見出し画像

ベストハードロックバラード ピアノ編(25曲)

 前回シリーズでは、「ベストメタルバラード」を取り上げましたが、今回は「ベストハードロックバラード」シリーズ。メタルバラードほどの厳密な定義は特にしてません。メタルというより、ハードロックバンドと呼んだ方がしっくりくるバンドによる、比較的ソフトなバラード曲といったところでしょうか。一応まとめると以下のような感じですかね。

ハードロック系バンドによるアコギ、ピアノ、シンセなどをメインとした、ソフトで美しいタイプのバラード。サビでバンドサウンドと派手なボーカルハーモニーがフィーチュアされていることが多く、ラジオで他のジャンルの音楽と交じって掛かっても違和感がないくらいポップでメロディアスなのが特徴。

 聴き込みながら改めて思ったのが、バラードとして成立させるために使われる楽器がいくつかに分かれていて、雰囲気も微妙に違うなということ。なので、今回は時代ではなく、バラードのタイプ別に紹介していきたいと思います。なお、楽器ごとにバラード曲を大別すると以下の4分類。

①ピアノ(キーボード含む)
②アコースティックギター
③エレクトリックギター
④シンセサイザー

 上記分類にしたがって、①ピアノ編25曲、②アコギ編25曲、③エレキ編25曲、④シンセ編15曲の合計90曲のバラードを厳選しています。

(キリ良く100曲にしなかったのは、自分の守備範囲ではそこまでの数の名バラードを拾えなかったというだけです…)

 ということで、シリーズ第1弾は、「ハードロックバラード ピアノ編」。ピアノとは言ってますが、それだけでなくキーボードのピアノ音も含んだ総称として捉えていただければと思います。
 ピアノ系バラードの特徴としては、ゆったりしたテンポに、洋邦問わずヒット曲で多く聞かれる流れるような心地良いコード進行。そこにピアノの美しい音の響きが加わり、更に感動を生み出す。曲展開としては、印象的なピアノのイントロで静かに始まり、ブリッジあたりから段々とバンドサウンドが加わり、華やかでポップなコーラスで大盛り上がりする、所謂「パワーバラード」と呼ばれる路線が多いですね。特に80年代ハードロックバラードのヒット曲の多くのパターンはこれ。実際今回選んだ25曲中、70年代1曲、80年代15曲、90年代4曲、00年代3曲、10年代2曲と、やはり80年代が圧倒的に多くなってます
 また、爽やかで流れるような美しいコード展開を基調にしたものが多いので、希望や愛みたいなポジティブな歌詞テーマが似合います。ただ、ベタな手法でストレートに愛を語る時代じゃないからか、かつてはメジャーなハードロックバンドで多く採用されてきたアプローチではありますが、最近では採用される例は少なくなってきてますね。
 ハードロックバラード・ピアノ編のもう1つのパターンは、ピアノの音色の美しさを効果的に活用したメランコリックで没入感の高い、ちょっとメタルバラードに近い路線。今回の25曲の中で言えば、Europe、Harem Scarem、H.E.A.T、Last Autumn’s Dream、Revolution Saints、TNT、Treat、UFO、Vow Wowがこのタイプに当たります。メタルバラードとの違いは暗さと重さと緊張感。どれだけメランコリックな展開であろうと、メロディ展開や歌にソフトさ、親しみ易さがあるのが特徴かなと思います(分かりやすいコーラスハーモニーの導入、サビでの転調など)。

Bad English - When I See You Smile

 5曲の素晴らしいバラードが収録されたデビューアルバムの中でも、とりわけベタな盛り上がりどころ満載の超キャッチーなバラード
 キラキラ感のあるイントロのキーボード(ピアノ)からコテコテ度がヤバいです。当時のヒットハードロックバラードのお手本のような曲で、当然全米No.1ヒット。日本でもリーバイスのCMソングに使われていたので、40代中盤以降の人は、曲を聴けば分かる人が多いかも。
 なおこの曲、ジョナサン・ケインと思いきや外部ライターの手によるモノで、9曲の全米No.1ヒットを送り出した天才ヒットメーカー・ダイアン・ウォーレンが作曲してます。
(”BAD ENGLISH” 5曲目|1989年)

