タンゴを踊る場所を探して
リラックスしてるけどエレガント。それに、みんな、なんて幸せそうにタンゴを踊ってるんだろう……これは一体どこ? まずは、思わず目がくぎ付けになっちゃうビデオをご覧ください。
(タイトルイメージ:from Sivis'Art)
その場所はアルゼンチンではなく、イタリアのトリノにあります。名前はパラフォルティーノ(PALAFORTINO)のタンゴ・ハブ。
トリノはイタリア北西部の重要都市。サッカー好きにはユベントスの本拠地、コーヒー通にはLavazza本社のあるところ、また甘党には衝撃的おいしさのジャンドゥイオット発祥の地としても知られています。
そんなトリノのパラフォルティーノは、蚤の市で名高いバロン市場の近くにあるスポーツ複合施設です。屋内と屋外を合わせると2,000平方メートルを超え、ボーリング場だった施設を改装してできたダンス・多目的ホールは、美しい木張りのダンスフロア部分だけで400平方メートル。大きな窓に高い天井が明るく開放的な空間が印象的。ダンスホールのほかにも、会議・研修施設などが併設されています。
施設のウェブサイトによりますと、2016年ごろ、使われなくなっていたボーリング場の再開発案として、地元のスポーツ・ダンス団体がダンスイベントもできる施設への改装を提案し、寄付やボランティアを募りました。それに応じて多額の寄付が集まり、また50人を超える地元のタンゲーロスとスウィングダンサーたちもボランティアに応募し、のべ22,000時間にもわたって実際の工事に携わったのだそうです。
施設の改装が成った後、運営組織のほうもが刷新を繰り返して、2019年にはトリノ市から市営スポーツ施設の20年間の使用権を獲得、センターの完全なエネルギー自給自足にむけ、太陽光発電パネルの設置なども推進中とか。さらに、公益団体としてダンスだけでなく社会的企業や非営利団体などの地域での活動のまとめ役としても機能しているんだそうです。このようにサードセクターが公立の施設の運営に携わるという形態はヨーローッパ各地でよくみられます。おそらく日本でも似たシステムがあるではないでしょうか?
ローマなどに比べ知名度は若干低めのトリノですが、市民向け健康増進講座にヨガなどだけでなくアルゼンチンタンゴがある、というのがタンゴ好きには Eccellente! でもなぜイタリアの中堅都市でわざわざアルゼンチンタンゴ? という点に関しては、
当協会は、社会的包摂の価値観を支持しており、とりわけ、「草の根」から生まれた伝統を持つアルゼンチン・タンゴや、1920年代以降アメリカの白人集団と黒人集団を結びつけるのに多大な貢献をしたスウィングといった、強い大衆性を基盤に持つ文化やダンスを広めている。
なんだそうです。そういえば、タンゴとスウィングは、ほぼ同時期に発達したダンスですしね~。実際的な面でも、他のダンスと連携するのは賢いやり方ですね。ジョイントイベントなどで、来場者、施設の使用者、増やすのにも効果的ですし、新しく踊り始める人を増やすのにもいい。またレッスンメニューにも「35歳以下、もしくは気持ちはその年代の人のためのタンゴ」という絶妙な設定なのがあって、いろいろな年代の人をタンゴに惹きつける対策もばっちり👍。
日本と同様、少子高齢化の進むイタリア、冒頭のビデオを見ていただいてもわかるように、踊っている人たちもすごく若いってわけじゃない。でも彼ら、そのグレーの混じった髪も、笑いじわの目元口元もとっても素敵だと思いません? フフフ、そう、これがタンゴの魔法なんですよ😎🌹
P.S. 夏休みヨーロッパに行くからちょっとよってみようかな、という場合には事前にスケジュールの確認を。バカンスシーズンはイベントが不定期なことが多いので。
©2025 Rico Unno, CC BY-ND
