WEBセミナーのお弁当
医療業界には、WEBセミナーという勉強会なるものがある。
製薬企業が主催する勉強会で、最新の治療や論文の話を聞くことができる。
もちろん企業活動の一環でもあるので、参加者が少ないと少し寂しい。
そして、多くの場合――
お弁当が出る。
これが意外と重要である。
先日も、
「先生、今日WEBセミナーありますので」
と言われ、会場へ向かうと、
そこには叙◯苑の焼肉弁当が鎮座していた。
ありがたい。
非常にありがたい。
私はこういう時、だいたい若手を誘う。
「今日、勉強会あるけど来る?」
すると、
「お弁当ありますか?」
と聞かれる。
もちろんある。
むしろ主役かもしれない。
すると参加率が急上昇する。
若手たちは喜んでやって来る。
ただし、問題がある。
セミナー内容が難しい。
ものによっては、
「切除不能進行再発○○癌に対する二次治療以降の分子標的薬選択」
みたいなテーマである。
研修医や若手スタッフからすると、
「日本語なのに意味が分からない」
状態になることも少なくない。
それでも私は参加する価値があると思っている。
今は理解できなくても、
こういう治療があるんだな、
こんな薬があるんだな、
世の中はこう動いているんだな、
という空気に触れることができる。
数年後、
「あ、この話聞いたことある」
となる日が来る。
学びというのは、案外そういうものだ。
問題は時間である。
だいたい夜。
仕事が終わってから。
つまり完全に時間外。
当然ながら、
「みんな参加しろ!」
とは言えない。
自己研鑽だからである。
時間外手当も出ない。
これは難しい問題だ。
勉強は大事。
でもプライベートも大事。
若手の貴重な時間を奪うわけにもいかない。
だから私は、
「もし時間あったら来てね」
くらいにしている。
しかし不思議なことに、
叙◯苑の日は参加者が多い。
学習意欲が高いのか。
焼肉への意欲が高いのか。
その判定は難しい。
ただ、一つだけ言えることがある。
セミナーが終わった後、
若手たちが満足そうな顔で帰っていくのを見ると、
きっと両方なのだろう。
学びも大事。
お弁当も大事。
医療者の成長は、意外と焼肉弁当によって支えられているのかもしれない。
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