3歳娘は工程ではなかった。生産技術主任の父が「仕事脳」を育児に持ち込んでバグりかけた話
この記事は、育児の正解を書くものではありません。
生産技術として仕事で使ってきた「観察する」「原因を考える」「処置を考える」という思考を、父親として家庭に持ち込んだら何が起きたのか。
そして、3歳の娘を前にして、私がどこでバグりかけたのかを書いた記事です。
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朝から娘が泣く。
「パパとトイレ行きたかったぁぁぁ」
私は玄関に行きかけている。
会社に行く時間も迫っている。
妻はまだ眠そうである。
娘は私の足にしがみついている。
私はスーツ姿で、片足だけ出勤、片足だけ育児の世界に残っている。
この状態で、私は一瞬フリーズする。
父親としては、たぶん抱っこすればいい。
「そっか、パパと行きたかったね」
と言えばいい。
たぶん、それが一番早い。
しかし私の頭の中では、別のものが立ち上がる。
原因は何か。
昨日寝るのが遅かったのか。
起きてすぐ私が出ていく流れが嫌なのか。
最近、分離不安が強くなっているのか。
昨日あまり遊べなかった反動なのか。
こちらの出発前ルーティンが悪いのか。
頭の中で、育児対策会議が始まる。
議題は「娘が朝泣く原因について」。
出席者は私一人。
議事録もない。
かなり嫌な会議である。
仕事では、不具合が起きると原因を探す。
設備が止まった。
寸法が出ない。
作業者がやりにくそうにしている。
検査でNGが出た。
メーカー回答が遅い。
そういう時、生産技術の私はわりと冷静である。
何が起きたのか。
どこで止まっているのか。
原因は設備か、治具か、作業方法か、図面か、測定方法か。
暫定処置は何か。
恒久対策は何か。
誰がいつまでにやるのか。
こういうことを考える。
仕事中の私は、まあまあ理屈っぽい。
面倒くさいくらい理屈っぽい。
前職では、下請け寄りの自動車部品メーカーで働いていた。
残業も多かった。
仕事の幅も広かった。
設備仕様、導入、評価、測定具、工程設計、改善。
何でも屋に近かった。
現職では、大手上場メーカーに転職し、残業は大きく減り、年収も上がった。
今は主任として、後輩の仕事の進め方や、チーム内の動き方にも関わっている。
仕事では、多少なりとも改善や見える化や処置項目で乗り切ってきた。
だが、育児ではそう簡単にいかない。
仕事なら、状況確認をする。
現象。
原因。
影響範囲。
暫定処置。
再発防止。
しかし目の前にいるのは、設備ではない。
3歳児である。
しかも涙目である。
こちらの処置表など、まったく読んでくれない。
私はそこで思う。
生産技術主任、家庭ではかなり無力。
いや、本当に無力である。
子どもは工程ではない。
娘は設備ではない。
泣き声はアラームではない。
癇癪はエラーコードではない。
分かっている。
分かっているのだが、私はどうしても考えてしまう。
なぜ今泣いたのか。
何が引き金だったのか。
眠いのか。
空腹なのか。
自分でやりたかったのか。
本当は甘えたかったのか。
こちらの声かけが悪かったのか。
結局、私は育児にも仕事の考え方を持ち込んでいる。
それは便利な面もある。
状況を整理できる。
感情に飲まれにくくなる。
次にどうするかを考えやすくなる。
でも、便利だからこそ、私は何度もバグりかけた。
もし、家庭や職場で、
「正しいことを言っているはずなのに、なぜか相手に届かない」
「良かれと思って考えているのに、冷たい反応になってしまう」
「相手のためと言いながら、本当は自分が安心したいだけなのかもしれない」
と思ったことがあるなら、たぶんこの記事は少し役に立つ。
少なくとも私は、3歳の娘を前にして、その罠に何度もハマった。
この記事では、私が生産技術として働いてきた中で身につけた考え方を、父親として育児に持ち込んだ結果、何が起きたのかを書く。
育児の話ではあるが、仕事で後輩を育てる立場になった人や、家庭で感情に振り回されがちな人にも、少し通じる部分があると思っている。
有料部分では、以下のことを書く。
* 分析している間に、娘の感情を置いていった朝
* 仕事脳を育児に持ち込んで、一番危なかったこと
* 「歩きたくない」を、ただの停止として見なかった話
* パズルとブロック遊びで、父がバグりかけた話
* 自分の情けなさから作った観察メモ
* 忙しい朝でも使える、私なりの3秒フレーズ
* 今の娘との関係はどうなったのか
育児の正解を書くつもりはない。
むしろ、正解が分からない父親が、仕事脳を持ち込んで、失敗しながら少しずつ自分の対応を変えてきた話である。
また、有料部分では、私が実際に頭の中で使っている「子どもを責めないための観察メモ」も載せている。
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