Cinderella - Don’t Know What You Got (Til It’s Gone)

 300万枚を超える大ヒットアルバムに収録された失恋ソングの名曲。ピアノの優しいイントロのフレーズから心を鷲掴み。そしてサビのトム・キーファーの絶唱で昇天。更にブルージーな哀愁溢れるギターソロでダメ押し。とにかく泣かせる要素満載。
 ブルースの要素を採り入れたハードロックバラードのお手本
のような、いかにもアメリカ人が好きそうな曲。実際全米12位とアメリカで大ウケしてます。ちなみに心を動かされたのはアメリカ人だけじゃなく、YOSHIKIが当時この曲に感動し、負けじと作ったのが”Endless Rain”だったそう。
 そういえば「失って初めてその価値に気づくもの」という歌詞の良さもあって、ミッキー・ローク主演の映画レスラー」(09年)の挿入歌として、泣ける場面で効果的に使われてましたね。
(”LONG COLD WINTER" 3曲目|1988年)

Europe - Tomorrow

 賛否両論ありましたが、個人的には極めて完成度の高いメロハー作だと思っている”OUT OF THIS WORLD”。そのラストに収録された失恋ソングの名曲。テーマがテーマだけに、メタルバラード的な暗くかなり物悲しい雰囲気の曲。途中リズム隊は登場しますが、基本はピアノ主体で静かに展開していきます。
 とにかくジョーイ・テンペストの歌が素晴らしい。特にサビラストの”Will you be there, tomorrow?”の歌いっぷりが圧巻。想いと不安の入り混じった歌詞内容に見事にマッチした陰影に富んだ歌唱が涙を誘います。個人的にはピアノを使ったハードロックバラードの中でもトップクラスに好きな曲です。
(”OUT OF THIS WORLD”12曲目|1998年)

Gary Moore - Always Gonna Love You

 静と動のダイナミクスが存分に味わえる、エモーショナルなメロディアスバラード
 ピアノとボーカルでスタートし、結構ハードめのギターの伴奏、そしてAORにも負けないキャッチーなコーラス。ゲイリー・ムーアの場合、どうしてもギターが注目されがちですが、ちょっと暑苦しめではあるものの、非常にソウルフルな歌い回しをする、かなりレベルの高いボーカリストでもあると思います。
 歌もメロディも素晴らしい曲ですが、やはりハイライトは転調してからの圧巻のギターソロ。さすが”ギタークレイジー”と呼ばれてた時代。ポップなバラードなのに、ヤバいくらい熱く弾きまくってます。このMVでも速弾き後の激しいチョーキングで弦が切れてるのが見えますね。
(”CORRIDORS OF POWER” 2曲目|1982年)

Gotthard - Heaven

 発売当時、母国スイスのシングルチャートで何週にも渡ってNo. 1を獲得した大ヒット曲。まさかスティーヴ・リーの不慮の事故死により、この曲が後に自らの追悼歌になるとは…。
 ピアノの出番はイントロから1番のブリッジまで。楽曲としては爽やかなパワーバラード系。歌い方が全然違うものの、サビのメロディがSweet Savageの”Truly Madly Deeply”に似てます(スイスのB’z と呼びたくなるレベルで 笑)。
 歌は上手いし、曲は良いし、思わず一緒に口ずさみたくなる、ヒットするべくしてヒットした曲ですね。
("HOMERUN" 5曲目|2001年)

