フーディソンに行くつもりが、兼松の強さを再確認した日
今日は株主総会が重なる日だった。
候補は、兼松、安田倉庫、フーディソン。
本当はフーディソンに行こうと思っていた。
優待でサカナバッカの商品券を選んだこともあり、消費者目線でも株主目線でも見てみたい会社だった。
魚屋、DX、地方漁業、飲食店向け流通。
テーマとしても面白い。
ところが、総会開始は9時。
気づいた時点で、もう間に合わない。
株式投資では損切りも大事だが、総会参加にも損切りはある。
今日はフーディソンを諦め、500株保有している兼松の総会に向かうことにした。
結果的に、この判断は悪くなかった。
兼松は「資源商社」ではなくなっている
兼松という会社に対して、漠然と「商社」というイメージを持っていた。
食料、鉄鋼、電子、ICT、航空、宇宙。
事業領域はとても広い。
総会でも、会社の強みとして「食料から宇宙まで」という表現が出ていた。
ただ、今回印象に残ったのは、事業の広さそのものではない。
むしろ、広い事業領域を持ちながらも、収益の核がかなり明確になっていることだった。
兼松の強みは、非資源分野を中心とした安定的な収益構造にある。
資源価格に大きく振り回される商社ではなく、収益の安定性を意識したポートフォリオを作っている。
その中でも、特に重要なのがICTと電子デバイスだ。総会で特に印象に残ったのは、次の説明だった。
兼松では、ICT・電子デバイス領域が会社の利益の多くを占めている。さらに、社員の約7割もこの領域に関わっているという。
これはかなり大きい。
「商社」という言葉から想像する姿と、実際の兼松の収益構造には少しズレがある。
もちろん兼松は総合商社的な幅広さを持っている。しかし、利益の中心はすでにICT・電子デバイスにかなり寄っている。
つまり兼松は、単にモノを仕入れて売る会社ではない。
企業の課題に対して、ICTや電子デバイスを使ったソリューションを提供し、そこから利益を生み出す会社になっている。
最近はどの企業でもDXが経営課題になっている。
人手不足、業務効率化、セキュリティ、クラウド化、データ活用。
課題は山ほどある。
兼松は、その課題に対してソリューションを提供することで利益を伸ばしていきたい、という説明だった。
この部分は、かなり納得感があった。
資源価格の上昇に乗る商社ではなく、企業のDX需要に乗る商社。
そう見ると、兼松の見え方は少し変わる。
ROIC 8%以上という経営の物差し
もう一つ印象に残ったのが、ROICという指標だった。
ROICとは、投下資本利益率のこと。
会社が事業に投じた資本を使って、どれだけ効率よく利益を生み出しているかを見る指標だ。
兼松は定量目標として、ROIC 8%以上を掲げているという。
そして実績は9.1%。
目標を上回っている。
個人投資家としては、配当利回りやPER、PBRに目が行きがちだ。
もちろんそれも大事だ。
ただ、会社側がROICを重視しているということは、単に利益額を増やすだけではなく、投じた資本に見合う利益をきちんと出すことを意識しているということでもある。
商社は事業投資を行う会社だ。
投資案件が増えれば、見た目の売上や利益は大きくなるかもしれない。
しかし、その投資が資本効率の悪いものであれば、株主価値にはつながりにくい。
その点で、ROIC 8%以上という目標は、経営の規律として意味がある。
利益を取りに行く。
でも、資本効率を無視してまでは追わない。
この姿勢は、長期株主として安心材料になる。
総会はしごは失敗したが、収穫はあった
兼松の総会後、安田倉庫の総会にもはしごしようと思い、田町へ向かった。
しかし、到着した時にはすでに終了していた。
フーディソンは開始時刻の勘違いで参加できず。
安田倉庫は到着したら終了。
総会はしごとしては、かなり不完全燃焼である。
ただ、今日の収穫が少なかったかというと、そうではない。
むしろ、兼松についてはかなり重要な一次情報を得られた。
兼松は、非資源中心で収益の安定性を持つ商社。
そして、利益の中心はICT・電子デバイス。
さらにROICを重視し、資本効率を意識した経営をしている。
この3点が確認できただけでも、500株保有している株主としては十分な収穫だった。
兼松というレスラー
私の中で、ポートフォリオはプロレス団体のようなものだ。
それぞれの銘柄には役割がある。
派手なテーマ株もいれば、配当で支えるベテランもいる。
一発逆転を狙う若手もいれば、安定して試合を作るメインイベンターもいる。
兼松は、派手なマイクパフォーマンスで観客を沸かせるタイプではない。
だが、試合運びがうまい。
食料から宇宙まで幅広い技を持ち、非資源という安定感があり、ICT・電子デバイスという得意技でしっかり勝ちに行く。
さらにROICという物差しを持ち、無理な大技ではなく、資本効率を意識して試合を組み立てる。
まさに、年間を通して勝ち星を積み上げる技巧派のメインイベンターだ。
今日の総会で、兼松に対する印象はかなり変わった。
「なんとなく安定している商社」ではなく、
「ICT・電子デバイスを核に、非資源で安定収益を作る商社」。
そう整理すると、保有理由もかなり明確になる。
総会はしごは失敗した。
でも、兼松という選手のコンディションチェックはできた。
リングは相場。
観客は将来のキャッシュフロー。
ブッカーは理性。
今日のメインイベント、兼松戦は十分に見応えがあった。
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