人間が語るものじゃないからなんです……。
これはね……大学生たちが、肝試し半分で
百物語をやった時の話なんですが……。
古い民宿を借りてね……
夜中、円になって始めたそうなんです。
部屋には蝋燭が100本。
ひとり語るたびに、一本消す。
最初はね……
みんな笑ってたそうですよ。
怖い話をしても、茶化したりしてね……。
でも……
50本を過ぎたあたりから……
空気が変わった。
妙に寒い。
誰も窓を開けていないのに……
蝋燭の火が、同じ方向へ揺れている。
でね……
70話を超えた頃。
ひとりが、こう言ったそうなんです。
「……今、人数多くない?」
……えぇ。
最初は8人だった。
でも……
誰も、“今何人いるか”を
すぐに答えられなかった。
なんとなく……
数えたくなかった。
でね……
そのまま続けたそうなんです。
やめる方が、怖かったんでしょうねぇ……。
そして……
99本目。
最後から二番目の蝋燭が消えた瞬間――
部屋の奥で、“カタン”って音がした。
みんな、一斉に振り向く。
するとね……
そこに、ひとり座っていたんです。
えぇ……。
誰もいなかったはずの場所に。
暗くて、顔は見えない。
でも……
確実に、いる。
誰も声を出せない。
するとね……
その人が、ゆっくり口を開いた。
「……次、僕ですね」
……えぇ。
その瞬間ですよ。
最後の一本が――
“勝手に消えた”。
真っ暗になった部屋の中で……
誰かが、話し始めた。
低い声で……
聞いたこともない話を。
内容はね……
誰も覚えていないそうなんです。
でも……
“聞いてはいけなかった”ことだけは、
全員覚えている。
でね……
朝になって、部屋を確認した。
すると……
蝋燭が、101本あった。
えぇ……。
最初は、100本しかなかったはずなんですよ……。
📝 あとがき
百物語っていうのはね……
“呼ぶ儀式”なんですよ……。
でもね……
呼ばれる側だけじゃなく……
“語る側”も、混ざることがある。
最後の話っていうのは……
案外、最初から
人間が用意していないのかもしれませんね……。
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この話の核心――
なぜ“99話目”で現れたのか
なぜ蝋燭が“101本”になっていたのか
そして「最後の話し手」の正体とは……
ここでしか読めない解釈をお話しします……。
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