見出し画像

【あなたはテーマを見抜けるか】riddory #04-1|光のほうへ 第1章「光の種子」|週替わり短編

この物語には、隠されたテーマがあります。
“riddory”についてと自己紹介はこちらから

第1章:光の種子

月曜日に入学式があり、そこからの1週間──風見学院大学は、春の陽気とざわめきに包まれていた。
キャンパスのメインストリートには、色とりどりのテントが並び、各部活・サークルが新入生を必死に勧誘していた。

陸上部はユニフォーム姿でストレッチをしながら声を張り上げ、吹奏楽部は生演奏を響かせる。
演劇部は衣装を着て寸劇を始め、写真部はポートレート撮影を無料で提供していた。
チラシ、呼び込み、手作りの看板──どこも全力だった。

坂口陽太は、新歓の1週間をフルで楽しんだ新入生だった。
くしゃっとしたウェーブがかった金髪が春の光を跳ね返すように揺れていて、笑顔はまっすぐで、誰にでもよく届くようだった。

テニスサークルの仮参加。
映画研究会の上映会。
バンドサークルの飲み会。

どこも楽しかった。
笑ったし、騒いだし、友達もできた。

それでも、なんか違う気がして、最終日もふらりとブースを見て回っていた。

探しているものがあるわけじゃない。
けれど、まだ見つかっていない気がした。

そんなとき、少し先に見えたブースの空気に、陽太は足を止めた。
描きかけの絵と手作りのZINEが机に並び、3人の先輩がゆるく声をかけていた。
派手さはないけれど、話し方も距離感も自然で、空気が柔らかかった。

椅子に座っていた先輩──絵の具の匂いが似合うような女性が、陽太に気づいて目を合わせた。
「見てくだけでもいいよ」と、やわらかく言った。

陽太は、机の上のZINEを手に取った。
「これ、みんなで作ってるんですか?」

「うん。展示会に向けて、部誌みたいな感じで。絵でも写真でも、なんでもあり」

「へえ…なんか、自由ですね」

「自由だよ。描いても描かなくてもいいし、しゃべるだけでもいいし」

陽太は、少し笑った。
「…なんか、いいですね。ここ」

そして、少しだけ迷ってから言った。
「体験でも、いいですか?」

先輩は「もちろん」と笑い、机から小さな紙を取り出した。
《Studio KAZAMI 部員募集中 創るかどうかは気分次第でOK》

「部室、今ちょうどみんな作業してるから、よかったら見に行く?」

そのまま、陽太は連れていかれた。
丘の奥にある静かな建物。
案内板には「文化系サークル棟」と書かれていた。

階段を上がると、扉の前に《Studio KAZAMI 部員募集中 創るかどうかは気分次第でOK》と書かれた紙が、同じように貼られていた。

先輩が扉を開けると、空気が変わった。
絵の具の匂いと、モニターの光が混ざる空間。
誰かが絵を描いていて、誰かがタブレットをなぞっていて、何かを作っているようだった。
奥のソファでは、先輩たちがスマホを見せ合いながら笑っていた。
机の端には、開けかけのポテチの袋が置かれていた。

陽太が部室に入ると、何人かが顔を上げた。
「こんにちは」「ようこそ」と、声が飛んでくる。

ポテチの袋を差し出した先輩に、「いただきます!」と陽太は笑って受け取った。
「ZINE見てみる?」と声をかけられると、「これ、すごいですね」とページをめくりながら素直に答えた。

誰も詰め寄らない。
でも、ちゃんと迎えてくれる。
その空気が、陽太には心地よかった。

壁には、黄色が強く、筆致の荒い絵が立てかけられていた。
陽太はその絵をじっと見ていた。

何かを感じているようだった。
けれど、それが何なのかは、彼自身にもわからない。

「体験入部…してみてもいいですか?」

誰かが「やったー!」と言った。
別の先輩が笑いながら、「暇なときに遊びに来るだけでもいいよ」と言った。

陽太は「なんか、いいですね。そういうの」と笑って、部室の隅にある椅子に座った。

その日、彼は何も作らなかった。
けれど、よく笑い、よく話した。
部室の空気に、彼の声が混ざった。
輪郭は、最初から馴染んでいた。


・・・おや?

「今週は、語感だけで勝負します」と書かれた貼り紙がNotoの部屋のドアに…。
Notoはちょっとおやすみ中──でも、ヒントはきっと、物語の中に。


#riddory #AI創作 #掌編小説 #短編小説 #謎解き #週替わり連載 #小説 #物語 #読書体験 #テーマ当て


いいなと思ったら応援しよう!