でーさんの木「しゃべる木」
団地の広場のすみっこに
大きな木がありました。
弟と私と双子の兄弟
4人でその木に名前をつけました。
「でーさんの木」
それからずっと"でーさん"は、私たちの仲間になりました。
風が吹くたび葉っぱが揺れて
「おかえり」って"でーさん"は言ってくれました。

それは
子どもにしか聞こえない声でした。
泣きたい日には「だいじょぶ?」
夕焼けの日には「また明日」
でーさんの木は、いつも広場で待っていてくれました。
でも‥四年生の三学期
私たちは、引っ越す事になりました。
弟は、三年生でした。
最後の日
ランドセルを背負ったまま
私は、木に手をあてました。

弟は「また来るからな」
すると葉っぱがざわざわ揺れて
「元気でね」って
聞こえました。
大人になった私は
ある冬の日
久しぶりにあの団地に行きました。
小さかった頃は広場がとても広く感じていたのに思ったより小さかったのです。
さみしい事に駐車場になっていました。
広場のすみっこには昔と変わらず
でーさんの木は立っていました。
「久しぶり」
もちろん返事はありません。
もう私は大人だから‥
風が吹きました。
茶色の葉っぱがざわざわ揺れて
一枚の葉が肩に落ちました。
その時
「おかえり」
そんな声を聞いた気がして
私は少しだけ目をうるませました。
「またねでーさん」

イラストchatGP T
#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門
#エッセイ
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援よろしくお願いします😊
心に響くお話しを書いていきたいと思っています。
よろしくお願い🤲します٩(๑❛ᴗ❛๑)۶