Harem Scarem - If There Was a Time

 溜め息が出るくらい美しく劇的なバラード数あるハードロックバラードの中でも最高峰の逸品。
 キーボード(ピアノ)の美しい音色に導かれ厳かにスタート。情熱的なハリー・ヘスのファルセットを合図に、バンドサウンドに移行。ブリッジから一気に盛り上がっていきます。Harem Scaremの十八番である分厚いコーラスがとにかく美しい。そしてソウルフルなサビの歌い回しに悶絶。
 これだけの要素で十分に名曲として成立しているのに、さらにブラット・ギルスやレブ・ビーチにも通じるアーミングやレガートをうまく使った構築美溢れるエモーショナルなギターソロが、更なる感動を呼び起こしてくれます。
(”MOOD SWINGS” 9曲目|1993年)

H.E.A.T - All the Nights

 哀愁の北欧ハードロックと爽やかなアメリカンハードロックを良いとこどりした”超高品質アリーナロック”を追求しているH.E.A.T.。
 ”Everybody Wants to Be Someone”, "Shelter", "The One and Only"等、名バラード多数の彼等ですが、今回選んだのは、ピアノとオーケストレーションをバックにエリック・グロンウォールの素晴らしい歌唱が堪能出来る、静かで物悲しいバラードのこの曲。
 タイプ的には、Europe”Tomorrow “と同系統メランコリックだけれどネットリ過ぎない曲調は、いかにも北欧ハードロック的。ギターもドラムも出てこないのに、エリックの熱い歌唱によってちゃんとハードロックバンドのバラード曲に聞こえるのが不思議。
(”TEARING DOWN THE WALL” 9曲目|2014年)

Journey - Open Arms

 マライア・キャリーのカバーや映画「海猿」の主題歌でのリバイバルヒットでもお馴染み。全米2位とJourney最大のヒットバラード。
 ジョナサン・ケインらしい、切なく美しい印象的なキーボード(ピアノ)からスタートし、ヴァース〜ブリッジ〜コーラスと段階的に盛り上がっていく超キャッチーなハードロックバラードの王道。歌詞も愛の深さをこれでもかと主張するベタベタのラブバラード。3分前半のコンパクトな曲に収めるためか、ニール・ショーンのギターの出番はほぼなし。
 とにかくスティーヴ・ペリーの感情のこもりまくった切なくも情熱的な歌唱を味わう曲。”So now I come to you with open arms”とゆったりと流れていくサビのドラマティックなメロディが実に感動的。
(”ESCAPE” 10曲目|1981年)

Last Autumn’s Dream - Going Home

 凄まじい哀愁の泣きメロが炸裂するLast Autumn’s Dreamらしいメランコリックバラードの名曲。ミカエル・アンダーソンの天才的メロディセンスが味わえる、バンド名通りの秋っぽい寂寥感を感じさせてくれる曲です。
 多くのハードロックバラードが、愛をテーマにしている中、この曲のテーマは孤独。そりゃ曲も必然的に暗く、悲しいものになりますね。絶望感すら感じさせるサビのメロディに胸が締め付けられます
 そしてまた圧巻なのが、アンディ・マレツェクの1分近くに渡るエモーショナルなギターソロ。特に3:35以降は、泣きというよりもはや号泣に近い切ないフレーズのオンパレード
(”LAST AUTUMN'S DREAM” 11曲目|2003年)

Lizzy Borden - Never Too Young

 硬派な正統派メタルを展開している時期もあり、”The Darker Side”という悲哀感満載の劇的なメタルバラードの名曲がありますが、今回はスタジアムロック的なアプローチをしていた時代の作品から
 コンセプトアルバムの1曲ということもあって歌詞はシリアス。「死ぬには若過ぎるということはない」。モトリーやナイトレンジャーを思わせる、仄かに哀愁漂う優しく美しいピアノのイントロ。そしてブリッジからサビに掛けてのビッグなコーラスに、ドラマティックなギターソロと、リジーのメタルっぽいハイトーン以外、楽曲のトンマナは王道パワーバラード。ヒットシングルとかでは全くありませんが、非常に完成度の高いハードロックバラードだと思います。
(”MASTER OF DISGUISE” 6曲目|1989年)

