「焼くだけ」ならできる:自分を活かしたオーナーの共通点
お気に入りのビストロにあった「疑問」
私がお気に入りのビストロには、カウンター越しに小さな鉄板スペースがある。
そこで焼いたり、炒めたりしているのだが、ビストロとしてはちょっと珍しい光景だと思っていた。
ある時、オーナーになぜ鉄板を選んだのか聞いてみたら、返ってきたのは、私の予測していたようなものではない答えだった。
「焼くだけならイケるかなと思って」
過去の記憶と重なった「デジャヴ」
実はこの言葉、数年前にも別の場所で聞いたことがあった。
そこは色々な種類のお肉を少しずつ味わえる、肉料理とワインの専門店だった。
絶妙な焼き具合でサーブされるお肉が評判だったが、そこのオーナーも、かつて似たようなことを言っていた。
「肉なら焼けるんじゃないかと思って」
実は2人とも、元々は料理人ではなく、ソムリエやサービスといったフロアのプロだったという共通点があったのだが、彼らにはさらにもう1つ共通点があった。
「自分を冷静に見極める」というキャラクター
この2人の答え、あまり耳にしたことがないコメントなのではと思う。
それなのになぜ、別々のお店のオーナーが同じ結論に至ったのか。
それは2人のパーソナルキャラクターが同じで、「状況を冷静に見極め、把握できるタイプ」であることがポイントだったのではないかと思った。
ビストロのオーナーの話から、自分の立ち位置をこのように分析していたと私には感じられた。
自分の能力:料理人ではないため、複雑な工程はできない。
勝機:“焼く”という点に絞り、その技術を磨き上げれば勝負できる。
まずは自分の現状を冷静に見極める。
その上で、自分ができる最大限のパフォーマンスを「焼く」という形に集約させていった。
効率化された「オペレーション」
もう一つ共通していたのは、オペレーションの効率が徹底的に考えられていることだった。
事前にできる限りの準備をしておき、本番(調理)の手数を最小限に抑える。
この「少ない手数で最高の料理を効率よく完成させる」仕組みは、まさに冷静な戦略の結果ではないかと思う。
改めて、キャラクターの個性やモノの考え方は、仕事の進め方にも反映されるのだと感じ、私にしては珍しくテンションが上がってしまった。
「また食べたい」と思わせる料理
今、そのビストロには、鉄板料理だけでなく、効率的でありながら工夫が凝らされたメニューが並んでいる。
「いろんな料理を食べてみたい」と思わせるだけでなく、「何度もあの料理をリピートしたい」と人に思わせる。
飲食店としてこれほど強いことはないと思う。
料理人出身ではなかったとしても、自分の個性を知り、勝てる土俵を選ぶことで、リピートしたいと思う料理を作ることができ、お客様を惹き付けることができる。
カウンター越しの鉄板は、オーナーの思いが伝わってくるようなものだった。
自分のキャラクターを活かすことは、成功に繋がる。
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