丹羽二羽庭二把
織田信長の家臣、丹羽長秀は焦っていた。
柴田勝家は越前一国
明智光秀は丹波一国、近江坂本
羽柴秀吉は播磨、伯耆、因幡、北近江
滝川一益は上野一国、伊勢長島
「わしは……」
若狭一国、近江佐和山
「少ない。少なすぎる」
長秀は合戦に出ていない。
その代わり、安土城の普請やら、内政に追われる。
長秀の妻は信長の姪。倅、長重の妻は信長の娘。
なのに、
若狭一国、近江佐和山
「わしは欲はない。されど」
「されどこのままでは、五郎左殿(長秀)は家中では」
と、したり顔の老人が長秀を試すように唆す。
三好康長信長が打ち破る三好一族の長老。
康長は讃岐(香川県)で孤軍奮闘。四国統一を進める長宗我部元親に打ち負かされて、信長に救援を依頼するため、長秀に取り次ぎを願い出た。
「いや、それは構わぬ……」
「さればこの先、惟任日向に取って代わりましょう」
惟任日向とは、明智光秀。
光秀は長宗我部の取り次ぎを担い、信長に四国の切り取りを許される。
「そは……」
「されば、お取り次ぎを。四国に蓋を閉じる長宗我部の討伐を」
その後、信長は四国征伐を開始する。
大将は三男の信孝。副将は長秀。
「すまぬ、日向守」
それから間もなく、京都の本能寺で信長が亡くなる。
明智光秀の謀叛。世にいう「本能寺の変」で。
四国征伐は頓挫した。
(了)
