娘がおへそを守れと言う。出したのは娘である
最近、娘の中で「おへそを守る遊び」が流行っている。
たぶん、こども園でやっている歌の影響だと思う。
「カミナリどんがやってきた」
というやつである。
正確には絵本なのか、歌なのか、遊びなのか分からない。
ただ、娘の中では確実に何かが定着している。
最近、家でよく自分のお腹を出しては、おへそを押さえている。
そして言う。
「おへそ取られちゃうー!」
なるほど。
おへそが狙われているらしい。
かなり重要な防衛対象である。
娘は、自分のお腹を出す。
おへそを押さえる。
「きゃー!」
と言う。
とても楽しそうである。
怖がっているのか、楽しんでいるのか分からない。
たぶん、両方である。
そして当然のように、パパのお腹も対象になる。
娘は私の服をめくって、お腹を出す。
そして言う。
「食べちゃうぞー!」
「あむあむあむ!」
やめてほしい。
父の腹を食べないでほしい。
こちらは朝から普通に座っていただけである。
特にお腹を公開する予定はなかった。
しかし、娘の手によって突然お腹が出される。
そして食べられる。
もはや、おへそ防衛以前に、加害者が目の前にいる。
さらに別の日。
娘はまた私のお腹を出した。
そして、急に慌てた顔をして言った。
「パパ!早く隠して!」
「おへそ食べられちゃう!」
待ってほしい。
出したのはお主だ。
私は隠していた。
お腹は服の中に収納されていた。
かなり安全な状態だった。
それをわざわざ出したのは娘である。
そのうえで、
「早く隠して!」
と言われている。
自作自演である。
完全に、自作自演型の防災訓練である。
娘が危険を作る。
娘が警報を鳴らす。
父が対応する。
訓練としてはかなり実践的である。
ただし、発災原因が訓練責任者本人である。
私は言われた通り、服を戻した。
すると娘は満足そうだった。
おへそは守られた。
いや、守られたのか。
そもそも危険にさらしたのは誰なのか。
父親の中には疑問が残る。
しかし、娘の中では無事に防衛成功らしい。
その後も、娘のおへそ防衛訓練は続いた。
お腹を出す。
おへそを押さえる。
「取られちゃうー!」
と叫ぶ。
笑う。
またお腹を出す。
また守る。
忙しい。
おへそ周辺だけ、警戒レベルがずっと高い。
そして、ついにお風呂でも始まった。
娘はおもちゃのコップを持っていた。
お風呂でよく使う、小さなコップである。
娘は急にお腹のあたりを押さえて言った。
「きゃー!おへそ取られちゃうー!」
そして、おもちゃのコップでおへそを隠した。
私は思った。
アキラ100%か。
完全に、アキラ100%である。
ただし、守っている場所が違う。
守っているのは下ではない。
おへそである。
おへそ100%である。
本人は真剣だった。
コップを落とさないように、おへそを守っている。
落ちたら終わり。
たぶん、カミナリどんに取られる。
かなり緊迫した状況である。
しかし、こちらとしては笑いをこらえるのが大変だった。
3歳児が風呂場でコップをお腹に当て、
「おへそ取られちゃうー!」
と言っている。
絵面が強すぎる。
しかも、娘は時々コップをずらす。
そしてまた慌てて隠す。
完全に芸である。
本人にその自覚はない。
だから余計に面白い。
娘のおへそ防衛システムは、今日も正常に稼働している。
ただし、危険の発生源はだいたい娘である。
そして風呂場の防衛方法は、かなりアキラ100%寄りである。