Michael Shenker Group - Never Trust a Stranger

 ロックソングだと、線が細く少し不安定さを露呈してしまうゲイリー・バーデン。ただ元々歌声自体に哀愁味が強いタイプだけに、パワーの要らないバラードになると、これが俄然強みに変わります。この曲は、そんなゲイリーの強みが見事に活かされたバラード
 キーボードのポール・レイモンドが作曲。ピアノが大活躍の、一聴するとJourneyがやってもおかしくないほどの、美しくキャッチーなバラードですが、そこかしこに斬り込んでくるギターのオブリガード、そして弾きまくりのギターソロにきちんとシェンカー印が残ってます。夕方が似合いそうな曲というコメントがいくつかありましたが「確かに!」ですね。
(”M.S.G.” 6曲目|1981年)

Mötley Crüe - Home Sweet Home

 名バラード多数のモトリーですが、代表曲と言えばやはりこれ。ツアーで疲弊し、我が家を想う心境を歌った曲。
 どこか温もりのあるピアノのイントロ。弾いてるのはトミー・リー。ロックソングだと結構変わった声・歌い方って思えるヴィンス・ニールも、美しいバラードを歌わせるとストレートに心に染みます
 またミック・マーズのギターソロが珍しく結構長めにフィーチュアされているのも特徴的。しっかりと構築されたフレーズと粗っぽく弾きまくる部分がうまく融合されていて、これがまた神懸かり的に凄い出来。ミック史上最高のソロかもしれません。
(”THEATER OF PAIN” 5曲目|1985年)

Night Ranger - Sister Christian

 80年代のHR/HMバンドが、パワーバラードをヒットチャート送り込む先駆けを作ったのがNight Ranger。全米5位、年間チャートにもランクインした大ヒット曲。
 美しく感動的なピアノで静かにスタートボーカルはドラムのケリー・ケイギー。野太くパワフルな歌唱が特徴。甘い声のジャック・ブレイズとは対照的に、彼が歌うと曲が甘くならずに、ハードロックバンドらしいワイルドさが担保されます。
 大ヒットも必然の名バラードですが、それをさらに極上レベルにまで高めているのが、ブラッド・ギルスのアーミングを多用した計算され尽くした見事な名演バラードにおけるギターソロのお手本のようなプレイが堪能できます。
(”TOUCH OF MADNESS” 4曲目|1983年)

Ozzy Osbourne - So Tired

 ”Goodbye to Romance”や”Mama, I’m Coming Home”といった、どこか懐かしい感じの優しくメロディアスなバラードが得意なオジー。この曲は、ピアノとオーケストレーションによる非常にムーディーな、映画のラストに流れても良いようなソフトなバラード。別の見方をすると、ムード歌謡的とも言えるかもしれません。
 癒しの穏やかなメロディに心が洗われますが、歌詞は、想いを寄せる人に会えないことに耐えられず「もう疲れた」を連呼する結構後ろ向きなもので、そのギャップが面白いですね。上記2曲の有名バラード曲の影に隠れてますが、密かな名曲だと思います。
(”BARK AT THE MOON” 6曲目|1983年)

Poison - Something to Believe in

 パーティロックなイメージのPoisonですが、3rd収録のこの曲は、自分の周りや社会で起きているやり切れない事象を挙げながら「僕に何か信じられるものを教えて欲しい」と歌う非常に硬派な内容。テーマの深さ、曲の良さが受けて、全米4位と大ヒット。
 ピアノはベースのホビー。ゴスペル調のコーラスが入っていたりと、今までの典型的パワーバラードとは違う、アーバンで大人な雰囲気。
 コーラスで一気に盛り上がるのではなく、切々と歌うブレッドの歌は意外と深みがあって良いですね。Poisonのパブリックイメージを覆すミュージシャンシップに溢れた曲だと思います。
(”FLESH & BLOOD” 11曲目|1990年)

