ツインレイ物語:近代編 ①— クリミアの灯火 第1幕:敵兵の独白 — オーディンの無念と、空への誓い
遠い、遠い過去世。
それは、この銀河の法則が定める「時間」という概念がまだ曖昧だった頃の物語。
二人のツインレイのルーツは、光と歓喜に満ちた「エデンの園」の アダムとイブ。
彼らは、神の愛から分け与えられた一つの魂が二つに分かれた、完璧な陰陽の対でした。
ナーガ(イブの転生・女性性の象徴)とオーディン(アダムの転生・男性性の象徴)が、時空を超えた転生を繰り返し、果たせぬ夢を成就する 魂の統合記録。 創作ファンタジー物語です。
1. 凍てつく泥の中の敗北
俺の名はアレクセイ(オーディンの転生)。ロシア帝国の兵士として、皇帝のため、正教会の守護のために戦った。
だが今、俺は敵国イギリスの野戦病院の、冷たい床の上に転がされている。
腹部を銃弾が貫き、感覚はすでに麻痺していた。
(無念だ……。俺は何も守れなかった)
戦場での轟音、仲間の断末魔。
それらが遠のき、迫りくるのは圧倒的な「死」の静寂と闇だった。
俺の魂(オーディン)は、肉体の苦痛よりも深い、「無力感」に打ちひしがれていた。
かつてAsgard-Nooaで誓った「強き守護者」になるという夢は、またしても泥の中に沈もうとしていた。
2. 闇を裂く灯火
その時だった。
漆黒の闇の向こうから、ゆらめく一つの灯火(ランプ)が近づいてきた。
死神の使いか?
いや、違う。
その光の中に浮かび上がったのは、この地獄にはあまりにも不釣り合いな、純白の衣をまとった女性だった。
彼女は、俺の隣で死にかけているイギリス兵だけでなく、敵である俺の元にも迷わず歩み寄ってきた。
彼女が掲げるランプの光が、俺の泥だらけの顔を照らす。
そして、彼女が俺の傷口に触れた瞬間、温かい電流が走った。
(……!! なぜ、お前がここにいる?)
言葉は通じない。
だが、魂が叫んだ。
ナーガ。。
俺が時空を超えて探し求めていた、魂の片割れ。
彼女の瞳は、戦場の悲惨さに曇ることなく、凛とした知性と、海のような深い慈悲を湛えていた。
3. 逆転した守護 — 白き聖域
俺は愕然とした。
俺は彼女を守るために、強くありたいと願ったはずだ。
それなのに今、守られているのは俺の方だ。
彼女がまとっている、その一点の曇りもない白衣。
それは、血と泥が飛び交うこの戦場で、彼女自身が己の意志で張り巡らせた「聖なる結界(八重垣)」だった。
俺が作ってやれなかった結界を、彼女は自らの手で織り上げ、その内側に俺を招き入れ、癒やそうとしている。
(なんと……気高く、強いのだ)
彼女の手が、俺の汚れた包帯を解き、清らかな白い布に変えていく。
その手つきは、母のようであり、女神のようであり、そして何より、対等な魂の伴侶としての確信に満ちていた。
「……すまない」
俺は、乾いた唇で、声にならない言葉を漏らした。
敵としてしか会えなかった運命への呪いと、彼女を危険な戦場に立たせてしまった己への不甲斐なさ。
4. 次なる生への、空の誓い
彼女は、俺の言葉にならない謝罪を感じ取ったのか、ふわりと微笑み、俺の手を握りしめた。
その温もりが、凍りついた俺の魂を溶かしていく。
俺の命の灯火は、もう消える。
だが、彼女のランプの灯火は、これからも多くの命を照らし続けるだろう。
(ナーガよ。見ていろ)
薄れゆく意識の中で、オーディンの魂が再び燃え上がった。
今度は、俺が守られたままでは終わらない。
お前が地上で、その白き衣(愛)で人々を包むなら、俺はもっと高い場所へ行く。
誰にも届かない、誰にも邪魔されない、遥か高みの「空」へ。
次は、敵としてではない。
お前が住む国、お前が愛する海を守るための、最強の「盾」になる。
この命を燃やし尽くしてでも、お前がいる世界そのものを包み込む、巨大な空の結界になってみせる!
俺は最期の力を振り絞り、握り返された彼女の手の甲に、キスを落とした。
それは、敵兵としての降伏ではなく、次なる生(特攻隊員としての未来)への、愛の宣戦布告だった。
ランプの光が滲む。
「……また会おう。次は、桜の咲く空の下で」
アレクセイの瞳から光が消えた時、その顔は穏やかだった。
その魂はすでに、次なる転生の地——日本の空へと向かって、力強く羽ばたいていた。
外伝V:近代編 — クリミアの灯火
第2幕 へ続く
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