【ことのは│月のかけらの妖精】0022│眠れぬ夜に
窓を開けて
空をみる
冷たい風にのって
月のかけらの妖精が
頬にキスをしにきた。
ひさしぶり~
君は大人になって
僕たちのことも、
忘れたンだと思っていたょ
忘れてなんていないよ
大人はね
忘れたふりができるの
いちばん
いちばん
大切なものは、忘れたふりをするの
そうなんだ
難しいね
それより
今日はどこの星に行く?
今日は新月だから、
どんなに遠くまで行っても
だれにも、見つからないョ
忘れたふりをしなくても
ひとつでいれる星に連れてって。
わすれたふりをしない?
ひとつでいる?
なんだ~
思い出しちゃったんだね。
うん
そうだったんだョね
出来ないことを楽しんでた
大人になったら
なんでも出来る未来を創造できると思っていた
なのに
なんにもできないことばかりみつけて
頑張って
頑張って
またみつけて
もお出来ないことをみつけるの飽きちゃった
なんだ、いちばんたいせつなこと、
わすれたふりをしてるの?
かっこいい?
月のかけらの妖精は、はじめて会った時みたいに、
四つ葉のクローバーを魔法の杖みたいにかざして笑った。
君は、あの時
四つ葉のクローバーを見つけた!といって
大喜びで、ママにみせにいったんだょね。
ママの願い事が叶いますように、
って。
僕は、あれから
ずっと、
いつも君の願いが叶うように
って
新月の夜、
月のかけらになって、
君のそばにいるんだョ
忘れたふりをしているうちに、
ホントに忘れちゃった?
四つ葉のクローバーをみつけなくても、
新月の願い事をあげなくても
君は、
いつだって、
夢の中のまま、
自由にやりたいこと
願った未来の中にいるんだょ。
頬を撫でる風は少しやわらかくなって、まぶたがおもくなってきた。
ねぇ、
今日は
いちばん遠くの
いったことも
みたことも
聞いたこともない
最高の星にいってみようョ
懐かしい
月のかけらの妖精に包まれて
私は空に舞っていったように思う。
そうだ
私は小さい頃
夢の中で、普通に空を飛べたんだ。
そんなことを思い出しながら
忘れたふりなんかじゃなくて
ホントに
忘れるんだな。
大切なたいせつなことだから
忘れるのかもしれない。
私はいつの間にか
ベッドのなかでまどろんでいた。
少し開いた窓から、
やわらかなそよぐ風に揺れて、
白いレースのカーテンが
羽を広げてユラユラと躍っている。
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