Quiet Riot - Thunderbird

 HR/HMバンドのアルバムが飛ぶように売れるきっかけを作った出世作のラストを飾る切なくも美しいバラード。飛行機事故でこの世を去った旧メンバーのランディ・ローズに捧げた曲で、感傷的なコーラスが涙を誘います。
 パワフルではあるものの、押し一辺倒で力みが強く、少々野卑な印象のケヴィン・ダブロウのボーカルも、ちゃんと押しと引きのあるエモーショナルな歌唱を披露していて、メロディ・歌詞の良さと相まって実に感動的。またフランキー・バネリのセンスの良いドラムが、感動をさらに引き立てます。
 今まであまり気づきませんでしたが、こうして改めて聴くと、ピアノのフレーズやコーラスの入れ方に、ソウルやゴスペルっぽい感覚もありますね。
(”METAL HEALTH” 10曲目|1983年)

Revolution Saints - Here Forever

 Last Autumn’s Dreamにも匹敵する強烈な哀愁のメロディが炸裂する名曲。別れがテーマの曲だけあってサビのメロディがあまりにも物悲しい。
 ちなみにこの曲、イタリアの有名ミュージシャンFrancesco Rengaのカバー。原曲は未聴ですが、Revolution Saintsバージョンは、哀愁味の強いパワーバラード。印象的なピアノのフレーズで幕を開けますが、どちらかと言えば、バンドサウンドが主体。ダグ・アルドリッジのギターも弾きまくり、泣きまくりです。
 Journey のスティーヴ・ペリーにハスキー成分を加えたようなディーン・カストロノヴォの歌がとにかく素晴らしい。特にサビの胸を締め付けるような感傷的な歌い回しは圧巻。ドラマーなのに、この歌の上手さはヤバいですね。
(”REVOLUTION SAINTS” 8曲目|2015年)

Stryper - Honestly

 80年代グラムメタルバンド群の中でも、ずば抜けたメロディセンスを持つStryper。当然これ以外にも名バラードはたくさんありますが、今回は全米23位とStryper最高のヒットシングルとなったこの曲を選んでみました。     
 キラキラ感のあるキーボード(ピアノ)で静かにスタートし、サビのハイトーンで盛り上がる、典型的な80年代ヒットバラードのスタイル。やや甘いメロディの曲ですが、マイケル・スウィートの天まで届くかのような美しいハイトーンが、曲にピリッと背筋が伸びるかのような良い刺激を加えてますね。サビのラストは、讃美歌のような美しいコーラスハーモニー。これぞクリスチャンメタルStryperの真骨頂。心洗われる1曲
(”TO HELL WITH THE DEVIL" 5曲目|1986年)

Survivor - The Search is Over

 全米4位、年間チャートインもした大ヒットバラード。恥ずかしいほどストレートに愛を語る歌詞に、ベタベタの甘いメロディ。産業ロックと揶揄されたりもしますが、ここまで過剰なベタは逆に清々しくて感動的
 メロディアスな名バラードですが、これをさらに極上なレベルに引き上げてるのが、エモーショナルなジミ・ジェイミソンの歌唱。ちょっとハスキー成分含んでいるので、曲がどれだけ甘くても、なんか絶妙な清涼感があるんですよね。
 ”Now I look into Your eyes”でグッと盛り上がりながら、”The search is over. You were with me all the while”としっとりと落ち着いていく、歌詞にシンクロした巧みな歌い回しが本当に素晴らしい。
(”VITAL SIGNS” 4曲目|1984年)

Ten - You're in My Heart

 97年の曲ですが、重厚なアレンジを施したコテコテのメロディアスなバラード。たおやかなメロディ展開に、心洗われるような清々しいサビと、80年代産業ロックバラードの典型スタイルですね。当時この手のBURRN!イチオシの”Big in Japan”系バンドには関心が向いていなかったので、聴いたのは実はかなり後追い。
 ボーカルのゲイリー・ヒューズは、正直ハードな曲だと少しパワー不足な感じもしますが、こういうAORに近い曲だと、声自体の持つ渋さが曲の甘さをうまく和げて、アダルトな品のあるバラードに仕上がります。時代が違えば大ヒットしたかもしれません。
(”THE ROBE” 5曲目|1997年)

Terra Nova - Summernights

 こちらも後追いで聴いたオランダのメロハーバンドのバラード。”Big in Japan”ってほどの人気ではなかったと思いますが、90年代メロハーバンドの中では、日本でとりわけ支持も、評価も高かったバンド。ロック系の曲は、80年代味の強いシンセやキーボードがフィーチュアされた明るくキラキラ爽やか系の楽曲が多いですが、このバラードは、ソフトで切ない感動系バラード。
 イントロの美しいキーボードに絡む、泣きのギターが素晴らしい。基本しっとり系ですが、ギターソロ以降段々と盛り上がっていくダイナミクスを味わえる曲展開も良いですね。素直に感動出来る王道ハードロックバラード。
("LIVIN’ IT UP" 6曲目|1996年)

TNT - End of the Line

 名盤”INTUITION”収録の感動的なバラード。イントロのピアノが暗い。そこから始まるヴァースも同様にかなり物悲しい雰囲気。サビで曲の雰囲気がガラリと明るくなり、物静かな曲調も一気に派手に爆発。Queen的というか聖歌隊のような感動的な美しいコーラスハーモニー、そして天高くハイトーンで駆け抜けるトニー・ハーネルの歌声が神懸かり的に素晴らしい
 静と動、暗と明のダイナミクスが存分に味わえる劇的な名曲。アルバムだとこのドラマティックなバラードで脱力したところへ、超名曲”Intuition “の明るく爽やかなギターリフが飛び込んでくる、その落差がまた良いんですよね。60年近いハードロック史の中でも屈指の名バラードだと思います。
(”INTUITION” 4曲目|1988年)

Treat - Stay Away

 イントロがキーボード(ピアノ)なので、ピアノ/キーボード編に入ってますが、曲としてはアンダース・ヴィクストルムの泣きのギターとロバート・アーンルンドのセクシーな歌唱を存分に味わえる哀愁のバラード。
 物悲しく、少し重々しいキーボード(ピアノ)のイントロからスタート。バンドサウンドと同時に、泣きのギターが早くも炸裂。個性が強くないためあまり注目されませんが、フレージングの素晴らしさだけ見ると、マイケル・シェンカー並みに注目されても良いレベル感。
 またヴァースからブリッジにかけてのロバートの中音域を上手く使った歌い回しから、哀愁のコーラスハーモニーへの流れていくボーカルメロディの展開も、非常に色気に溢れていて素晴らしい
(”ORGANIZED CRIME” 4曲目|1990年)

UFO - Try Me

 前回取り上げたメタルバラードのプロトタイプとも言える、劇的で濃厚なバラード。個人的にもHR/HMジャンルのバラードで五指に入る好きな曲。
 イントロの荘厳なピアノのイントロからして、売れ線ハードロックバラードのキラキラ感とは全く別世界。物悲しいピアノをバックに、湿り気を帯びた少し籠り気味の歌声で切々と歌うフィル・モグの歌唱と、未練がましい歌詞が実にマッチしてます。
 そして本曲のハイライトであるマイケル・シェンカーのギターソロこれほどまでゆっくり一音一音タメを作りながら弾くギターソロも珍しい
別世界に引き込まれそうな、強烈な訴求力を持った泣きの名演を堪能できます。
(”LIGHTS OUT" 3曲目|1977年)

Vow Wow - Cry No More

 ”I’m Gonna Sing the Blues”, “Shock Waves”といった人気の名バラードもありますが、個人的なイチ押しは、人見元基の狂おしいほどの激情ボーカルが堪能できるこの曲。
 物悲しくも美しいピアノをバックに、日本人離れした声量で、日本人らしいこぶし回しを多用する人見のエモーショナルな歌唱が本当に圧巻。
 またサビ前のピアノフレーズや、コーラス後のアコースティックギターのソロなど、細部で感動を更に盛り上げる丁寧なアレンジワークも素晴らしい。もちろん、歌をさらに盛り立てる山本恭司の超エモーショナルなギターも最高です。
(”V” 5曲目|1987年)

いいなと思ったら応援しよう!